日本を知りたい!若者たちの8日間

2017年度「笹川杯」受賞者が訪日

陳克=文・写真

  

忘れ得ぬ思い出を残した沖縄の美しい砂浜で

 

 228日から37日の8日間、日本科学協会の招へいで2017年の「笹川杯作文コンクール2017―感知日本」「笹川杯 全国大学日本知識大会」「『本を味わい日本を知る』作文コンクール」受賞者と引率教員29人が訪日した。東京では日本の青年と楽しく交流を行うことで両国の未来を考え、沖縄では青い海を満喫して海洋保護を行う人々の感動的な物語に触れ、関西地方では日本の伝統文化の魅力に触れることで、中日文化交流の原点に迫った。

 

互いの魅力を発見し、未来へとつなぐ

 32日の午前中、訪日団は東京の日本財団ビルを訪れ、東京学芸大学や一橋大学などの学生18名と「知りたい魅力 伝えたい魅力 日中再発見―お互いがなかよくなるために」をテーマに腹蔵なく語り合い、両国が友好関係を結ぶための方法を探った。

討論に先立ち、日本科学協会の大島美恵子会長は「今回の討論と日本旅行を通じて、互いの国の魅力を発見するとともに、自ら体験し獲得したさまざまな成果を中国に持ち帰ることを願う」と述べた。

 

討論会では中日青年たちは経済、文化、教育、メディア、旅行などのテーマについて楽しく意見交換を行った

 

 参加者は5つのグループに分かれ、経済、文化、教育、メディア、旅行などのテーマから自由に選んで討論を行い、またグループごとに討論の内容を紹介した。学生たちは両国文化の相違点を分析し、それぞれの文化がもつ魅力を指摘し、建設的な提言も多くなされた。例えば、より多くの日本人に中国旅行を促す方策として、「観光地の日本語表記や日本語ガイドブックの整備」「中国旅行のプロモーションを日本のテレビで放映」「中国旅行指南をSNSで積極的に発信」などの意見が出た。

日本財団の尾形武寿理事長は学生たちの報告を聞いて、「みなさんが提起した考え方には実現可能なものもあれば、掘り下げて研究する価値のあるものもあった」とコメントした。また、「民間交流を続ければこそ、日中関係を絶えずよい方向へ発展させるができる。みなさんが自分の見聞きしたことや体験したことをソーシャルメディアで発信して、他の人と共有してほしい。日中両国がお互いの文化を理解し合うことで、そこから新しい価値観が発見され共有されることを願う」と期待を述べた。

 

東京で行われた日本の大学生との討論会では、真剣な中にも終始笑い声が絶えなかった

 

 今回の代表団の団長を務めた人民中国雑誌社党総支の王衛副書記は、「みなさんは自分の考えを生き生きと表現し、真心で交流し、啓発し合い、中日両国の友好の革新的な構想や思考を打ち出した」と評価し、そして「今回の旅を通して、いろいろ見て、考えて、交流して、良い思い出を作ってほしい」と述べた。

 

東京滞在中グループ自由行動でお台場海浜公園を訪れた

 

交流で友情を深め、新たな知識を得る

 東京を離れた一行は沖縄に向かった。沖縄と言えば思い浮かぶのが青い海と空の美しい風景だろう。美しい海を彩るサンゴについて知ることでも、新たな発見があったようだ。

 沖縄本島中部の読谷村で学生たちはサンゴ畑を訪問し、沖縄の美しい海とそこに棲む多彩な魚たちは、豊富なサンゴ礁のたまものであり、世界の海洋面積のうち、サンゴ礁の面積はわずか0.2%なのにも関わらず、全世界の海洋生物の25%が生息しているという事実を驚きとともに受け取った。

 

サンゴ畑でスタッフの丁寧な説明を受ける。サンゴ苗の植え付けでは、海洋保護の重要性を学んだ 

 

沖縄で見たことのない海洋生物に驚きを隠せない様子

 

20世紀末、沖縄海域に生息するサンゴは世界的な気候温暖化と環境汚染で急激に減少し、海の色もかつてのような美しい色を失った。そこで環境保護に乗り出し、陸地で海水養殖をしたサンゴを海に戻す地道な努力を10年にわたって続けた結果、かつての美しく生き生きとした海を取り戻したという。サンゴ苗作り体験の感想を問われた上海交通大学の王若平さんは、「指くらいの大きさの苗が、半年経っても数センチくらいにしか成長しないと知りました。海中に戻されてからゆっくりと大きく、強く成長し、多くの海洋生物を養っているんですね。人と人との結びつきや中日両国の関係もサンゴ礁と同じように、一度破壊されても大切に守ろうとする気持ちや辛抱強く続けようとする心があれば、時を経て元に戻るものなのではないかと思います」と感慨深げに語った。

  

華道先生の細かい指導を受けて、生け花に熱心に取り組んだ団員たち 

 

沖縄伝統のぶくぶく茶を体験。サンゴ礁を含む硬度の高い水のため、泡がぶくぶくしていることから付けられたという

 

沖縄グルメを満喫し、サンシンの音色に乗って沖縄伝統芸能の「エイサー」を体験 

 

沖縄で現地の学生たちと夕食を共にしながら、話に花を咲かせた

 

 沖縄に別れを告げた一行は関西へと向かい、1200年の歴史を持つ世界文化遺産の比叡山延暦寺を訪問した。

 「一燈照隅 万燈照国」(1つの灯火では片隅しか照らせないが、灯火が万という数になれば国中を照らすことができる)という名言は、延暦寺開祖で平安時代の名僧・最澄大師のものと言われる。802年、最澄は桓武天皇の命を受けて唐に留学し、天台山で天台宗大徳の{どうすい}道邃に学んだ。帰国後比叡山で延暦寺を建立、天台宗の開祖となった。以降延暦寺は日本仏教の聖地で、中日仏教文化の交流と友好のシンボルとして広く知られている。重慶三峡学院の陳資政さんは「あの消えることがない法灯のように、私たちも長きに渡る中日文化交流を知ることで、両国の友好交流を地道に続けなければという決意を新たにしました」と感慨を述べた。

 

叡山延暦寺では、座禅体験で仏教の心を知った

 

 

 

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