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温家宝総理の政府活動報告(3)
政府部門の建設強化


 三、政府部門みずからの建設を強化する

 小康社会の全面的建設に向けての過程において、政府は重くて困難な課題を抱えている。各クラスの政府と指導幹部が新しい情勢と新しい課題に適応し、絶えず行政能力と管理レベルを高めなければならない。一年来、われわれは人民のために執政するという要求および法治政府を建設する目標に基づいて、科学的かつ民主的な政策決定を実施し、法による行政を堅持し、行政監督を強化するという三つの基本的準則の強化に努めた上で、それをさらに真剣に貫徹、実施した。新年度においてわれわれは次のいくつかの面に力を入れなければならない。

 一、政府機能の転換を推進する。各クラス政府は職責を全面的に履行しなければならず、引き続き経済の調節に立派に取り組み、市場の監督・管理を強化すると同時に、いっそう社会管理と公共サービスの機能を重視する。特にさまざまな突発事件への対処メカニズムの確立と健全化を速め、政府の公共の危機への対処能力を高めなければならない。政府と企業の分離を速めなければならない上、政府がやるべきでないことは更に企業、社会組織および仲介機構に移譲し、資源の配置における市場の基礎的な役割をよりいっそう大きく発揮させる。それと同時に、仲介機構に対する規範化と監督管理を強化する。政府がやるべきことは必ず立派にやり遂げ、新しい情勢に適応させてその管理の方式と方法を改善し、行政と仕事の効率を高めなければならない。

 二、科学的かつ民主的な政策決定を堅持する。よりいっそう大衆の参与、専門家によるフィジビリティ・スタディと政府の政策決定を結びつけた政策決定メカニズムを充実させ、政策決定の科学性と正確性を保証しなければならない。重要問題の集団による決定制度や専門家諮問制度、社会への公示制度、社会に向けての公聴制度および政策決定責任制の確立と完備を速める。すべての重要な政策決定については、いずれも調査研究を深め、広範囲にわたって意見を聴取し、十分にフィジビリティ・スタディをおこなった上で集団で検討してから決定を下すものとする。これは政府活動の基本的制度の一つとして長期にわたって堅持していかなければならない。

 三、法による行政を全面的に推進する。各クラス政府はみな法定の権限と手続に基づいて権限を行使し、職責を果たさなければならない。すべての政府公務員はいずれも法によって経済社会の事務を処理することを身につけ、それに長じなければならない。法によって行政をおこなう体制を改革し、行政許認可権と行政処罰権を相対的に集中させ、総合的な法律執行の試行作業を繰り広げ、多くの部門が重複して法を執行する問題やむやみやたらに罰金を課する問題を解決しなければならない。行政執行への監督を強化し、厳格に、公正かつ文明的に法を執行することを促すべきである。法の執行にあたって責任制と過誤追及制を実行し、行政賠償制度を完全なものにし、厳格に執行し、権限を行使するとともに責任を負い、権力を行使すると監督を受け、権利の不法侵害には賠償を課すようにする。今年七月一日、『中華人民共和国行政許可法』が正式に施行される。これは政府の行為を規範化させる重要な法律であり、各クラス政府は真剣に執行しなければならない。

 四、人民の監督を自覚をもって受け入れる。政府の権力はすべて人民によって与えられたものであり、人民に対して責任を負い、人民のために利益を図り、人民の監督を受けなければならない。人民の監督を受けてこそはじめて、政府は怠ることがなくなる。各クラス政府は自覚を持ってその同クラスの人民代表大会およびその常務委員会の監督を受け、人民政治協商会議の民主的監督を受け、真剣に民主諸党派、工商連合会、無党派の人びとと各人民団体からの意見に耳を傾けなければならない。それと同時に、世論による監督および人民大衆による監督を受け、人民大衆が行政再審議や行政訴訟などの法定ルートを通じて政府機関およびその公務員を監督することを重視しなければならない。政府部門内部の監督を強化し、監察、会計監査の部門が法によって独自に監督の職責を履行することをサポートしなければならない。人民大衆が理解しやすく、監督しやすくするためには、政務情報公開制度を確立し、政府活動の透明度を増強しなければならない。

 五、政府部門の作風づくりと公務員陣の充実化を強めること。真実を追求し、実際を重んじる精神を発揚し、科学的な発展観と正しい治績観を確立すること、これは政府部門の作風づくりの重要な内容である。各級政府が問題について思考をめぐらし、事を運び、政策決定を行うにはつねに中国の現段階の国情に合致させるべきである。必ずすべてについて実際から出発することを堅持しなければならず、客観的法則に基づいて事を運び、積極的に進取を目指す一方、力に応じて事を運ぶべきであり、盲目的に他と比べたりしないことである。まじめに仕事に取り組み、実効性を求め、人民の財力を大切にしなければならず、民衆を疲弊させ財力をムダにするような「イメージづくりのためのプロジェクト」は立件しないということを堅持しなければならない。実情を調査し、真実を語り、水増し報告やホラ吹きをなくすことを堅持しなければならない。統一的に企画し、各方面に配慮し、現時点に立脚し、将来にも目を向けるようにしなければならず、功をあせって目先の利益ばかりを考えてはならない。活動の作風を改善し、会議を減らし、文書を減少させ、より多くの時間と精力を費やして末端に深く入込み、調査研究することを堅持しなければならない。すべての活動は実践、大衆及び歴史の検証に耐えうるようにするべきである。

 公務員の資質は政府の管理レベルと効率を決定づけるものである。したがって、政治的立場がしっかりしていて、業務に精通し、清廉潔白で作風が優れた公務員陣をつくりあげるべきである。この陣容は思想を解放させ、実際に即して真理を求め、時代とともに前進することを堅持しなければならない。人民のために執政する思想をしっかり打ち立て、人民大衆との密接なつながりを保ち、誠心誠意人民のために奉仕すべきである。 憲法と法律を遵守し、法によって行政をすすめる能力を備えなければならない。職務に忠実であり、学習に努め、勤勉に仕事に励む。規律と職業モラルを遵守し、信義、誠実をむねとし、清廉かつ公正で、公平を期し品行方正たることに努め、献身的に奉仕すべきである。各クラスの政府は厳格に行政の仕事に取り組み、賞罰を明確にしなければならない。公務員に対する育成トレーニングと考課の仕事を重視し、強化すべきである。    

 廉潔政治の建設と反腐敗の闘争を強化させる。教育、制度、監督をともに重視する腐敗に対する抑制・懲罰体系を確立する。法律に違反し規律を乱すさまざまな案件及び腐敗分子を断固として取り調べ、処分し、人民大衆の利益を損ねる不正な気風を断固として是正する。すべての政府関係者、とりわけ各レベルの指導幹部はみな謙虚かつ慎重で、おごりやあせりのない作風をひきつづき保たなければならず、刻苦奮闘の作風をひきつづき保たなければならない。

 代表の皆さん

 香港、澳門の長期的安定と繁栄発展を維持することは、われわれの確固不動の目標である。われわれは「一国二制度」、「香港人による香港統治」、「澳門人による澳門統治」、高度の自治という方針を堅持し、香港特別行政区、澳門特別行政区の基本法に厳格にのっとって事を運び、全力をあげて香港、澳門の二つの特別行政区行政長官と政府が基本法に基づいて行政に取り組むことをバックアップする。香港、澳門地区の各界の人々を幅広く結束させる。大陸部と香港、澳門との間でのさらに密接な経済貿易関係についての措置(CEPA)の実施を的確にやり遂げる。われわれは香港、澳門の前途に対し自信に満ちている。

 われわれは「平和的統一、一国二制度」の基本方針および現段階における海峡両岸関係を発展させ、祖国の平和的統一を推し進める八項目の主張を堅持する。われわれは積極的に両岸の人的往来や経済、文化の交流を推し進め、両岸間の直接「三通(通信、通航、通商)」の実現を促進させ、法に基づいて台湾同胞の大陸部における正当な権益を保護し、引き続き一つの中国の原則を踏まえて海峡両岸の間の対話と交渉の回復をはかる。われわれは最大の誠意を持って、最大の努力を払って、祖国の平和的統一を実現するものである。「台湾独立」をもくろむいかなる形の分裂活動にも断固反対し、台湾を中国から切り離そうとするいかなる者、いかなる方式も絶対に許さない。われわれは台湾同胞を含むすべての中華民族の子孫がたゆまず努力することにより、祖国の完全なる統一という共通の願いが必ずや早期実現できるものと確信している。

 代表の皆さん

 当面、国際情勢は引き続き複雑かつ深刻な変化が生じつつある。平和と発展は依然としてこの時代の主なテーマである。世界の多極化と経済のグローバル化は曲折しながらも発展をとげており、平和と発展を目指し、協力と進歩を促進することは阻むことのできない歴史の流れである。しかし、一国単独主義の傾向には新たな発展が見られ、局地的衝突は絶えることなく、国際テロリズムの活動が頻繁に発生し、南北の格差はさらに大きくなり、新旧の安全問題がからまり合っており、各国人民は厳しいチャレンジに直面している。

 過ぎ去った一年において、われわれは独立自主の平和外交政策を堅持し、チャンスをとらえ、挑戦に立ち向かい、進んで前進したため、対外活動は顕著な成果を勝ち取った。わが国は世界でいっそう多くの理解、信頼、尊重、支持を得ており、国際的地位と影響力はさらに向上している。

 新しい年において、われわれは引き続き平和、発展、協力の旗印を高く掲げ、われわれはゆるぐことなく独立自主の平和外交政策を実行する。平和共存五原則を堅持し、各国との友好交流と協力を推し進め、より望ましい国際環境と周辺環境をつくり出すよう努めなければならない。

 われわれは世界の多極化を促進することを堅持しなければならず、国際関係の民主化と発展方式の多様化を提唱し、経済のグローバル化によって世界各国がともに繁栄にむかう方向へと発展するよう促進する。相互信頼、互恵、平等と協力という新たな安全意識を堅持し、覇権主義と強権政治に反対し、いかなる形のテロリズムにも反対し、ひきつづき公正で合理的な国際政治・経済の新秩序の構築を推し進める。

 われわれは発展途上諸国との友好協力を強化し、協力の新しいルート、新しい形式を模索し、広範な発展途上諸国が相互に連携し合って自ら向上を求めることを支持する。

 われわれは善意をもって隣国に対処し、隣国を仲間と見なす方針を堅持し、周辺諸国との善隣友好協力を強化し、地域の平和と安定を維持する。

 われわれは先進諸国との関係をたえず強化しなければならない。共通の利益を目ざす合意点を求め、それをさらに広げることに努め、平等な話合いと協議を通じて、存在している食い違いを一歩一歩と解決し、相互関係の安定した発展を促す。

 われわれは積極的に多国間の外交関係を進展させ、国連とその他の国際及び地域組織において建設的な役割を果たさなければならない。

 中国政府と中国人民は終始一貫して人類の正義の事業の側に立って、各国人民と共に世界平和を守り、ともに発展することをめざしてたゆむことなく奮闘するであろう。