周敦頤 蓮を愛でる
周敦頤(1017〜1073年)は、北宋時代の哲学者である。官僚として朝廷に仕えていたが、権力のある高官におもねることなく、人望を集めていた。病を患ってからは辞職して里に帰り、廬山蓮花峰のふもとに書堂を構えて、修養を積んだ。書堂の周りにはいくつもの蓮池が連なり、山紫水明のすがすがしい所であった。それに心動かされた彼は、広く知られる名作の『愛蓮の説』を著したのだ。
蓮の花の美しさをたたえて、「泥より出でて染まらず、さざなみに洗われてすがすがしい」と記した。孤高のすぐれた品徳を表したものだ。また蓮の花をたたえて、「(茎の芯が)空であり、まっすぐに伸び、つるも枝もつけずに清らかな香りを遠くまで放ち、高々と生えている」と。それは、世俗に流されることなく、心の清らかな自らの態度を表している。
周敦頤の愛蓮の情は美談とされて、その名句も今に伝わる。この彩色画に描かれたのは、周敦頤が蓮花峰のふもとで悠々自適の生活を送っている光景である。(2005年4月号より)
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