福建・泉州地区は北宋時代、橋梁建設で輝かしい一頁を開きました。南宋に至ると政治の中心は臨安(今の杭州)に移るのですが、当時の泉州は繁華を極め、国際貿易港として「世界第一の商港」と呼ばれていました。貿易をさらに発展させるため、また当地には良質の岩石が無尽蔵にあったことから、洛陽橋が造られました。ことによって海上に長い石造橋を造る技術がもたらされた結果、泉州地区は橋梁建設ブームを迎え、石造橋が大量に建設されるようになったのです。長さ5里(2.5キロ)の長大な橋は4、5基にものぼっています。

 安平橋は西橋とも呼ばれ、長さは5里。俗に5里西橋と言われて、福建省晋江県の安海鎮の西から、湾(現在では大量の土砂が堆積して青々とした水田地帯に変わっている)をまたいて南安県水頭鎮と結ぶ交通の要衡でした。橋の中間に見える水心亭がちょうど県境です。安海鎮は古くは安平と呼ばれていたので、それが橋の名前となりました。

 橋脚が特に変わっていて、目を引きます。水の流れの具合で舟形、半舟形、長方形と三種類の橋脚が使い分けられています。満潮時でも水が橋面を渡って流れていくように造られているのは、工匠の設計のすばらしさを物語っています。均整のとれた構造、雄大な容姿。亭の柱に掛かる「天下無橋長此橋」の文字は、絶賛に対する正直な気持ちを表しているといえるでしょう。

 水心亭の前に立つ二体の石刻武士像。長剣を手にした素朴な姿も、この橋の魅力です。現在する最長の橋(2070メートル)として、安平橋は1961年に重要文化財に指定されました。(文・史和平)



   
 
 

本社:中国北京西城区車公荘大街3号
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。