Sketch of BEIJING

 
 

フラフープ
写真・文  佐渡多真子

 日本でフラフープが流行ったのは1950年代だろうか。私が小さいころには、もうすでにあまり盛んではなかったけれど、それでもかすかな記憶が残っている。

 王府井で見かけた子供の姿が、ふと、そんなころの思い出と重なった。

 ちょうど日本で高度成長期が始まったころ、我が家は小さな団地に引っ越し、私はうれしくて部屋中はしゃぎまわっていた。初めて使った冷蔵庫を何度も開け閉めして喜んだり、洗濯機の回るのをいつまでもいつまでも見つめていた。あの頃は、小さくてもたくさんの夢があり、毎日がとても楽しかった。

 北京で最近フラフープが流行りだしたのは、SARSの影響で、健康熱が高まったからだそうだが、フラフープだけでなく、自転車や縄跳び、朝の体操など、北京で流行っている、無公害でシンプルな遊びを、なんだか懐かしく思う。(2003年9月号より

  note
 フラフープは20〜30元(300〜450円)程度。日本のものの2倍はありそうな極太なところが特徴。
 
  profile
佐渡多真子(Tamako Sado )
 1990年、フリーカメラマンとして独立し、日本の雑誌などで活躍。95〜97年、北京大学留学。その後、北京を拠点とした撮影活動を続けている。写真集に、『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)がある。