人 肉

 中日国交正常化してまもなく、中国のある地方の代表団が訪日した。団員たちは、日本では至るところに漢字が使われていること、そして漢字の意味も中国語に近いものが多いことに気づいて、一種親密感をもった。ところが、字だけを見て中国語の意味に解したため、とんだ笑い話になったことがある。

 ある日、何人かの団員がスーパーを参観したときのことだ。食品売り場へ行った。ふと見ると「人肉××円」と値段が出てくる。ぞっとした。「エッ、スーパーには人間の肉まで売っているのか?」

 急いで通訳を引っぱってきて見せた。通訳はぷっと吹き出した。「人肉」とは、中国でいう「大蒜」のことだった。大蒜のことを、日本では「にんにく」と書いたり「人肉」と書いたりする。中国人が、「人肉」とは人間の肉だと思って一さわぎしたのも無理はない。

 こうして見ると、中国語の意味そのままに日本の漢字を理解しようとすると、おかしなことになるときもある。




 
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