福田康夫 世界に平和と繁栄の新風を

于文=文

昔から中国文化に深い関心を持っている福田康夫元首相は、1978年の中日平和友好条約締結から2年後の80年、親しい友人たちと共に新中国への「初訪問」を果たした。訪問した北京、西安、上海など各都市では、広い大通りを埋め尽くすほどの自転車や、古代都市遺跡から発掘されたばかりのおびただしい数の俑(墳墓に副葬された人形)、書聖の字が刻まれた石碑の林、古びた町並み…見るもの全てが、歴史の深さや国の巨大さを感じさせるものばかりだった、と当時を振り返る。 新中国成立70周年を迎えるに当たり、『人民中国』の取材に応じた福田元首相は、中国の過去と現在を次のように分析した。「当時の中国と今の中国では格段の差があります。今は経済が豊かになったことで、その恩恵は至る所に表れています。今後は豊かさをより幅広く享受し、併せて質を高めていく動きになるのでしょう。その兆しはすでにあります。経済の『広がり』と『質の高さ』の双方を追求しているのも、経済的に豊かになったから実行できるようになったと思います」

中国経済の目覚ましい発展について、福田元首相は改革開放を例に挙げた。日本は平和友好条約締結直後、鄧小平氏の求めに民間企業がすぐさま応じ、さまざまな方法で中国の改革開放事業を支援した。また政府も、円借款による開発援助を行った。「私たちの先輩に当たる当時の支援に参加した日本人は、中国のために何をすべきかを真剣に考え、その考えに共感した中国人も素直に援助を受け入れたのだと思います。もちろん、中国の発展は日本の協力だけで成されたものではありません。中国の国民は、国と社会の発展に対する強い信念と知恵を持っていたから発展したのです。また、日本も中国に協力することで同時に発展することができたのです。両国は共に発展するために語り合い、相互理解を進めるべきです。その時期はもうすでに来ています」と、相互協力を強調する福田元首相。

新中国成立から70年。中国の発展は世界に極めて大きく影響し、その発展でもたらされる恩恵を「人類運命共同体」という価値観を通して他国地域にも分け与えている。これは非常に良い傾向だと、福田元首相は見る。「人間は一人だけで生きられません。国も同じです。自分の国だけが良くなるのではなく、他国と協力し合い、みんなの将来を明るくするのが目的でなければいけません。中国が提唱する『人類運命共同体』の理念はまさにそれです」と語り、中国はその基本的な理念を忘れず、全ての問題解決に当たっていくだろうと予測する。

「中国は悠久の歴史を刻み続けています。新しい体制と理念の下、今年新中国成立70周年を迎えたのは大変意義深いことだと思います。新中国は成立後も幾多の困難を経ましたが、今や順調に経済が発展し、『世界に羽ばたく中国』と言える状況になりました。今後も中国が掲げる『人類運命共同体』の理念の下、『一帯一路』の道を歩み、追求し、世界に平和と繁栄の新風を送り込んでいただきたいです」

 

200712月、福田康夫首相(当時)は中国訪問の際に山東省曲阜市の孔子廟を参観し、「温故創新」と揮毫した(東方IC

 

 

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