頤和園の長廊画D 写真・文 魯忠民

 
 

   
 

洛水の女神

 洛神は伝説上の美しい女神で、歴代の詩人がほめたたえてきた。言い伝えによれば、古代の皇帝・伏羲の娘で、蠏妃と呼ばれた。あるとき、洛水(陝西省から河南省へと流れる川)を船で渡る際に、不幸なことに船から落ちて亡くなった。

 その後、彼女は「洛水の女神」となり、水神・河伯の妻となった。ある日、彼女は失意の英雄・后ゲイと出会い、2人はまもなく恋に落ちた。河伯はそれを知ると白竜と化して、決着をつけようと后ゲイを捜しあてた。しかし、白竜は后ゲイの放った矢に左目を射抜かれて、失明してしまう。

 蠏妃は、后ゲイとの関係が、自らの家庭の不和だけでなく、后ゲイとその妻・嫦娥とのいさかいを引き起こしたことを後ろめたく思い、そのときから、后ゲイとのつきあいをやめたのである。(2005年5月号より)

 
   
   
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北京の頤和園は、中国清代の離宮である。庭園にある長廊は、全長728メートル、世界でも最長のギャラリーと言われている。その梁の上には人物や山水、花鳥、建築など各種の彩色画が8000以上ある。なかでも人物画は中国の古典文学、歴史物語、神話伝説などから材を取って、描かれている。本誌では今月号から長廊の彩色画を1つずつ取り上げて、絵画に描かれた物語をご紹介していきたい。

 

   
 

  本社:中国北京西城区車公荘大街3号
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