アバの明日はいっそう美しい
全人代代表、 四川省アバ・チベット族チャン族自治州州長の張東昇さん


 「地元の農民は、畑にイノシシがよく現われるようになったがこれはいいことだ、といいます」四川省アバ・チベット族チャン族自治州州長・張東昇さんの記者取材にあたっての一句だ。イノシシやシカ、ジャコウジカなど過去にほとんど見掛けなかった動物がアバの山岳区に見掛けられるようになってのは、アバの自然生態保護の効果があらわれたことを示すものと張さんは説明した。

 アバ・チベット族チャン族自治州は青海・チベット高原の東南端にある。面積8.42万平方キロ、人口85万。長江支流の岷江と黄河の四川区域の流れが経過するところだ。世界自然遺産の九寨溝、黄竜もこの地にあり、長江の生態環境保護において重要な地位を占める。アバの森林資源は豊富で、20世紀の50年代から80年代にかけては、経済建設の木材需要に応えるため、アバ地区にたいし集中的大規模開発をおこなったが、森林資源開発はこの地の経済発展を促した。しかし、過度の伐採のためアバの森林資源は底をつき始め、地元の生態環境はひどく破壊され、鉄砲水などの災害が相次いだ。

 1998年、中国は四川省で「天然林保護プロジェクト」を実施し、アバは重点テスト区となった。すべての森林の伐採を厳禁し、木材加工企業は全部営業停止を実行した。関係企業の従業員二万余人は伐採から植樹へと仕事を切り替えた。「天然林保護プロジェクト」実施当初は営業停止の影響で農民は生活困難に見まわれたが、アバ地区政府が農民の養殖業、クリーン野菜栽培などの従事を支援し、生活レベル向上に努めた。五年間の努力を経て、全州の365.4万ヘクタールの天然林は有効的な保護を得、さらに人造林11.12万ヘクタール、航空造林4.6万ヘクタールを完成した。「時間の経つにつれて農民たちは生態保護環境の良さが分かって来ました。まず、自然災害が目立って減ったのです。いまでは彼らは植樹造林を支持し、山に上がっての植樹を申し出る者もいます」と張さんは微笑む。

 2000年からアバでは耕地を林地にもどす仕事を実行しはじめた。同時に、九寨溝、黄竜が「世界自然遺産」に組み込まれたので、観光が目玉産業となった。「今年九月末、国際環境保全大会がアバで開催されます。これはわたくしたちの生態環境保護が良好な効果をあげたことへの肯定でしょう。アバをよりいっそう美しく建設するためにがんばります」と張東昇さんは語る。

(本社記者 王 浩   2003/3/15)