直接交流が理解への一歩

続昕宇=文

 7月31日に駐日中国大使館で行われた「Panda杯 全日本青年作文コンクール2019」の授賞式で、ある日本人青年のスピーチが注目を集めた。G20大阪サミット直前に、習近平国家主席から返信を受け取った中島大地さんだ。

 「あなたが長きにわたって中国語を学び、中国文学を研究し、作文コンクールや訪中交流への積極的参加で中国への知見を高め、中国の友人との心の交わりを深めていることを知り、とてもうれしく思っています」という習主席からの返事は、この上ない励ましになっただろう。「日中交流のために努力してきたことを習主席に評価していただき、とてもうれしいです」と、中島さんは喜びを語った。

 中国への興味は『三国演義』や『水滸伝』などの中国古典文学くらいだったという中島さんだが、何回か中国に足を運ぶうちに国を超えた友情を育み、隣国・中国への見識を深めた。習主席からの返信を受け取った直後、本誌は中島さんに中国との「物語」を語ってもらった。

 2017年夏から半年間、中島さんは上海の復旦大学で中国語を学んだ。「留学最初の日、道に迷っているところを現地の大学院生に助けてもらいました」と、初日から中国人の親切に触れたという。そして授業の合間を縫って、中国南部の各省を旅行し見聞を深めた。「中国の人々と触れ合うチャンスを増やすため、ほとんど一人旅でした。美しい風景を見て、現地の美味しい物を食べ、人懐っこい中国の人々と出会う。どれも留学生活の良い思い出です」

 中国への理解を深めた中島さんはPanda杯に応募。後にコンクール事務局のボランティアにも加わった。「受賞者として訪中交流に参加し、中国の真の姿に触れるのも素晴らしいことです。しかし私は中国語を学んでいて、中国についてもある程度知っていたので、中国と日本の人々の懸け橋になることで、何らかの役に立ちたいと思ったんです」と理由を語る。さらに、「Panda杯の活動や日中交流の合宿企画などで、多くの中国の友達を持つことができました。とても得難いことだと思っています」とボランティアの収穫を語り、「フェイス・トゥ・フェイスの交流こそが大切であり、直接向き合って語り合うことで、共通点と相違点を理解することができると思います」と、じかに触れ合うことの大切さを説いた。

 「今年は新中国成立70周年で、日中青少年交流推進年でもあります。このような時に習主席からお手紙をいただくことができて光栄でした」。中島さんは大学の修士課程を卒業し、今は児童書の出版社に勤務している。「習主席のお返事は、今後の日中青少年交流にとって大きな後押しになると思います。『両国人民の友好の未来は若者世代に託されています』という言葉がそれを物語っているでしょう。私は今、出版に携わっているので、日本の良いコンテンツを中国に紹介する、または中国の良いコンテンツを日本に紹介するといった形で日中の文化交流に関われたら、と考えています」

 

 

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