中日の空の懸け橋――全日空(ANA)

                                  王 浩


空港の全日空機

 もうご存知かとは思うが、全日本空輸株式会社(全日空、ANA)は今年4月18日から、中国路線を大幅に増設した。日本からは、北京や大連、青島など中国の八つの都市までの直行便があり、中国への直行便は日本の航空会社の中でも最多をほこる。

 中日国交正常化30周年の今年は、全日空の創立50周年であるとともに、同社の中国路線開通15周年でもある。15年前(1987年)の4月16日、成田空港発、大連経由北京行きの同社の路線がはじめて開設された。そのときから、中日両国をつなぐ全日空の空の橋が、懸け渡されたのである。

岡崎嘉平太氏

 同社が、中国路線開設を4月16日にしたのには、特別な意味があった。この日は全日空第二代社長である岡崎嘉平太氏の誕生日であったのだ。岡崎氏は中日両国の人々に慕われ、尊敬された偉大な人物で、生前は一貫して「日中友好」のために尽くした。

 彼は早くも中日国交正常化前から、「LT貿易」(廖承志・高碕達之助両氏の覚書に基づく貿易、覚書貿易)の促進に力を入れ、中日双方に連絡事務所を設け、記者を相互交換するというアドバイスを出していた。「LT貿易」はその後、両国の国交正常化を実現させるための確実な基礎を築いた。岡崎氏は百回近くにわたって訪中しており、チベット自治区以外の地方はほとんど遊歴したという。周恩来総理や廖承志氏(中日友好協会初代会長)など、中日友好に尽くした中国側の要人たちとも固い友情で結ばれていた。

 全日空社長の任にあったとき、その厳格で誠実な働きぶりは、全社員に大きな影響を与えた。創立以来50年、全日空は全社をあげての努力によって、急速な発展を遂げてきた。とくに中日貿易における貨物輸送の面では、著しい成果をあげている。

 2000年の同社国際線の貨物運送量は、19万6847トンで、これは1987年の1万1665トンから17倍の増加。うち中国路線はこの間、453トンから77倍増の3万4962トンへと、驚異的な数値を記録した。また、国際線の旅客輸送量は87年から9倍増となり、うち中国路線の旅客運送量は16倍増となっている。中日両国の往来が盛んになるにつれ、全日空はますます大きな役割を果たすに違いないだろう。

客室乗務員が親切にサービスしてくれる

 全日空の中国路線における今年の事業計画は、従来の路線に加え、新たに成田―厦門線を開設したこと。また、成田発着路線は従来の約3倍増となる週56便へと、大幅に増やした。利用客たちは、より便利で快適、スピーディーになった全日空便に満足することだろう。

 また同社では、岡崎氏の精神を受け継ぐものとして、民族間の相互理解や世界の平和と友好を促進するための「岡崎嘉平太国際奨学財団」を90年に設立。中国やアジア各国からの留学生を一貫して支援している。91年から2001年までに、財団から支援された中国人留学生は19人に上る。

 21世紀を迎え、全日空はすでに新しい発展計画を制定している。それは今後の中日交流に、必ずや役立つに違いないのである。(2002年6月号より)