【画家たちの20 世紀(18)】


南京解放のその日、その時 陳逸飛(1946〜)

                       魯忠民


『総統府攻略』
(魏景山との合作)
335×466センチ
油彩 1977年
中国革命軍事博物館蔵

 「文化大革命」の時代、革命に突き進むことをテーマとした作品、スローガンとした作品、概念とした作品、粗製乱造の作品が、画壇にはびこった。しかし一部の画家は、基本技術の高さ、写実的な手法、人間性豊かな描写によって、得がたい傑作を生み出した。

 1977年、中国革命軍事博物館にある大型油絵『総統府攻略』が創作された。これは49年、人民解放軍が南京の国民党政府総統府を攻め落とした時の様子を表現したもの。蒋(介石)一族による統治の終わりを象徴し、新中国がまさに誕生しようとしていた歴史的事件を描いた。

 キャンバスには、ロマン主義、ヒロイズムが表現され、見るものに大きな衝撃を与えた。この油絵の作者の一人こそ、のちに国際画壇に名を馳せた画家・陳逸飛である。

 1946年4月、陳逸飛は、浙江省鎮海県に生まれた。15歳で上海美術専門学校予科に入学し、美術の基本を徹底的に学んだ。63年に同校大学部に進み油絵を専攻、卒業後の68年、上海油絵彫塑創作室に入り、専業画家となった。

 72年には大型油絵『黄河賛歌』を創作し、清新なタッチで頭角を現した。76年、魏景山との合作で、大型油絵『総統府攻略』を創作し、70年代の中国で、もっとも傑出した油絵画家となった。80年、米国に留学、改革・開放後、もっとも早く国を飛び出した芸術家の一人となった。83年には初の個展を開き、その後、彼の作品は国際画壇で知られるようになった。

 いまの陳逸飛は、著名な画家であるだけでなく、映画界、ファッション界でも注目を集めている。彼の油絵の代表作である『ケシの花』『故郷の思い出――双橋』『山地の風』などは、中国人が創作した油絵作品として、オークションではもっとも高値で落札されている。彼が監督した映画『上海旧夢』『人約黄昏』(原題)などは、何度も国際映画祭で受賞している。彼がデザインしたファッションブランド「YEFE」「3E」「LEYEFE」は、中国女性の間で流行している。

 陳逸飛は、女性との縁が深い。彼の絵画には、写実的でロマンチックな中国の古典的美女が登場し、彼のファッションブランドには、中国女性がより高貴で優雅に見えるようにとの思いが込められ、彼の映画は、女性をテーマとしていて、耽美でこまやかさがある。

 陳逸飛は、芸術家のロマン、商人の聡明さ、上海人としての懐旧の心をあわせ持ち、独特の美術理念でロマンチックな仕事をしている。(2002年6月号より)