浙江省の紹興市。長い歴史のある、物産豊かな町です。市の面積はわずか6平方キロメートルしかありませんが、市内には29の川が縦横に流れています。総延長60キロメートルを超す、南方の水郷の゛代表格゛です。

 紹興市の石橋も歴史は古く、しかも数が多く、さまざまな形のものがあります。すでに春秋時代に、紹興府(行政単位)の東1キロメートルのところに霊橋が建造されています。それ以降、紹興に一体どのくらいの石橋が造られたのか、はっきりしません。清代光緒年間に記されて『紹興府城衡路図』によると、当時、紹興の面積は7.4キロメートル、そこに229基の橋があったといいます。1平方キロメートルに31基の橋があったわけで、その多さには驚かされます。現存の橋は宋代以降の各時代に造られたもので、千姿百態、中国古代の石橋の博物館といっていいでしょう。

 紹興の石橋の中で最古のものが、この「八字橋」。この橋は、三本の川の合流点に架かっています。また、四方(東西南北)から上がることのできる唯一の橋で、「四面橋」とも呼ばれています。建造は南宋時代の宝祐4年(1256)、700余年の歴史を持っています。

 南北に流れる川の上に架かるのが、正橋。ややアーチ形で、高さ5メートル、幅3.2メートル。その東に、南北を貫く段階が一つあり、西側の段階は上がっていくと、左に折れています。橋、段階は石造で、欄干も石製。南側の東西の段階下には洞があり、そこを小川が流れています。この橋を南側から見ると、八の字に似ているので、「八字橋」と呼ばれるようになったのです。

 八字橋の設計の特徴は、紹興の町並みや地勢を壊さずに造られているところにあります。これによって、水陸両面で町と農村を結ぶことができたのです。この橋の存在の意義は大きく、しかし構造はいたって簡単なものです。町に架けられた橋の中で、八字橋は光り輝くものがあります。(文・史和平)



   
 
 

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