Sketch of BEIJING

 
 


自由市場

写真・文  佐渡多真子

 東郊市場は、食品、家電、昔懐かしい日用雑貨まで何でもそろう、北京でも有数の自由市場。売り子さんに営業時間を聞いてみると、「太陽が昇ってから、沈むまで」と、答えが返ってきた。

 ここの人たちは、時計に縛られないで暮らしているようだ。

 そんな彼らの後ろには、現代城(SOHO)という、住居・オフィス一体型の最新マンション群がそびえ立つ。現代城の住人は、編集者や芸術家、起業家など、クリエイティブで先進的な仕事をしている人が多いと聞く。彼らは、先進国と同じか、あるいはもっと贅沢で、そして、忙しい暮らしをしていることだろう。ここに来るたびに、私はどの時代のどの場所に立っているのかわからなくなってしまう。

 何十年もの時の流れを体験できる、そんな街は世界中に、きっとここにしかないと思う。  2003年11月号より  

  note
 東郊 (Dong jiao) 市場の売り子は、ほとんどが河北省、河南省などからの出稼ぎ労働者と、北京近郊の農民。
 
  profile
佐渡多真子(Tamako Sado )
 1990年、フリーカメラマンとして独立し、日本の雑誌などで活躍。95〜97年、北京大学留学。その後、北京を拠点とした撮影活動を続けている。写真集に、『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)がある。