干支にみる中国文化       文・魯忠民
未羊
温和でか弱く、
同情される
 
 
 未(ひつじ)時は、午後1時から3時である。羊はこの時間に、よく排泄をする。尿の排泄により、ある種の病気をみずから治すことができるからだ。それで、この時間に羊が配されている。

 古代、羊(ヤン)と「祥(シャン)」は、相通じていると考えられた。そのため人々は、羊を「吉羊(ジーヤン)」とも呼んでいた。3匹の羊が集まるようすの「三羊図」は、民間では「三羊開泰」と称される。平安になり、それを保ち、安定していて順調だ、という意味である。

 古代の「六畜」の一つとして、羊は早くも7000年以上前から人に飼いならされ、人に依存して生きてきた。また、多くの地方で、羊は農民が生きていくための生活必需品であり、生産手段であった。羊肉、羊乳、羊毛を産し、人の衣食にすべてそれらが用いられた。羊が繁栄すると、人々の生活もよくなっていったのだ。

 漢字の「美」の字源は、「羊」と「大」という字で組み合わされている。まるまると肥えて大きな羊は美しい。「肥美」(肥えている)と「吉祥」は、羊と関わり合いがある。羊は古くから祭祀の際に、いけにえの一つとして用いられてきた。

 羊を外で放し飼いにするのは、伝統的な放牧方法である。それは人々の生産手段であるばかりでなく、一種の生活手段である。羊飼いたちは、羊の群を放牧し、民謡を高らかに歌う。

 民間剪紙(切り紙)の羊には、人々が心に抱く羊のイメージが表されている。優雅で温和、か弱くて清らか、善良というものだ。飢えて凶暴なオオカミとは逆に、羊はいつもいじめられ、同情される立場にあるのだ。

 

 
 
 
 
 
 
 
   
 
 
 
 

 

本社:中国北京西城区車公荘大街3号
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