温家宝総理の政府活動報告(一)
 

代表のみなさん

ここに、私は国務院を代表し、大会に政府活動報告を行い、審議を求めるとともに、全国政治協商会議の委員の皆さんからもご意見を求めたいと思う。

一、二〇〇六年の活動の回顧

二〇〇六年は、わが国「第十一次五ヵ年計画」の実施において、幸先のよいスタートを切った一年であり、国民経済と社会の発展において重要な成果を収めた。

――経済は安定した急速な成長をとげた。国内総生産(GDP)は二〇兆九四〇〇億元となり、前年度より一〇・七%伸びた。消費者物価の総体的水準は一・五%上昇した。経済成長は四年連続で一〇%ないし一〇%強となったが 、目立ったインフレは見られなかった。

――経済のパフォーマンスは着実に向上した。全国の歳入は三兆九三〇〇億元に達し、前年度より七六九四億元増え、一定規模以上の工業関連分野の企業が達成した利潤額は四四四二億元増え、三一%伸びた。

――改革開放は一段と深化した。重点分野及びカギとなる部分の改革には新たな進展が見られた。輸出入貿易総額は一兆七六〇〇億ドルに上り、前年度より二三・八%伸びた。外商の直接投資の実質利用額は六九五億ドルとなった。

――社会諸事業の発展は加速された。科学技術イノベーションでは重要な成果をあげ、教育事業は引き続き発展し、公共医療衛生体系の整備は強化され、文化、スポーツ事業はいっそう繁栄している。

――人々の生活はかなり改善された。都市部の新規就業者数は一一八四万人に達した。都市部住民の一人当たりの可処分所得は一万一七五九元、農村部住民一人当たりの純収入は三五八七元となり、価格要因を差し引くと、前年度よりそれぞれ実質的に一〇・四%と七・四%の伸びとなった。

これらの成果は、わが国の総合的国力がいっそう増強され、われわれが小康社会の全面的建設という目標に向かって、さらに堅実な一歩を踏み出したことを物語っている。

ここ一年の主要な活動は次の通り。

(一)マクロコントロールを強化し、改善した。経済運営の過程で生じた投資の過熱やマネーサプライ・銀行貸出の過剰供与、対外貿易の黒字超過などの際立った問題について、中央政府はいち早く一連のマクロコントロール措置を講じた。土地に対する規制を強化し、建設用地の新規増加を引き締め、規制し、土地利用に関する法律・法規違反行為をきびしく取り調べ、処罰した。マネーサプライ・銀行貸出の管理を強化し、人民元建て融資の基準金利を二回、金融機関の預金準備率を三回も引き上げた。経済運営に対する財政・税収の調節機能を強化した。新規プロジェクトの市場参入に対する審査・確認、監督・検査を強化した。不動産市場に対する規制と監督・管理を強め、住宅の供給構造の調整に力を入れた。これにより、マクロ規制諸措置の効き目が徐々に現れ、固定資産投資の伸び率は鈍化し、銀行貸出の増加幅が縮小したため、やや急ピッチで成長した経済が過熱につながることを防ぎ、経済の大きな振れを回避することができた。

(二)「農業、農村、農民」の仕事に取り組む度合いを大きくした。社会主義新農村の建設を着実に推し進めた。通年で中央財政の「三農」に用いた支出は三三九七億元となり、前年度より四二二億元増加した。全国範囲で農業税と特産物税を撤廃し、二六〇〇年余りも続いてきた農民に対する徴税の歴史に終止符が打たれた。穀物作付農家向けの直接補助金、良質種子補助金と農機具購入補助金を引き続き増やし、農業生産財総合補助政策を実施し、重点地区の重要食糧品種に対し最低買付価格政策を引き続き実施し、財政難を抱える県と郷および食糧主産県への移転支出を増やした。かなりひどい自然災害に見舞われたにもかかわらず、主要農産物の収穫高は安定的に増加した。食糧の年間総生産高は四億九七四五六万トンに上り、三年連続の増産となった。農村の道路、水利、電力、通信などの基盤整備が強化され、農村において新たに二八九七万人分の安全な飲み水を確保し、バイオガスを利用する農家が四五〇万戸増え、農民の生産と生活諸条件は引き続き改善されている。農村の貧困脱却扶助・開発事業には新たな進展が見られ、農村の貧困人口は二一七万減少した。農民就労者と関連のある問題の対策・措置を制定、実施し、低賃金や給料遅配・未払い問題の解決や、法律に基づく雇用管理の規範化、就業者の養成・訓練と社会保障の強化などの諸方面で農民就労者の合法的権益を守った。

(三)経済構造の調整を加速させた。プラント製造業の早期振興政策措置を制定し、カギとなる分野の重要プラントの自主的製造を促進した。一〇〇万キロワット級の原子力発電設備、超超臨界火力発電ユニット、新型船舶などの設備の自主化作業を繰り広げ、高性能NC工作機械や重要な基礎的製造プラントなどの重要特別プロジェクトをスタートさせた。鉄鋼、石炭、セメントなど十一業種の産業構造調整政策措置を制定し、実施し、一部の生産能力過剰の業種では投資の増加幅が著しく縮小され、新規着工プロジェクト計画の投資総額は大幅に低減し、石炭、電解アルミ業界においてそれぞれ一億一〇〇〇万トン、一二〇万トンの立ち遅れた生産能力を淘汰した。国民経済全般に関わる一群の重要なプロジェクト建設が完成するか、操業に入ったり、着工されたりしている。青海=チベット鉄道が全線開通し、三峡ダム左岸発電所が竣工・稼動開始し、金沙江向家ハ水力発電所工事が着工した。これらの成果も経済発展の後続力の強化に重要な役割を発揮するであろう。

省エネ・環境保護事業をよりいっそう重視することになった。省エネ・原材料消費と汚染物質排出の削減政策を充実させ、省エネ・汚染物質排出削減の目標責任制をあまねく確立した。重点業種、重点企業と重点プロジェクトの省エネの仕事を鋭意推進し、循環経済のテストを行い、三峡ダム地区、松花江、南水北調の水源地及びその沿岸地域、渤海などの重点流域と水域の水質汚濁対策を強化するとともに、石炭を利用する火力発電所の脱硫や都市の汚水処理、ゴミの無害化処理など環境保護分野の重点プロジェクトを実施した。四年連続して全国で汚染物質の不法排出企業の取り締まりや、人々の健康を保障するための環境保護特別キャンペーンを繰り広げた。生態保全や生態系の整備をしっかりと推し進めている。鉱物資源の開発秩序の整理、規範化については、段階的な成果が見られた。地質探査作業が強化されている。

区域発展総体戦略を引き続き実施している。西部大開発は着実に推し進められ、東北地区などの旧工業基地振興の仕事は順調に展開され、中部地区の勃興を促進する政策も実施され始め、東部地区を率先して発展させ、新たな成果を収めた。

(四)改革開放を積極的に推し進めている。農村の総合的改革について全面的配置をおこなった。集団の山林権制度の改革は穏当に行われている。国有経済の配置の調整、国有企業の株式制改革と国有資産の監督・管理は新たな進展を見せた。郵政体制では行政と企業の分離が実現し、電力体制の改革は引き続き推し進められている。国有商業銀行の株式制改革は新たな重要な一歩を踏み出し、中国銀行、中国工商銀行は国内外市場で成功裏に上場し、農村信用社(協同組合)の改革は段階的な成果を収めた。上場会社の非流通株改革(非流通株主と流通株主間の権益のアンバランスの是正)は基本的に完了し、証券市場の基礎的制度づくりは強化されている。保険業の改革は突っ込んで推し進められた。外貨管理体制の改革はいっそう深められた。財政・税収制度は引き続き充実化している。公務員給与制度改革と所得分配秩序の規範化は首尾よく行われている。市場秩序の整頓と規範化作業は突っ込んで繰り広げられている。

対外貿易の構造を調整した。輸出における租税還付、関税と加工貿易の政策をより完備させ、高エネルギー消費、高汚染の製品の輸出を規制する一方、輸入を積極的に増やした。外資利用の構造を最適化させ、銀行、流通、電信などのサービス業の対外開放を拡大している。世界諸国との経済・貿易の往来を深化させ、広げた。企業の対外投資・提携をサポートしている。WTO加盟時の約束を全面的に履行し、渉外経済の体制と法規・政策を充実させた。

(五)社会諸事業を大いに発展させた。社会諸事業への投入を増やした。この一年間で科学技術、教育、医療衛生と文化事業に振り向けた中央財政の支出はそれぞれ七七四億元、五三六億元、一三八億元、一二三億元にのぼり、前年度よりそれぞれ二九・二%、三九・四%、六五・四%と二三・九%増えた。

科学技術イノベーションの推進。二年間かけて検討、策定した国家中長期科学・技術発展計画要綱が公布、実施され、さらに関連特別計画と関連政策措置も制定された。大型石油・天然ガス田と炭層ガスの開発、新世代ブロードバンド無線移動通信網、大型航空機の設計・製造、有人宇宙飛行と月面探査プロジェクトなど十六項目に及ぶ重要特別プロジェクトがあいついでスタートした。、高性能のスーパー・コンピュータ、スーパー・ハイブリッド米、3Gモバイル通信、デジタルテレビなどと関連のある一部のカギとなる技術は難関を突破し、自主的なイノベーション能力が増強された。

教育事業の優先的発展。全国の財政は農村義務教育経費を一八四〇億元計上し、西部地区と中部の一部地区において義務教育段階の児童・生徒五二〇〇万人の学費・雑費をすべて免除し、貧困家庭の児童・生徒三七三〇万人に教科書を無料で提供し、七八〇万人分の寄宿生活補助金を支給した。「二つの基本」(九年制義務教育の基本的な普及と青・壮年非識字者をほぼ一掃すること)のブレークスルー・プランにリストアップされている四一〇県のうちすでに三一七県が所期の目標を達成し、西部地区における「二つの基本」のブレークスルー・プランの人口カバー率は二〇〇三年の七七%から九六%に引き上げられた。中央財政が三年連続農村の寄宿制学校整備プログラムへの資金投入額は累計九〇億元にのぼり、その結果七六五一校が受益した。農村小中学校の現代遠隔教育プロジェクトにすでに八〇億元を投下し、中西部地区の八〇%以上の農村小中学校がカバーされ、一億余りの児童・生徒が良質の教育資源を共有することが可能となった。中等職業専門学校の生徒募集規模は七四一万人に拡大され、在学生総数は一八〇九万人となった。高等教育の在学生数は二五〇〇万人に上り、粗入学率は二二%に上昇した。

医療衛生面の活動の強化。都市・農村をカバーする、比較的に機能が充実した疾病予防抑制システム及び突発性公共衛生事件医療救助体系は、整備作業をほぼ完了した。農村部における医療衛生サービス体系の整備作業がスタートし、中央財政は県、郷、村の三段階の医療衛生関連基盤施設の建設に国債資金二七億元をあてた。新しいタイプの農村合作医療のテスト範囲は、全国総数の五〇・七%を占める一四五一の県(市、地区)まで広がり、農民の加入者数は四億一〇〇〇万人に上った。また、中央財政は四二億七〇〇〇万元を拠出した上で、地方財政も相応の支出を増やし、これにより、合作医療に加入した農民への補助基準はかなり大幅に高められた。コミュニティーをベースとした都市部医療衛生サービス体系整備の進捗は、加速されている。都市、農村を問わず、医療救助の仕事がいくらか強化された。中央財政はまた、地方公共医療衛生サービスの強化に向けて支援金五一億万元を拠出することにより、エイズなど重大疫病の予防・抑制の面で著しい進展が見られた。

文化・スポーツ事業の積極的推進。報道・出版、ラジオ・映画・テレビ、文学芸術、哲学・社会科学など諸般の事業は、これまで以上に繁栄している。文化関連の基盤施設、わけても農村部末端における文化施設の整備が強化されており、村々までラジオ・テレビを普及させるプロジェクトは行政村から自然村へと広がり、コミュニティーや郷鎮の総合文化センター整備プロジェクト、全国文化情報リソースの共有プロジェクトも引き続き進められている。文化体制の改革は一段と深化し、文化産業は発展のテンポを速め、対外文化交流活動はさらなる活況を呈している。国民のスポーツ活動が幅広く繰り広げられ、競技スポーツの水準が絶えず向上している。社会主義精神文明の建設が引き続き強化されている。

(六)就業と社会保障の仕事に取り組んだ。就業、再就業向けの支援策を一段と充実させ、実行に移すため、中央財政は二三四億元の資金を計上した。多ルートで雇用を創出し、職業技能養成訓練を強化し、さらには「ゼロ就業家庭」(就業年齢に達した家族構成員がいずれも失業状態にある家庭のことを指す)や就業困難者に支援を与え、五〇五万人の一時帰休・失業者が再就業を果たした。二〇〇四年、われわれは建設分野で未払いとなっていた工費や農民就労者賃金の遅配問題を三年間で解決することをうち出したが、この仕事は現在ほぼ完了し、各地方が弁済した履行遅滞の工賃は一八三四億元にのぼり、この額は歴年の遅滞総額の九八・六%を占め、その内農民就労者の未払い賃金三三〇億元を完済した。

社会保障システムの整備の強化。東北三省でのモデル事業をふまえ、企業の職員・労働者基本養老保険個人口座を確実に積み立てるというテスト作業の適用範囲を拡大し、さらに八つの省で実施した。多年にわたって努力した結果、国有企業一時帰休者向けの基本生活保障制度を失業保険制度へ一本化させる作業はほぼ完了した。企業の定年引退・退職者の基本養老年金基準が引き上げられた。社会保険はより広い範囲まで行きわたり、社会保険基金の収入は増加を続け、社会保険基金の運用に対する監督・管理も強化された。都市、農村の社会救済システムの枠組みは基本的に確立し、慈善事業が絶えず発展している。中央財政から都市最低生活保障への補助支出は一三六億元で、前年度より二四億元増え、各地方も程度の差こそあれ都市最低生活保障の補助基準を引き上げた。二五の省(自治区、直轄市)、二一三三の県(市、地区)は、農村最低生活保障制度を初歩的に確立し、一五〇九万人の農民が農村最低生活保障を享受することになった。農村の「五つの保障」(農村における労働力を喪失し、身寄りのない者に衣、食、住、医療と葬儀など五つの保障を与える)は集団の互助共済から主として財政で賄う方向にほぼ転換された。孤児救済、未成年浮浪者保護などの仕事も強化された。各種類の優遇扶助対象者向けの扶助手当基準が大幅に引き上げられ、中央財政による扶助金支出は通年で一一二億元に上り、前年比四七%増となった。大・中型ダム建設用地の収用に伴う補償や住民の移転を支援するための後期政策が充実化され、支援対象者数は二二八八万人に及んだ。長い間懸案となっていたこの問題は逐次解決されつつある。

昨年、わが国の一部地区は、歴史上まれに見る超大型台風や甚大な干害などひどい自然災害に見舞われた。われわれはいちはやく災害対策に乗り出し、災害救援と災害復旧の活動を強めた。通年で中央財政は、災害対策資金として一一二億元を地方に交付し、また一部の災害救援補助基準を引き上げて、被災者の暮らしと仕事に支障が出ないように手配している。

(七)民主法制の建設は引き続き強化されている。末端における民主政治の建設が絶えず推し進められている。政府の立法作業はさらに強化された。国務院は、『企業所得税法(草案)』、『独占禁止法(草案)』、『突発性事件対処法(草案)』『義務教育法改正案(草案)』など七つの法律議案を全国人民代表大会常務委員会に上程し、その審議を求めたほか、『エイズ予防・治療条例』、『外資系銀行管理条例』など二九の行政法規を公布した。政府の法制化のペースを速め、『行政許認可法』、『公務員法』、『法に基づく行政実施の全面的推進要綱』の貫徹を着実に進めてきた。監察や会計検査、監督の仕事にいっそう力を入れた。司法の行政体制およびその活動メカニズムの改革が着実に推し進められている。投書・陳情受理の仕事が強化された。社会の治安防犯・抑制システムは絶えず充実化し、安心・安定・安全を創出する活動が広範囲にわたって進められている。治安の乱れた地域と特に際立った治安問題に対する集中的取締りは、顕著な成果をあげた。廉潔政治づくりと反腐敗闘争を掘り下げて推進し、商業贈収賄の撲滅を狙った特別作業を繰り広げ、政府機関及びその公務員に関わる相当数の重大案件をきびしく摘発した上で、法に則り一群の腐敗分子を懲罰した。

民族、宗教、香港・マカオ、台湾とかかわりのある仕事や華僑事務がさらに強化された。国防と軍隊の現代化建設に新たな進展がみられた。外交活動では著しい成果をあげた。

われわれの実践の経験を総括してみると、次のように要約することができよう。すなわち、思想を解放し、実事求是の姿勢で臨み、時代とともに前進し、開拓と革新を図りながら、中国の特色をもつ社会主義の道を揺るぐことなく歩み続け、改革開放を堅持し、科学的で、調和のとれた平和的発展を堅持してこそ、はじめて現代化という偉大な目標を最終的に実現することができる、というものである。

われわれの収めた成果は、胡錦濤同志を総書記とする党中央が全局を統轄し、正しく指導を行ったたまものであり、全国の広範な幹部、大衆が一丸となって努力し、粘り強く戦ってきたたまものである。わたくしは国務院を代表して、全国各民族人民、各民主党派、各人民団体および各界の人びとに、心から感謝の意を表すものである。香港特別行政区の同胞、澳門特別行政区の同胞および台湾同胞、並びに広範な在外華僑同胞に、また中国の現代化建設に関心を示し、後押ししてくれている各国の友人の皆さんに、心から感謝の意を表すものである。

われわれはまた、経済・社会の発展になお少なからぬ矛盾と問題が存在し、政府の活動にも一部欠点や不備な点があることを冷静に見て取っている。

 第一に、経済構造の面の矛盾が浮き彫りになってきていること。第一、第二、第三次産業のウェートが不合理で、都市と農村の間や地域間の発展にバラツキが見られ、投資と消費の関係のバランスが取れていない。農業については、その基盤の脆弱な状態がまだ改められておらず、食糧の安定した増産と農民の持続的収入増が難しさを増している。固定資産投資の総規模が依然として肥大化しており、銀行資金の流動性過剰問題が目立っているため、投資の過度な伸びや、過大な信用貸付を誘発する要因が今なお存在している。対外貿易の黒字は比較的大きく、国際収支のアンバランスという矛盾が深刻化している。

 第二に、経済成長パターンが粗放型であること。それはエネルギーの大量消費と深刻な環境汚染に著しく現れている。「第十一次五ヵ年計画」は省エネ・原材料消費と汚染物質排出の削減目標を打ち出し、さらにそれを拘束性指標として定めた。これは経済成長パターンの転換、省エネ・環境保護事業の強化にとって、非常に重要な意義をもつことである。ここ一年、各地方、各部門は多くの取り組みを行ない、積極的な進展を遂げた。二〇〇六年、GDPのエネルギー消費原単位は、前の三年にはそれぞれ四・九%、五・五%、〇・二%と上昇していたにもかかわらず、一転して一・二%に低減した。主要汚染物質排出総量の増幅は縮小し、化学的酸素要求量(COD)とSO2排出量の上昇率はそれぞれ前年度の五・六%、一三・一%から一・二%、一・八%に低下した。にもかかわらず、昨年の初めに打ち出したGDPのエネルギー消費原単位四%前後、主要汚染物質排出総量二%とする削減目標は達成できなかった。その主な原因は次の通りである。つまり、産業構造の調整がなかなか進まず、重工業、とりわけ大量のエネルギーを消費し、汚染も深刻な業種の拡大が依然としてやや速まっており、さらに淘汰されるべき、相当数の立ち遅れた生産能力が市場に留まったままになり、一部の地方と企業は省エネ・環境保護の法規と基準を厳格に実施しておらず、また関連政策・措置が明らかな成果を収めるにはある程度の期間がかかること、が挙げられる。「第十一次五ヵ年計画」でこの二つの拘束性目標が打ち出されたということは、それが極めて厳粛なものであり、変更してはならず、断固達成しなければならないことを意味している。国務院は今後毎年省エネ・汚染物質排出削減の進捗状況を全国人民代表大会に報告し、さらに「第十一次五ヵ年計画」の期末に、五年間におけるこの二大指標の全般的達成状況について報告しなければならない。

 第三に、大衆の利益にかかわる目立った問題の解決が不十分であること。食品・医薬品の安全や医療衛生サービス、教育にかかわる費用徴収、住民住宅、所得分配、社会の治安、安全生産などの諸分野には、大衆が不満を抱えている問題が残っており、土地収用や家屋立退き、企業の体制転換、環境保護などの諸方面にみられる大衆の利益を侵害する問題が依然として抜本的に解決されていない。なお、相当数の低所得者層の生活が比較的困窮している。

 第四に、政府自体の建設にいくつかの問題が存在していること。政府の機能転換が遅れ、行政と企業が依然として分離されないままで、一部の部門では職責が明確にされておらず、仕事の効率があがっていない。公務による消費も規範化されておらず、贅沢三昧や浪費に走り、行政のコストが高すぎる。さらに、一部の地方や部門および少数の公務員には官僚主義や形式主義が依然として存在し、大衆から遊離し、汚職や背任行為に走り、ひいては権力を乱用したりして、汚職腐敗に手を染めている。こういった問題の根底には制度の不備やそれに対する監督・管理の不行き届きがある。

われわれは国と人民に高度な責任を負うという心構えをもって人民の期待に背かず、より強力な措置を講じることにより、これらの問題を確実に解決していかなければならない。

「人民網日本語版」2007年3月16日


 

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