グローバルガバナンスへの全面的参加

胡鞍鋼 張新=文

 

 中国共産党第18回全国代表大会(党大会、18大)以降、習近平総書記を核心とする党中央が、新常態(ニューノーマル)に適応して、それを導くことをいかに認識しているかに始まり、中国経済の現在と今後の比較的長期間において「どのように見るか」「どのように活動を行うか」という現実的な問題の解決に力を尽くすことが、新時代の中国経済建設における重要なロジックを構成している。2016年の中央経済活動会議で初めて安定の中に進歩を求めることを全体基調とし、新発展理論を指針とし、供給側の構造的改革をメイン路線とする政策体系が打ち出され、経済の新常態に適応してそれを導く政策の枠組み(以下、「習近平の政策枠組み」と表記)が初歩的に形成された。17年の中央経済活動会議はまた、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想(以下、「習近平の経済思想」と表記)をさらに一歩進んで明確に概括し、新時代の社会主義市場経済綱領と建設の方策を確立した。

 「習近平の経済思想」は中国共産党が国際国内情勢の変化を分析し、新時代の中国経済の歴史的な変革を深く認識した上で制定した重要な経済指導方針であり、新時代の中国経済政策の枠組みの戦略的方向を明確にし、中国経済の世界的影響力を日増しに拡大させるものである。「習近平の経済思想」のグローバル発展理念には主に以下のものが含まれる。

 「人類運命共同体」の発展理念。これは単に外交的主張であるだけでなく、グローバル協力を促進する経済分野における提唱でもある。中国が発展強大化し、その他の国の発展の重要なチャンスとなることは、引き続き世界各国により多くの市場成長投資協力のチャンスを提供することとなり、「人類運命共同体」理念は中国がその他の国や世界の発展を突き動かす重要な思想コンセンサスとなるだろう。

 「ウインウイン主義」という時代理念。中国は自らを平和的な社会主義大国、発展途上の社会主義大国、全面的に開放された社会主義大国、共に豊かになることに力を注ぐ社会主義大国と位置付けており、「ウインウイン主義」の提唱は、覇権主義帝国主義に取って代わり、各国の平和発展を促進する新型国際関係の中国のたゆまぬ追求を体現するものである。

 「共に話し合い、共に建設し、共に享受する」という協力理念。この理念は、中国が世界各国に向けて協力のルートを広げ、協力の度合いを深めるという誠意と決心を示したものである。まず、周辺国であろうと域外国であろうと、全て共同建設に参加することにより、本国と地域経済の繁栄発展に貢献することができる。次に、中国は「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」沿線諸国間の相互連結したパートナーシップを構築強化することを助け、全方位的多層的複合的な協力関係を構築することを望んでいる。最後に、国地域の大小、国の豊かさを問わず、中国は全て互恵ウインウイン協力を行い、利益の合致点と協力の最大公約数を探し求めることを望んでいる

 「習近平の政策枠組み」が生まれた時は、まさに中国の世界経済における地位に重要な変化が生じていた時であった。購買力平価(PPP2011年米ドル)で計算すると、16年までに中国の国内総生産(GDP)が世界全体に占める割合は177%にまで達し、米国の比重(154%)の115倍(注)となり、その他でも中国は多くの経済指標で世界トップにあった。こうした客観的情勢の大きな変化は、ここ5年間、中国のマクロ経済政策の枠組みが、次第に国内情勢の調整コントロールの重視から、国内と国際の「二つの大局」を共に顧みるという転換の重要な根拠となった。「習近平の政策枠組み」は、中国がより積極的にグローバル経済ガバナンスに参加し、より深く国際経済ルールの制定に参加し、国際経済問題においてより大きな影響力を発揮するために、重要な理論的基礎と制度的基礎を打ち固めた。

 中国の国際政策調整ルートが次第に多元化したこと。現在、中国は各種の国際経済協力組織を積極的に活用し、経済政策の国際協議化協同化一体化を絶えず推し進めており、すでに協力組織とサミットやフォーラムを主体とし、二国間協力メカニズムを基礎とし、地域協力協定を枠組みとする多元的な国際政策調整ルートを形作っている。「一帯一路」戦略を例にとると、政策協力協議に直接参加する国際組織にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)、上海協力機構(SCO)などがあり、直接政策的提唱と実施を推進するフォーラムとして中国アラブ諸国協力フォーラム、「一帯一路」国際協力サミットフォーラム、BRICSサミット、そして一連の社会各界が関わる異なる分野のサブフォーラムがあり、杭州G20サミットではさらにビジネスサミット(B20)、労働組合サミット(L20)、青年サミット(Y20)、ウーマンサミット(W20)、シンクタンクサミット(T20)などの関連活動が行われ、「中国の提唱」を「世界プラン」とすべく、広範な国際交流協力プラットフォームを構築している。

 中国の国際政策調整と実施メカニズムは成熟しつつある。現在、中国では国内と国際を統括的に考える戦略的配置と政策措置が絶えず加速されており、「国内政策(戦略)-国際提唱-国際コンセンサス-実施プラン」という国際政策調整メカニズムが今まさに整いつつある。中国はすでにある国際機関を能動的に利用するとともに、国際組織のメカニズム構築改革を積極的に推進し、「協調ワーキングチーム-成果リストの形成-協力協議の実施-協力プロジェクトの推進」という実施メカニズムを打ち立てた。

 中国の国際政策調整ルートは次第に多元化し、中国の国際政策調整メカニズムは次第に成熟し、グローバル経済ガバナンスシステムにおける中国の地位を大いに引き上げ、中国が国際経済協議やルール制定に参加する上での能力を大幅に向上させて、「中国の提案」や「中国プラン」を「世界プラン」とする制度的プロセスを大いに推進している。

 時代は思想の母であり、実践は理論の源である。実践発展は永遠に止むことがなく、人々の真理の認識、理論革新の進行は永遠に止むことがない。経済の新常態に適応し、それを導く政策の枠組みが絶えず改革を深化させるにつれ、「習近平の経済思想」は必然的に新時代の社会主義経済理論の新たな章を常に書きつづり、「習近平の政策枠組み」もまた、必然的に新時代の中国の特色ある社会主義経済建設を常に勝利から勝利へと導くのである。

 

(本稿は胡鞍鋼教授と清華大学公共管理学院準教授国情研究院助手研究員の張新氏の共同執筆による)

(注 計算データは世界銀行データバンクより)

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