一体誰が外交カードを持て遊んでいるのか


日本とアジアの隣国関係の現状により、中国外務省はこのほど、「今月中旬マレーシアの首都クアラルンプールで行われるASEANサミットの期間中、中日首脳会談は行わず、第7回中日韓首脳会議も延期する」と発表しました。これに対し、日本の小泉純一郎首相は5日、「靖国(神社参拝問題)は外交のカードにはならない。いくら中韓両国が外交カードにしようとしても無理だ。」と発言し、「批判する方がおかしいと思っている」と表明しました。小泉首相のこの発言は彼の靖国参拝の問題における頑固な立場を表しています。

   周知のように、日本と中国、日本と韓国との関係は今困難な時期にあります。それは小泉首相をはじめとする日本の政治家が歴史問題に対し、相次いで間違った判断を下し、第二次世界大戦のA級戦犯を祭っている靖国神社を何度も参拝したことによるものです。そのため、日本とアジアの隣国との関係が冷たくなり、その責任は小泉政府にあり、これは日本外交の失敗だと言えます。

   小泉首相は5日夜、「もう靖国は外交のカードにはならない。中韓がいくら外交カードにしようとしても無理だ。靖国以外、日中、日韓で良好な関係を重視していくべき問題はたくさんある。一つの問題で他の関係も悪くしようという考えにはならない。これは心の問題だ」と発言しました。この発言は一見して理屈にあっているように聞こえるものの、実は大きな間違いを犯しています。

   まず、靖国参拝は確実に日本の内政問題ではなく、いわゆる「思想自由」の問題でもありません。靖国参拝の本質は日本が過去の侵略の歴史を如何に認識するか、日本と日本軍国主義の侵略を受けたアジアの国々との問題です。第二次世界大戦後の国際秩序に関わるため、靖国参拝は日本と国際社会との問題であるとも言えます。

   第二に、如何なる国同士の関係も一定の政治的基礎の上で築かれたものです。1972年中日国交正常化以来、両国の急速な関係発展は両国関係の政治的基礎とされる三つの政治的文書によるものです。これら文書の核心の一つは日本が過去の歴史を正しく認識することです。現在、小泉首相をはじめとする日本の政府高官は相次いで靖国神社を参拝し、中日関係の政治的基礎をひどく損ないました。両国関係を発展させる基礎が壊されれば、両国関係は如何に発展するというのか、そして、両国首相会談を行う意味があると言えるのでしょうか。

   さらに、小泉首相は、日本、中国、韓国3カ国首脳会談の開催日程を気にしておらず、それは中国側がサミットを延期したものだからだとして、中日関係への影響を中国の責任だとしています。これはいうまでもなく自らを欺く行為です。周知のとおり、中国政府と国民はずっと両国の関係を重視しています。このほど温家宝首相がフランスの記者のインタビューを受けた際も、長期的、安定した中日関係を発展させることは、中国側の揺るぎない方針で、中国が最も困難な時期でもこの方針は変わることがなかったと強調しました。

   実は、日本とアジア隣国関係の外交カードを利用しようとする人は、まぎれもなく小泉首相本人です。今年に入って、日本は外交で失敗を重ね、アジア隣国との関係が窮地に陥っただけでなく、安保理常任理事国入りへの努力も水の泡となったのです。そして、世界中が反ファシズム戦争勝利60周年を記念する中、日本国内は右翼勢力が強くなる一方です。このような局面をたくみに利用し、国内でナショナリズムを煽り立て、日本国民にアジア諸国と国際社会を敵視させることによって、小泉首相は自らの政治目的を達成しようとする思惑があると、専門家は指摘しています。

「CRI」より 2005年12月7日