干支にみる中国文化       文・魯忠民
辰竜
神と皇帝、吉祥を表す
 
 

 辰時は午前7〜9時である。言い伝えによると、竜の一群が雨を降らせる時間であるため、この辰時に竜が配された。

 竜は中国人が創造した、もっとも神聖な生き物のイメージであり、神霊の観念を形として表したものである。鳥やけもの、水棲動物、自然や天象の精華を一身にあつめ、ヘビの頭、シカの角、ウサギの眼、ロバの口、ヘビの体、魚のウロコ、タカの爪、馬の歯などを持っている。空を飛び、道を走り、さらには水中も泳ぐことができる。

 古代においては、青竜(東方)、白虎(西方)、朱雀(南方)、玄武(北方)が4つの方位を表していた。その後、竜はだんだんと神格化され、皇帝のみが使えるものとなった。皇帝は「真竜天子」と称され、竜のデザインが施された長衣「竜袍」をはおり、竜の装飾がなされた「竜冠」を戴き、「竜宮(住まい)」「竜椅(イス)」「竜璽(印章)」「竜輦(手車)」などを利用した。怒った時でさえ、「竜顔の怒り」と呼ばれていた。

 歴代の竜の形はいずれも異なる。時代にしたがい観賞する習わしが変化して、より理想化されていった。民間剪紙(切り紙)をはじめあらゆる民間芸術の中で、竜の出現は吉祥を予告している。竜と鳳凰は吉祥を表し、竜と鳳凰の結合は新婚夫婦が一体化する美しさを表している。「竜騰虎躍」は、勇ましく活動するさまを象徴、「望子成竜」「鯉魚跳竜門」(登竜門)は、人々が苦学して名を成すことをたとえ、一家が繁栄するという理想を表している。

 
 
 
 
 
 
 
   
 
 
 
 

 

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