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共同購入――爆発的成長のネット・ビジネス

 

■ユーザーにはリスクも伴う

しかし、すべての共同購入体験が、ユーザーに満足感を与えているわけではない。いつも共同購入に参加しているシンシンさんだが、毎回慎重に販売店と商品を選別しても、たまに不愉快な買い物に遭遇するのを避けられない。

一週間前、彼女は共同購入サイトで美容院のパーマコースの体験クーポンを購入した。シャンプー、カット、ブロー、パーマ、高級ヘアケア込みのこのコースは通常価格約千元のものだが、共同購入によって98元で体験できるのだ。北京にある有名な美容院のチェーン店のため、彼女は安心して店を訪れた。しかし、美容師には注文したヘアスタイルにはコールドパーマが必要で、クーポンではホットパーマしか受けられないため、128元の差額を支払わなくてはならないと言われた。彼女が購入したクーポンにはパーマの種類が明示されていなかった。商品の裏に隠された消費項目で、より多くの出費をさせられた彼女の心にはわだかまりが残った。

家具共同購入会に参加した多くの「京城ネット」のユーザーたちは、北京東四環路沿いにある家具・インテリア店の売り場で業者に値引きを迫った

別の共同購入サイトでも、彼女は残念な経験をした。黒いアイライナーを注文したのに、届けられた小包を開けたら入っていたのは茶褐色のものだったのだ。中国の共同購入産業にはまだアフターサービスの保障がない現状を知っている彼女は、商品交換さえ求めなかった。販売側に何度も催促したり苦情を訴えたりしないと、新しいアイライナーを受け取れないことを心配したからだ。

共同購入の取り引きでは、消費者は第三者となる。つまり、消費者が共同購入サイトにお金を出し、共同購入サイトが販売業者から商品を購入し、販売業者が共同購入サイトに商品やサービスを提供する。そして、商品が到着する前に代金を支払うため、消費者の利益を確保するのは難しい。販売店が悪意を持って名実が伴わない商品を提供した場合でさえ、消費者の正当な利益を守るのはなかなか難しいのだ。

例えば、前述した「糯米ネット」では、2010年8月に43元のゲームセンター利用クーポンの共同購入募集を開始した。ところが、間もなくそのゲームセンターが経営破たんしてしまったのだ。結局、「糯米ネット」は応募者に43元ずつ、合計57万元の賠償費を支払うことになった。

共同購入産業が人気となっているこのチャンスに乗じ、そこからうまい汁だけを吸ってすぐに勝ち逃げしようというサイト運営者は少なくない。相応の監督制度がないため、共同購入サイトの実態は玉石混交だ。また、共同購入に関しての虚偽・詐欺行為が横行しているため、ユーザーはいっそう慎重に売り手や商品を選ぶようになっている。

■認証制度などで適正な規範を

市場の秩序が乱れているため、消費者の不信感が増大し、共同購入サイトの運営者側も苦しい立場に陥った。販売店と消費者をつなぐ仲介役として、共同購入サイトの存在基盤がユーザーの信頼であることに疑いはない。消費者側も、共同購入サイトの優劣を見分ける権威のある認証制度を求めている。

先日、中国商務部国際電子商務センターが中国初の「電子商取引信用認証規則」を公布した。信用認証の基準に基づきウェブサイトの優劣を区別することで、消費者の権益を保証しようというものだ。これによって、今後は共同購入サイトの信用ランクを取り引きリスク回避の参考にできるようになった。国際電子商務センターに信用認証申請を提出した第一陣の300社のウェブサイトのうち、29社が認証を取得したという。だが、NGOとしての電子商務センターが発行する認証の権威性に疑問を投げかける声もある。  こうした疑問に対し、国際電子商務センターの張閣センター長は次のように答えている。  

住宅リフォーム用材共同購入会で、上海の共同購入サイトの値切り役(立っている人)が数百名のユーザーを代表して、業者側代表と価格交渉を繰り広げる

「当センターはウェブサイトとネットユーザー間における中立的な第三者として、信用や規範を守れる共同購入サイトの選択をネットユーザーに提供する。近いうちに電子商取引信用認証の規則を公表し、第二陣の認証交付に際しては、認証の透明性を確保するため、数社のマスコミに今度の信用ランクを認証する全行程を監督し報道させる」  

共同購入サイトが次々と出現するのに伴って、相応の市場規範をいかに導入するかという新しい課題が突きつけられている。最近、中国工業・情報化部、中国国家工商行政管理総局、中国国家質量監督検験検疫総局は共同で、共同購入産業を規範化させる措置の実施を準備しており、市場規範に関する一連の管理政策が公布される見込みだ。共同購入産業の再編成は間もなくやって来る。

 

人民中国インターネット版 2011年4月25日

 

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