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インタビュー「海峡地域は新しい経済成長点」 アモイ市台湾商人企業協会の曾欽照会長に聴く

 

曾欽照 プロフィール アモイ市台湾商人企業協会会長、アモイ市多威(Doowell)電子有限公司代表取締役

――アモイ市における台湾商人の発展状況を紹介してください。

曾欽照会長(以下は「曾」と略す)1980年代、台湾の商工企業は、台湾内部の環境に制約されて、経営面での拡大はボトルネックに遭遇し、多くの経営者が外に投資することを考えました。その中で、かなり多くの人が、親族訪問や観光の名目で大陸にやって来て、投資環境を視察しました。海峡ひとつを隔てただけの福建省は、とくに関心を集めました。なぜなら多くの台湾人は、原籍が福建省にあるからです。私もその一人です。福建省に行くと、故郷に帰ったような親近感を覚えます。台湾から直線距離でもっとも近いアモイ市は、さらに、独特な地理的優位性を持っています。

80年代末から、大陸と台湾は相次いで、台湾企業が大陸で投資することを認めるようになりました。90年代の初め、第一陣の台湾資本の企業が大陸に進出するブームが巻き起こりました。当時、台湾企業は主に福建省で投資を行っていました。90年代の半ばころ、台湾企業の第二陣は、広東省の珠江デルタに根を下ろしました。2000年前後には、浙江省の長江デルタが第三陣の規模の大きな台湾企業を迎えました。いまでは、大陸の沿海地区には台湾企業が集まっています。

投資の分野も最初のアパレル、靴、帽子、飲食などの伝統的業種から光電子、IT、自動車などのハイテク産業に発展しました。アモイ市ではこの20年間に、台湾商人の数は数十人から八万人近くにまで増え、台湾資本の企業は最初の十数社から現在の3000社近くに増加しました。

――会長もアモイ市で投資している台湾商人の一人ですが……。

曾 私の多威電子有限公司は1981年に台湾で創業された、主にパソコンの部品を生産するメーカーです。ほかの多くの台湾商人と同じように、私も台湾以外の土地での投資を追求した時期がありました。東南アジアや中国大陸のいくつかの都市を回って視察した後、最終的にアモイ市で投資することを決めました。ここは環境をよく知っていたし、故郷のためによいことをしたいと思ったからです。1992年、アモイ市多威電子有限公司は生産を始めました。

17年前のアモイ市は、今のように賑やかではありませんでした。私が最初に輸入した貨物は、生産手段ではなく、日常生活に使うティッシュペーパーやインスタントラーメンでした。17年後の今日、アモイ市での投資額は、最初の百万ドルと比べ、少なくとも300倍に増加しました。現在、世界中のノートパソコンに使われているタッチパッドの半分は、私の公司が生産したものです。

アモイ市多威電子有限公司の生産現場
――事業が飛躍的に発展を遂げた原因は何でしょうか。

曾 経済のグローバル化の下で、両岸関係は徐々に正常に発展しています。とくに両岸の経済交流は、私たちが大陸で投資し、事業を興す基礎をつくり出しました。長い間に、アモイ市政府が台湾企業のために実施した優遇政策や助成措置が、さまざまな難局を乗り越えるうえで助けとなりました。さらに私たち自身が地道に努力し、がんばって創業したからこそ、今日の状況を打ち立てることができたのです。

2006年1月14日、胡錦濤主席がアモイ市で台湾企業の代表と会見したとき、「およそ台湾の同胞にとってよいことであれば、およそ台湾海峡の平和の維持によいことであれば、およそ祖国の平和的統一の促進によいことであれば、我々はみな最大限の努力を払う」と明確に指摘しました。祖国の政府のこうした台湾同胞への愛情や両岸関係の調和のとれた発展のために払った努力によって、私たちはこれからも長期的に大陸で経営や生活を営んでいく自信を強めました。

――海峡両岸関係の平和と安定は、両岸の人々の密接な往来の前提ですが、現在、「三通」の宿願はすでに実現しました。いまの状況、そして今後の両岸の発展の方向について、どのように予想していますか。

曾 両岸関係の平和と安定は、両岸の人々にとって幸せです。「三通」の実現は、一里塚のようなもので、歴史的意味を持っていると思います。2001年に金門島とアモイの間の「小三通」が実現してから、休日祝日の両岸のチャーター便の往来、毎日のチャーター便、さらに2008年の大陸の21都市と台湾の間の正式開放による「大三通」の実施まで、それら一つ一つがすべて、両岸の平和統一という大業の過程における記念すべき「足跡」なのです。

私は、両岸の人々の相互尊重と寛容さが往来を深める基礎だと、ずっと思って来ました。一人一人の相互融合の度合いが深ければ深いほど、祖国の平和的統一のプロセスの促進にとって有利でしょう。

現在、大陸は、海峡の西岸で、全面的な企画や建設を実施しています。台湾にとってこれは大きな魅力です。台湾の進んだ産業技術と大陸の豊かな土地やエネルギー、人的資源を結びつけることができれば、将来の海峡地域は中国の新しい経済成長ポイントとなるでしょう。企業人の一人として私は、ここに大きなビジネスチャンスがあると見ています。また、一人の台湾人として、台湾民衆と同じように、海峡両岸が調和のとれた発展を遂げ、ともに繁栄することを強く願っています。

 

人民中国インターネット版 2009年6月

 

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