相互理解は高校生から始まる
特集3
 
中日高校生交流を発展させたい

中国を訪問した日本の高校生たちを歓迎する中国外交部の戴秉国副部長

 中国と日本の高校生が、互いに訪問し合う「中日高校生交流」プロジェクトは順調に滑り出した。中日関係も改善に向け、曙光がさしてきたが、このプロジェクトは将来の中日関係の基礎を固めることを狙った息の長い交流計画である。

 この計画を舞台裏で支え、実行してきた関係者は、どう評価しているのか、これからどう発展させようとしているのか。日本の外務省と中国の中日友好協会の責任者に聞いた。

「真の中国を全面的に理解して」
                                                                         中日友好協会の井頓泉副会長

中日友好協会の井頓泉副会長(写真・鄒毅)

 ご存知のように中日関係は一時期、困難な状態に陥りました。とくに中日両国民の間の感情は、谷底に落ち込んでしまいました。両国の有識者たちは、こうした不正常な状態を深く憂慮したのです。

 「新中日友好21世紀委員会」のメンバーは、両国の青少年の間に友情を育て、友人の関係を打ちたて、交流を通じて相互の理解と正確な認識に達し、そこから中日両国の世々代々の友好を発展させる基礎をつくろう、と提案しました。中国政府は大いにこの計画に賛成し、早急にプロジェクトを確定し、2006年のうちに実施に移すことを決めました。

 具体的な国情に基づいて、中国政府は2006年から毎年、200人の日本の高校生を中国に招くことになりました。そしてこの計画が持続的に発展できるよう、中国政府は「中日交流基金」を設立しました。今後、この基金が社会に向けて、中日友好事業に貢献することを願う機関や個人の寄付を求めることになります。

中国の高校生たちは安倍昭恵・首相夫人を訪問し、歓談した

 中日友好協会は、日本の高校生たちの受け入れを担当する中国側の窓口です。高校生は両国の未来を担い、中日友好事業の継承者でもあります。ですから私たちは日本の高校生の来訪を大変重視しています。

 中日両国の国情は大きな違いがあります。日本に比べて中国にはまだ、東部と西部の経済格差や都市と農村の格差などさまざまな社会問題が存在しています。私たちは日本の高校生たちが真実の中国を全面的に理解するよう望んでいます。

 この交流プロジェクトは今後、どれだけ長く続けられるか、私は楽観視しています。高校生の交流は、両国ともに必要であり、また両国政府の大きな支持を得ているので、私はこの事業がずっと続いてゆくと思っています。

「重要な役割発揮する文化交流」
                                                         日本外務省中国課の瀬野清水・地域調整官

日本外務省の中国課地域調整官の瀬野清水さん

 日本においては、高校生交流は「日中21世紀交流事業」の一部です。この事業は2006年に始まり、政府がしかるべき基金を設立し、日中友好会館と国際交流基金などの機関が実施しています。

 中国の高校生の日本訪問は、中長期と短期の2つに分かれています。中長期は3カ月から1年、短期は10日間前後です。私たちはすでに1100人の中国の高校生を受け入れました。

 このほか、「日中21世紀交流事業」には、中国の一部の大中都市に、日本文化の交流機構を設立し、普通の中国の市民に日本の情報を紹介したり、企業や各種の機関、個人の間を結ぶ日中交流ウェブサイトをたちあげたりすることを含んでいます。

 日中両国には2000年の交流の歴史があります。これは世界的にみても珍しいことです。両国の政治関係が膠着状態に陥ったとき、文化交流はいっそう重要な役割を発揮します。私は高校生の段階から両国人民の感情を育成することは、非常に有意義な考え方だと思っています。

議長公邸で中国の高校生たちを歓迎する河野洋平衆議院議長

 中国の高校生の第一陣を迎えたとき、私はかなり緊張しました。私たちは、中国の子どもたちが日本人に対してマイナス・イメージを多く持っているのではないか、日本人と直接、接した経験がないので感情の面で交流の障害があるのではないか、と心配していました。しかし、中国の高校生たちの反応から見て、私たちの心配は杞憂だったようです。

 次の年度の交流規模は、前の年度の効果によって決まります。私は、交流を通じて打ちたてられた関係が、ずっと続いて行くことを望んでいます。それこそが、この計画の最大の成果だと思います。 (2007年4月号より)



 
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