ニュース 提案・議案 文 献 代表と委員 資 料


2003年度の中央と地方予算の執行状況および
2004年度の中央と地方予算案についての報告


 (この報告については、14日で最終的に審議、採択され、新華社から発表されるものが基準となる。)

 2003年度の中央と地方予算の執行状況および2004年度の中央と地方予算案についての報告
                  ――2004年3月6日

 第十期全国人民代表大会第二回会議にて

 財政部部長 金人慶

 代表のみなさん

 国務院の委託を受けて、ここに二〇〇三年度の中央と地方の予算執行状況及び二〇〇四年度の中央と地方の予算案について大会に報告し、審議を願うとともに、全国政治協商会議の委員のみなさんからもご意見を求めたいと思う。

 一、二〇〇三年度の中央と地方の予算執行状況

 二〇〇三年は並大抵な年ではなかった。複雑で絶えず変化する国際情勢や突然流行し出した新型肺炎(SARS)及び頻繁に発生した自然災害に対し、党中央、国務院は冷静に対応し、思い切った決断を下し、各地区と各部門も中央の定めた諸般の方針・政策を真剣に貫徹し、第十期全国人民代表大会第一回会議で採択された財政・経済活動に関する諸般の要請にしたがい、心を一つにして刻苦奮闘した結果、経済・社会の発展は好調をつづけ、中央と地方の予算執行状況は比較的良好であった。        

 二〇〇三年度、全国の歳入は初めて二兆元を突破し、二兆一六九一億元に達し(債務収入は含まず、以下同じ)、前年度に比べ二七八七億元増え、一四・七%増であり、予算の一〇五・八%を達成した。全国の歳出は二兆四六〇七億元で、前年度に比べ二五五四億元増え、一一・六%伸び、予算の一〇三・八%に達した。収支を差し引くと、歳出は歳入を二九一六億元上回った。そのうち、中央の歳入は一兆二四六五億元であり(既に新しく増えた輸出による租税還付分八二九億元を控除した)、前年度に比べ一〇九三億元増え、九・六%増、予算の一〇四・四%に達した。中央の歳出は一兆五六六三億元であり(地方への租税還付金と補助支出八二四〇億元を含む)、前年度に比べ一一九五億元増え、八・三%伸び、予算の一〇三・五%に達した。中央財政の赤字は第十期全国人民代表大会第一回会議で承認された三一九八億元の枠内に押さえた。地方の歳入は一兆八〇八二億元で(中央からの租税還付金と補助収入を含む)、前年度に比べ二二一五億元増え、一四%伸び、予算の一〇五・七%を達成した。地方の歳出は一兆七八〇〇億元で(中央への上納支出六一五億元を含む)、前年度に比べ一八八〇億元増え、一一・八%伸び、予算の一〇四・一%に達した。地方財政は収支を差し引くと、剰余金と繰越明許費は二八二億元である。

 これらの数字は、決算編成集計後にいくらか変わることもある。

 二〇〇三年度中央の予算執行と財政活動の主な特徴は次の通りである。

 (一)財政収入は比較的高い伸び率を保った

 二〇〇三年度国民経済の出足は好調であったが、新型肺炎や旱魃・洪水および地震などの自然災害の影響により経済の成長は一時減速し、第2四半期に財政収入の伸び率がかなり下がった。このような情勢に対し、各クラスの財政や税務、税関などの部門は新型肺炎に対する予防・治療の手を緩めず、同時にゆるぐことなく経済建設に力を入れるという党中央、国務院の定めた方針を積極的に貫徹し、適時に収入に対する監督・規制を強化し、法による徴収・管理を厳しくした。国民経済の迅速な回復と発展に伴い、全国の歳入も比較的高い伸び率を保つことができた。一つは内需と輸入が勢いよく伸びており、国内の付加価値税、消費税、営業税および輸入関連の税収は前年度に比べそれぞれ一〇五四億元、一三四億元、三九二億元と一一一一億元増え、一七・一%、一二・八%、一六%と四二・九%増となった。二つは、経済成長の質が高まり、企業の効率が著しく改善され、企業の所得税は同じ基準で計算すれば前年度に比べ三九九億元増え、一五・九%増となった。三つは国民の所得が引き続き増えており、個人所得税と車両購入税は前年度に比べそれぞれ二〇五億元と一一九億元増え、一六・九%と三四・二%増となった。

 二〇〇三年度中央の歳入は予算を五二四億元上回った(既に予算執行中に新しく増えた輸出による租税還付分八二九億元を控除した)。そのうち、車両購入税の収入超過分七八億元は規定により別個に収支台帳を設け、特定資金として用途を限定した。体制的規定に基づいて、地方への租税還付金と一般的移転支出を七八億元増やした。残りの三六八億元は主として災害の対策・救済や教育、医療衛生、科学技術事業の発展、企業改革の支援、社会保障の強化および生態環境の整備などに用いた。上記の事項について国務院はすでに全国人民代表大会常務委員会に報告している。地方財政の収入超過分については地方に運用させ、主として教育、科学技術、文化、医療衛生への追加支出や給与遅配問題の解決などに振り向けた。

 (二)財政のマクロ規制と保障機能が強まった

 国民経済の持続的でテンポの速い成長を促進するため、引き続き積極財政を実施した。国債資金依存プロジェクトに一四〇〇億元計上し、資金の管理を厳格にするとともに、国債の投資方向とその構造を積極的に調整し、最適化させ、運用の重点を農村及び構造調整、中・西部、科学技術・教育及び生態環境の整備、公共衛生システムの整備に置いた。地域間のバランスのとれた発展を促進するため、財政による移転支出の度合を強めた。二〇〇三年度、中央財政に計上された地方への財力補強のための移転支出は一九一二億元で、前年度に比べ一七・九%増となった。社会保障や農業、科学技術、教育、医療衛生、貧困扶助などに振り向ける特別項目の移転支出として二五七七億元計上し、前年度に比べ七・三%増となった。各地方は省クラス以下の財政体制を充実させることについての国務院の要請に基づき、末端財政における財政上の保障力をさらに高めた。政府機関・事業体職員の所得基準を引き上げるために、給与を調整し、定年引退・退職者の養老年金を調整する政策が確実に実行された。

 新型肺炎が流行し出してから、中央は人民大衆の生活と企業の生産経営に非常な関心を寄せた。一つは中央財政で二〇億元の新型肺炎防止・治療基金を設けるとともに、農民と都市部の貧困層の新型肺炎患者に対し無料で治療を施す決定を打ち出し、これは疫病の蔓延とくに農村への蔓延を効果的に防止するうえで重要な役割を果たした。各クラスの財政は新型肺炎の予防・治療資金として一三六億元捻出し、そのうち中央財政の捻出額は二八億元である。下半期、中央財政はまた公共衛生システムの整備のために特別資金を一〇億元追加した。二つは、適時に一連の財政・租税優遇策を実施し、新型肺炎の衝撃をかなりひどく受けた観光・旅行、飲食、民間航空、鉄道、ホテル、タクシーなどの業種が一日も早く困難を克服し、生産を回復し、難関を乗り越えるよう援助を与えた。上述の措置の実施にあたって支出が増え、収入が減少したとはいえ、人民大衆の健康を守り、企業の正常な生産を維持し、経済と社会の発展を促すこととなった。

 (三)「農業、農村、農民」問題解決の助成に向け新たな一歩を踏み出した

 第一に、農村の租税・費用改革のテストを全面的に推し進めた。テストの範囲は二〇省から全国に広げ、農民の負担を平均して三〇%以上軽減した。二〇〇三年度中央財政は農村の租税・費用改革を支援するため三〇五億元を計上し、省クラスの財政及び条件の整った市・県の財政もそれ相応の資金を計上しこの改革を支持した。第二に、特産農産物税を撤廃するテストのテンポも速めた。北京、福建、広東、江蘇、 浙江、安徽、四川、河南、上海、天津などの十数の省(直轄市)が基本的に特産農産物税を撤廃した。第三に、安徽、吉林、湖南、湖北、河南、遼寧、内モンゴル、河北、江西などの九省で食糧作付農家に補助金を直接与えるテストを行った。これにより、食糧企業の改革を推進し、農民の食糧作付の意欲を引き出し、テスト地域の広範な農民は心からこれを支持した。第四に、被災や減産地域に対する農業税の減免及び洪水調節のための貯水・放水地区への補償政策の実施にとりかかり、いち早く資金を捻出し、災害対策・救済への支持に力を入れた。二〇〇三年、中央財政は各地の災害の対策・救済と災害後の復旧支援資金として一〇八億元振り向け、政府の救済を適時に受けた被災者数はのべ一億六七〇〇万余りに上る。第五に、農業の構造調整を積極的に促し、農民の収入増加をサポートした。二〇〇三年、中央財政は農業科学技術進歩の推進、農産物品質標準化体系の整備、農業の総合開発、貧困扶助事業の開発などに四四〇億元を投入し、前年度より一三・九%増であった。第六に、中央財政は教育、医療衛生、文化諸事業への支出を六七億元増やし、この資金は主として農村に用いられたため、農村の社会諸事業の発展を促した。

 (四)就業と社会保障の仕事への助成が強化された

 第一に、就業と社会保障の仕事への助成に大きな力を注いだ。再就職についての財政租税優遇政策の実施範囲を広げ、優遇期限を延長し、一時帰休者・失業者の再就職に対し一七項目の行政事業的性格の費用徴収を免除した。中央財政は四七億元の再就職特別移転支出資金を設け、就職と再就職目標の超過達成を促した。第二に、引き続き「二つの確保(国有企業一時帰休者の生活費と定年引退・退職者年金を期日通りに全額支給することを確保する)」と「最低生活保障」の作業を保障する度合いを強化した。中央財政は「二つの確保」の補助資金に合わせて六〇八億元計上し、前年度より一三・一%増であり、「最低生活保障」の補助資金に九二億元計上し、前年度より一〇〇%増であった。国有企業の一時帰休者の基本生活費と定年引退・退職者の基本養老年金が期日通りに全額給付されることを基本的に保障し、二二三五万人の都市部低所得層の人々が政府の最低生活保障手当を受けた。第三に、特別に困難な大衆の生産や生活問題の解決を支援する力を強めた。一部地方の企業に再就職した退役・転業軍人幹部などの生活難の問題を解決するために、二〇〇三年度から中央財政は毎年特別項目資金を一五億元計上することにした。優遇・慰撫対象者の恩給基準を再度引き上げた。第四に、長年来懸案とされてきた農地開墾企業職員の養老保険の属地化問題を解決した。そのために中央財政は中・西部地区と中央直属農地開墾区への補助金を七億三〇〇〇万元増やした(二〇〇四年度も支出を七億三〇〇〇万元追加する)。

 (五)社会事業への投入は目に見えて増えた

中央財政の教育、医療衛生、科学技術、文化、スポーツなど諸事業への投入は八五五億元、前年度より九四億元増え、一二・四%増であり、一部の社会事業発展にみられる際立った矛盾を重点的に解決した。特別項目の投資として二〇億元を捻出し、引き続き農村の小・中学校の老朽化した校舎改築工事の助成にあて、さらに三年ほどの時間をかけて農村における小・中学校の老朽化校舎の問題を基本的に解決するよう努める。都市部職員・労働者のための基本医療保険制度、医療衛生体制や医薬品生産流通体制の改革、省・地区・県三段階の疾病予防対策ネットワークの整備、突発公共衛生事件における医療救護システムの整備及び中・西部地区で新しいタイプの農村合作医療改革のテストを積極的にサポートした。科学技術の重点分野と重点項目への投入を増やし、それぞれ国家自然科学基金として二〇億元、国家重点基礎研究規画特別項目の経費を八億元、国家「八六三計画」(ハイテク研究・発展計画)特別項目の経費を四五億元、中国科学院の知識イノベーションプロジェクト・テストに関する特別項目の経費を三三億元計上した。こうしたことにより一群の重要な科学研究成果が生み出され、科学技術事業の発展を促進した。書籍を農村に届けるプロジェクトや全国の文化情報資源の共有化プロジェクト及び国の舞台芸術の優秀作品プロジェクトなどの文化プロジェクトがスタートし、古参スポーツ選手、古参コーチの医療保険など特別資金を設立することによって、文化、スポーツ事業の発展を促した。

 (六)輸出による租税還付メカニズムの改革案がスムーズに実施されている

 二〇〇三年、財政部門は商務、税務などの関連部門と共同で輸出による租税還付金の未払い問題を根本から合理的に解決する効果的な措置案を積極的に検討し、提起した。党中央、国務院は輸出の租税還付メカニズムの改革を行う決定を思い切って打ち出し、「未払い現象を新たに生じさせず、累積した未払い金を清算し、そのメカニズムを完備させ、地方と中央が還付金を共同負担し、改革を推し進め、発展を促進する」という改革の原則を定め、下記の五項目の政策をはっきりさせた。一つは輸出による租税還付率について構造的調整を行ない、今の還付率を維持するものと、引き下げるものとを区分けし、平均して三%前後下方修正すること。二つは二〇〇三年に算定した還付額をベースに二〇〇四年から租税還付額がこのベースを超過した分について、中央と地方が七五対二五の割合で共同で負担すること。三つは中央の輸入付加価値税、消費税の増加分はまず租税還付金に充てること。四つは二〇〇三年末までに累積した、企業に未払いの還付金は中央財政から全額支払うこととする。五つは対外貿易体制の改革を加速させること、などである。同時に二〇〇三年度中央財政の輸入付加価値税、消費税収入超過分八二九億元はすでに租税還付金に追加した。

 (七)予算管理制度の改革は引き続き深化された

 第一に、「収支二本立て」管理の改革を引き続き深化させ、これまで対外経済貿易部、人事部など三〇の部門と機関が徴収していた一一八項目の行政事業的性格の料金を予算管理の枠に組み入れた。第二に、部門別予算の改革を絶えず深化させ、全国人民代表大会に報告する部門別予算の範囲をいっそう拡大し、その中味も一段と規範化させ、中央所属の一一八の二級事業体を基本支出と定員・定額改革のテスト・ケースに追加指定した。第三に、国庫集中受払制度をめざす改革をさらに強化し、国庫による集中支払い制度の改革テストを行う中央所属部門は前年度の四二ヶ所から八二ヶ所に広げた。第四に、政府買付枠はいっそう拡大し、二〇〇三年度全国での政府買付規模は一五〇〇億元を超え、前年度より五〇〇億元増えた。第五に、財政資金に対する監督・検査をさらに厳しくし、この一年間に、規定・紀律違反を摘発処理した金額は六一二億元に及んでいる。予算管理制度改革の深化と財政監督活動の強化に伴い、財政資金の安全性、規範性と効果性が向上した。

 代表のみなさん 

 全般的に見れば、二〇〇三年度の予算執行過程でぶつかった困難は予想より大きかったが、執行の結果は予想より好ましいものであった。にもかかわらず、われわれは予算執行において見過してはならない問題がなお一部存在することも冷静に見て取っている。一つは、財政収支への圧力が依然としてかなり強く、収支の矛盾が際立っており、さらに財力が不十分であるためにやるべき事業がやれないケースがなお多く存在していること。二つは、経済発展の過程においていろいろな方面に潜在するリスクがどんどん財政の方へ押し寄せてきており、財政のリスク防止と解消の任務が非常に重いこと。三つは、支出の構造をひきつづき調整すべきであり、財政から社会事業の発展へのバック・アップをさらに強めていく必要があり、一部の地域、とりわけ一部の農村では就学難、医療難、飲用水不足、交通難などの問題がなお存在している。四つは、一部の地区では末端機構の財政が依然としてかなり困難であり、また一部の地方では給与遅配などの現象がまだ見られるということ。五つは、偽帳簿の作成、脱税、税金のごまかし、派手好みや資金の無駄遣いなどの問題は相変わらずかなり深刻であり、財政・経済秩序をよりいっそう規範化する必要があり、財政資金の運用効果も一段と向上させなければならないこと。これらの問題について、われわれは真剣に対処し、緊迫感、使命感を強め、人民のために財政を管理する責任感をしっかり持って、公共財政体制の整備を速め、社会主義市場経済体制のさらなる健全化を大いに推進し、それを積極的に一歩一歩解決していかなければならない。

 二、二〇〇四年度中央と地方予算案

 二〇〇四年度予算の編成と財政活動に関する全般的構想は次のようなものである。ケ小平理論と「三つの代表」の重要思想を指針とし、中国共産党の第十六回全国代表大会、十六期三中総と中央経済活動会議の精神を全面的に踏み込んで貫徹するとともに、全局を見渡すバランスの取れた持続可能な科学的発展観をしっかり樹立し、改革、発展、安定の関係を正しく処理し、「五つの協調」(都市と農村の発展、地域間の発展、経済と社会の発展、人間と自然の調和のとれた発展、国内の発展と対外開放を協調させること)の実現をよりよく促進する。引き続き積極財政を実施し、マクロ規制をよりよく強化する。財政・税制の改革を深化させ、公共財政体制を健全化し、体制の革新をよりよく推し進める。増収と節約に努め、経済・社会発展における際立った矛盾の解決に力を入れ、人民大衆の物的・文化的生活水準と健康水準の不断の向上をよりよく促進する。

 二〇〇四年度予算の主要指標を下記のように提示する。中央の歳入は一兆三八一九億元で、二〇〇三年度より九〇七億元増やし、七%増とする。(二〇〇三年度の執行額の数値はすでに比較可能な基準で調整済み)中央の歳出は一兆七〇一七億元で、九〇七億元増やし、五・六%増とする。収支を差し引くと、赤字額は三一九八億元で、二〇〇三年度のそれと同じであるが、予算赤字のGDPに占めるウェートは二〇〇三年度の二・九%から二・五%まで引き下げ、〇・四ポイント下げたことになる。二〇〇四年度の中央財政は国債依存プロジェクトの資金を一一〇〇億元計上するが、前年度より三〇〇億元減らし、その内、九五〇億元を中央予算に組み入れ、残りの一五〇億元は地方政府を代行して発行し、同時に中央予算における経常的建設投資を五〇億元増やす予定である。二〇〇四年度中央財政が期限切れで償還すべき国内外債務元金は三六七四億元で、本年度の補填すべき赤字額三一九八億元と地方政府に代行して中央が発行する一五〇億元を加えると、国債発行の総規模は七〇二二億元となる。中央と地方の財政収支計画を集計して見ると、二〇〇四年度全国の歳入は二兆三五七〇億元で、一八七九億元増え、八・七%増となる。全国の歳出は二兆六七六八億元で、二一六一億元増え、八・八%増となる。

 二〇〇四年度中央財政の赤字規模を前年度並みにしたのは、主として次の要素を念頭に置いたからである。現在国際経済の発展には不確定要因がいくらか存在しており、我が国経済の持続的成長の基盤はまだ強固なものではなく、建設中の国債依存プロジェクトに対し後続資金を投入する必要があり、社会発展の一部の分野には借りがかなり多く、積極財政の安定性と一貫性を保ち、その充実と完備をはかることは、当面の経済発展の好ましい勢いを保ち、定着、発展させる上で有利であり、各方面が発展を加速させることに対し自信を固め、安定と改革、発展という大局に対して有利に働く。一方、投資の主体が多元化し、社会的投資の規模が絶えず拡大している状況において、国債依存プロジェクトの資金規模を適度に縮小し、国債の運用構造をさらに調整し、最適化するならば、社会的投資をよりよく誘導し、その役割をよりよく発揮させ、税制改革などの体制革新の支援に財政資金をまわすことが可能になるのである。国債投資の重点は、農村のインフラ、公共医療衛生、基礎教育、末端政権および公安・検察・裁判・司法のインフラ整備に向けられ、また西部大開発の支援、東北地区などの旧工業基地の調整と改造に向けられ、生態系の整備と環境保全に向けられ、さらには淮河の治水工事などの重要な水利工事の加速に向けられ、国債依存プロジェクトの後続資金への保証、特に青海=チベット鉄道、「南水北調」(南方の水を北方へ導入)、「西電東送」(西部から東部への送電)などの重要なプロジェクトへの資金保証に向けられる。

 二〇〇四年度全国歳入の伸びを所期の経済成長率よりやや高く計上したのは、主として次のことを念頭に置いたからである。国民経済はかなり速い成長を続けるものと予期され、租税の徴収と管理のレベルもいちだんと向上するので、財政収入を増やせる強固な基盤を築き上げることになる。一方、経済・社会の全面的でバランスの取れた持続可能な発展を促進し、体制改革を支援し、社会の安定を維持するため、二〇〇四年度には一連の財政・税制に関する優遇策、例えばひきつづき関税率の全般的引下げ、輸出による租税還付指標の増加、就業と再就業への助成、西部大開発、東北地区などの旧工業基地の振興、ハイテク産業発展の奨励及び農民負担軽減のための税収面からの支援などの政策を引き続き実施し、または新たに制定する。これらの政策はいずれも財政収入をそれなりに減少させるであろう。同時に、財政収入額のベースが絶えず上昇して来ており、しかもそれが多年にわたって連続して経済成長率を上回り、さらに輸入は二〇〇三年度のような高い成長率を維持することは難しく、財政収入の大幅の伸びを期待することはできなくなるであろう。このため、二〇〇四年度の収入予算は積極的かつ穏健なものであり、実情に即したものである。

 二〇〇四年度中央財政支出の重点を次のように計上した。

 (一)農業、農村と農民への投入を増やす

 農民の所得の持続的増加を促す長期的で効果のあるシステムと財政の農業支援資金が安定的に伸びつづけるシステムを確立し、「農業、農村、農民」問題の解決の助成に大きな力を入れることは財政活動の重要な任務である。二〇〇四年度中央財政は引き続き「農業、農村、農民」に対する資金投下をかなり大幅に増やす予定であり、支出総額を三〇〇億元以上増やし、前年度より二〇%以上増とする。一つは、農村における租税・費用の改革を深化させ、農業税の税制を充実させること。二〇〇四年、煙草税以外のあらゆる農業特産物税を全面的に廃止し、農業税の税率も全般的に一ポイント以上引き下げるとともに、それを食糧の主要生産地と食糧作付農家へ傾斜させ、それによって農民負担は一一八億元軽減される。五年以内に農業税を廃止する。地方財政の実際の困難を考慮して、農業特産物税の廃止、農業税の税率を引き下げることによって収入が減少した地方、とくに食糧主要生産地と中・西部地区の財政に対して、中央財政は移転支出によって適切に補助する。二〇〇四年度、中央財政は農村における租税・費用改革への特別移転支出資金を九一億元増の三九六億元計上する予定である。同時に郷・村における債務の解消、郷・鎮機構改革の推進、農村における義務教育体制の充実化などに対する助成を一段と強化していく。二つは、食糧流通体制の市場化改革を積極的に推し進め、流通段階を通じて間接的に農民に補助を与えるシステムを食糧主要生産地の食糧作付農家に対する直接補助に改め、二〇〇四年度には食糧リスク基金から一〇〇億元の資金を割いて、十三の食糧主要生産省の食糧作付農家への直接補助に振り当てる。三つは、農業インフラの整備、林業生態系の整備、農業の科学技術の進歩、農民の農芸研修、農産物の品質標準化体系の整備、食糧の総合的生産能力の向上、農業災害の救助及び貧困扶助などへの財政投入を増やす。

 (二)就業と社会保障への投入を増やす

 就業と社会保障は人民大衆の身近な利益に関わるものであり、社会の安定化に関わるものであり、発展という大局に関わるものでもある。二〇〇四年度中央財政は就業と社会保障への助成にさらに力を入れる。一つは、就業と再就業を積極的にサポートすること。就業と再就業に関する中央の諸般の財政・租税優遇政策を真剣に実行すると同時に、再就業補助金を三六億元増やす予定であり、前年度より七六・六%増となる。二つは、「二つの確保」と「最低生活保障」への助成を強化するため、二〇〇四年度中央財政は七七九億元を計上する予定である。それと同時に社会保障システムをいちだんと完備させ、さまざまなルートから社会保障資金を調達し、引き続き再就業政策と「三つの保障ライン」などの社会保障制度とを接合させる作業をしっかりと行い、遼寧省の都市部社会保障システムの整備をはかるテスト作業を総括し、テストの内容とやり方を整備した上でテストの範囲を吉林省と黒龍江省にまでひろげる。三つは、経済構造の調整を推し進め、法律に基づいて一部の企業に対し閉鎖及び破産を実施し、企業がこれまで運営してきた社会事業の機能を分離させる作業を一段と強化し、閉鎖や破産を宣言した企業への補助金を一七〇億元追加する。さらに極貧困層に対しても積極的に扶助と救済を行う。

 (三)教育、医療衛生、科学技術、文化、スポーツなどの事業への投入を増やす

 義務教育、とりわけ農村での義務教育を強化し、西部地区の「二つの基本」(九年制義務教育の基本的な普及と青・壮年非識字者の基本的な一掃)という教育の難関の突破に拍車をかけ、農村の義務教育の「管理主体」は県であるという管理体制を完備化させ、貧困県への義務教育のための移転支出を増やし、農村の小・中学校の老朽化校舎改築の第二期プロジェクト及び現代的遠隔教育プロジェクトを引き続き実施し、教科書の無料配布範囲を広げる。疾病の予防・対策システムおよび突発公共衛生事件における医療救護システムの構築を加速し、公共衛生のサービスレベルと突発公共衛生事件への即応能力を高め、農村部の医療衛生の条件を改善し、農村における新しいタイプの合作医療制度改革のテスト作業を立派に行うようサポートする。国の科学技術イノベーション・システムの構築および中長期科学技術発展計画の作成をサポートし、科学技術体制の改革とシステム・イノベーションを推し進め、重要な科学技術プロジェクトの実施とその成果の実用化を促進する。先進的な文化事業と文化産業の発展に大いに力を入れる。二〇〇四年度中央財政は教育、医療衛生、科学技術、文化、スポーツに振り向ける支出を九五五億元計上し、前年度より一〇〇億元増とし、これを主に農村に傾斜させる。

 (四)地方への移転支出を増やす

 二〇〇四年度中央財政は地方、とりわけ中・西部地区に対する移転支出をさらに増やし、租税還付と体制的補助四二七七億元のほかに、地方への移転支出を五一三三億元計上し、比較可能な基準で計算すれば前年度より六四四億元増やすことになる。そのうち、地方の財政力をつけるための移転支出は二二三八億元とし、前年度より三二六億元増やすことになる。これと同時に、末端機関の財政難について、専門家を組織して、立ち入って調査、研究を行い、その原因を真剣に調べ、分析したうえで、それぞれの問題に対する措置や提案を提出し、末端機関における財政難の問題を類別ごとに段取りを追って解決していくようにする。

 (五)税制およびその他の面の体制改革の推進をサポートする

 一つは輸出の租税還付メカニズムの改革がスムーズに展開されるよう保証すること。二〇〇四年度中央財政は輸出による租税還付の指標を二一〇八億元と設定し、輸入品の付加価値税、消費税の増収分はまず増加する輸出還付金に振り向けるものとする。地方財政も輸出による租税還付指標を十分計上しなければならない。各クラスの財政・税務部門は新しい状況や新しい問題の発生について細心の注意を払い、適時に関連措置を十分検討し、輸出による租税還付の管理を強化し、新たな未払い現象が発生しないよう確保する。これまで累積した未払いの還付金については、とりあえず中央財政が利子補給を行い、後に抜本的な解決策を検討する。二つは生産型付加価値税を消費型付加価値税に切り換える作業を積極的かつ着実に推し進めること。東北地区の一部業種における付加価値税の切り換えテストを真剣に展開し、その経験を適時総括し、積極的にその方案の充実化を図り、改革を全面的に展開していく条件を作り出す。三つは国内企業と外資系企業の所得税の一本化およびそれ以外の税制改革についての政策と方針の研究を速める。四つは金融体制の改革をサポートし、金融リスクを防ぎ、それを解消し、重点的に中国銀行、建設銀行の株式制改造をバックアップし、農村信用協同組合へのインフレプルーフ定期預金による赤字の補填資金を増やすこと。五つは投資体制の改革及び電力、電信・電話、民間航空および鉄道、郵政、都市公共事業などの改革を積極的にサポートする。

 (六)各クラスの政権の正常な運営を保証する

 政権の整備を強化し、政府機関・事業体職員の給与が期日通りに全額支給されるのを保障し、政府機関・事業体職員給与のベースアップによる給与総額の増加などを考慮して、支出を一一八億元追加する。各クラスの政府に移管された軍隊の定年離退職幹部の生活待遇、優遇政策の調整などに関する支出を三〇億元増やす。地方の公安・検察・裁判・司法部門に対する特別補助を一五億八〇〇〇万元増やす。ハイテク条件下におけるわが軍の防衛作戦能力を高め、軍人の給与及び定年離退職軍人の年金調整によって増えた金額を計上して、国防支出を二一八億三〇〇〇万元増やし、一一・六%増とする。

 このほかに、改革、発展、安定という大局にかかわる他の支出需要を積極的に満たし、主動的に保障すべきである。

 三、着実に仕事を進めて、二〇〇四年度予算案の円滑な達成を確保する

 二〇〇四年度の財政活動を立派に行い、予算案の円滑な達成を確保することは、改革の深化、開放の拡大、発展の促進にとって重要な意義をもっている。そのため、われわれは主に次のような諸活動に力を入れることとする。

 (一)法に依拠して収入の徴収・管理を強め、財政収入の安定的な伸びを確保する

 一つは租税法の統一性、権威性と厳粛性を断固擁護すること。租税優遇政策または形を変えた優遇政策を勝手に制定する行為を断固として阻止し、租税減免の期限を満了した企業に対し早急に徴税を再開しなければならない。二つは法によって、租税の徴収・管理を強化すること。密輸、脱税や税金のごまかしなど租税関係のさまざまな違法犯罪行為に厳しい打撃を与え、法に依拠して租税を徴収し、徴収すべきものをすべて徴収するとともに、税額をオーバーする超過徴収や納税期日を早める繰り上げ徴収なども絶対許してはならない。三つは租税外の収入への管理を規範化させること。とりわけ土地使用料などの租税外の収入は予算あるいは財政特別口座の管理下に組み入れ、引き続きさまざまな名目の不当な費用の徴収を整頓しなければならない。

 (二)財政の支出管理を厳格にし、各項目の支出を節約するよう努力する

 勤倹を旨として国を建設し、刻苦奮闘する作風を大いに発揚し、ひきつづき一般的支出のゼロ成長をはかる政策を実施する。予算の厳粛性と権威性を意識的に擁護し、確実に各級人民代表大会に承認された予算に則ってことを運ぶ。党・政府機関のオフィス・ビル及び研修センターなどの建設を厳重に規制し、政府の発注したプロジェクトの未払い工事費及び農民就労者の賃金遅配問題の抜本的な解決に力を入れる。様々な名目のあまり実質的意義のないイベント、祝典及びフォーラムなどについては、一律に財政から資金を支給してはならない。金財プロジェクトの建設を速め、現代化した管理手段を十分運用し、管理と監督・検査の度合いを大きくし、損失、浪費を減少させ、財政・経済秩序の規範化をはかる。政府機関におけるサービス部門の社会化をめざす改革を積極的に推し進め、公務活動関連の接待制度を充実させ、事業体向けの経費交付範囲を科学的に定める。

 (三)予算管理制度の改革を深化させ、法による執政を推進する

 改革の範囲をさらに拡大し、改革の方法を絶えず改善し、改革をひきつづき深化させる。科学的な政府収支分類体系の検討を急ぎ、行政事業の費用徴収項目をよりいっそう規範化させる。予算運用の効果と効率に対する科学的な評価体系の構築を検討し、定員・定額の査定方法を規範化させ、プロジェクト支出管理の方法と手段を改善し、財政の支出効果を確実に引き上げる。『行政許可法』を真剣に実施し、行政による審査・許認可事項をさらに整理し、規範化させ、その手続きを減らし、財政・税収関係の法律と法規を完備させる。社会各界の監督を自覚的に受け、財政管理の規範性と透明度を絶えず高める。

 (四)活動の作風を改善し、発展という大局に奉仕する

 各クラスの財政部門は真実を追求し実際を重んじ、活動の作風を確実に改善すべきである。一つは大局意識を確立すること。問題を考え、事を運び、収支を計上する際に終始大局から出発し、思想と行動を意識的に中央のそれぞれの政策決定及び配置に統一させる。二つは能動的に行動する意識を確立すること。執政と祖国振興にとって最も重要である発展をしっかり把握し、積極的かつ能動的に公共財政の機能を発揮させ、大衆の考えに則って物事を考え、発展の急務に従ってことを急ぎ、特別なことは特別に処理し、至急の用件を至急解決する。三つは真実を求める意識を確立すること。真実を語り、真実に則って事を運び、収支の確実性を重んじ、実際の効果を求め、見せ掛けだけの役に立たないものや形式主義を追わない。四つはサービス意識を確立すること。積極的に意思の疎通をはかり、能動的に協調し合い、誠心誠意大衆に奉仕し、末端に、さらに各部門に奉仕する。

 代表のみなさん

 二〇〇四年度の予算の達成をめぐって財政活動の任務はかなり重く、並大抵のものではない。われわれは、胡錦涛同志を総書記とする党中央の指導のもとに、ケ小平理論の偉大な旗じるしを掲げ、「三つの代表」の重要な思想を突っ込んで貫徹し、中国共産党第十六回全国代表大会、十六期三中総の精神及び第十期全国人民代表大会第二回会議で採択された経済・財政活動に関する各項目の要求にもとづき、自ら進んで財政活動に対する人民代表大会の監督と指導を受け、真剣に人民政治協商会議の意見と提案に耳を傾け、精神を奮い立たせ、法による財政管理をおこない、真実を追求し実際を重んじ、全面的に小康社会を築き上げるという偉大な目標に向かって努力、奮闘しよう。