宝帯橋は小長橋とも呼ばれ、江蘇省蘇州市の東南、蘇州と杭州を結ぶ大運河の支流の玳玳河上に、長い虹が横臥しているような姿で架かっています。

 橋の長さは317メートル、幅は4メートルで、全部で53の拱(アーチ)があります。これほどたくさんの拱をもつ石橋は、中国でも珍しいものです。拱は大きいものは6.95メートル、小さいものでも3.6メートルあるので、小舟ならどんな拱も通過が可能。また拱が多いため、橋の傾斜がゆるくなっているので、歩行や馬車せも楽に渡ることができます。水があふれたときには、拱が水を流れさせる働きをするなど、設計した人の苦心のあとがうかがえます。

 橋の建造が始まったのは、唐代の元和14年(819)。当時はこの地方から都へ穀物が大量に輸送され、蘇州の刺史(地方長官)王仲舒は水運業の発達に応じるためこの橋を造ることにしました。人の便を考えて、江南地方でよく見られる斜度の大きい高い橋は造らず、拱の多い幅が狭くて長い平坦な橋にすることにしましたが、それには多大な費用がかかるため募金を始め、自らも腰に結んでいた家伝の宝帯(珠宝で飾った帯)を売って金に換えました。これが蘇州の富豪を感動させ、ようやく資金が集まって3年後に完成しました。この橋の名は、王仲舒を記念して付けられています。旧暦8月17日の月夜には、拱の一つ一つが月の影を水面に映し、遠くから見ると月の数珠を思わせる美しさです。(文・史和平)



   
 
 

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