岩永正嗣 外資導入が吹き込んだ活気

王朝陽=文

日中経済協会北京事務所の岩永正嗣所長は中国の古い友人である。人生初の海外旅行は1987年の中国旅行で、中でも最も印象深かったのは買い物だったという。当時は、外貨を自由に人民元に両替できる現在と状況が違っていた。外国人が中国で買い物などをする場合、まず外貨を外貨兌換券に両替し、特定のデパートに行って兌換券で買い物するという不自由さだった。

「通貨を例に取ってみても、30年余りにわたり中国がますます開放してきたことが見て取れます」。中日経済交流事業に長年携わってきた岩永所長は、中国が厳しい外資規制をしていた時から世界第2位の外資導入国になった今までを振り返った。

78年の改革開放以降、外資が中国市場に進出するハードルは下がり続けてきたと、岩永所長は実感する。「過去、外国企業は合弁会社または株を少量保有する形でしか中国市場に進出できませんでした。現在、独資による外資系企業の事業展開が可能になり、外資に開放される分野も増えました」

また、中国は開放を拡大しながら、経済力も高めている。「2008年から、中国企業は急速な成長を遂げています。外国企業が中国市場に参入する利便性が高まりつつある一方、競争も激しくなりました」

現在、中国は改革開放を全面的に深化させており、来年1月1日からは「外商投資法」が実施される。改革開放の拡大に伴い、岩永所長は中日両国の第三国市場開拓や高齢化対策における協力を見込んでいる。

「1973年に日本企業に初の海外進出ブームが起こりました。当時は東南アジアで反感を買ったり抵抗に遭ったりしたこともありましたが、長期にわたる模索を経て、今は現地の人々と信頼関係を築いています。日本企業が積み重ねた信頼関係と中国企業の技術を結び付け、ウインウインを実現することは、第三国市場での日中協力の成果の一つになるでしょう」と指摘する。

中日両国が直面する高齢化問題について岩永所長は、医療衛生産業やシルバー産業が将来の両国の経済交流の重点分野になると考える。「日本は中国より30年早く高齢化社会に入りました。中国は他国に学び、他国の長所を取り入れることに長じており、日本の経験は中国の参考になると思います。また、中国が開発した新技術も日本の高齢化対策に生かせるでしょう」。岩永所長が言及した中日協力の新たな分野は、まさに中国が改革開放を深化させる中でつくり出した新たなチャンスだ。

 昨年5月、中国日本商会と中日友好協会が組織した連合視察団が貴州を訪れ、岩永さん(右から3人目)は日本側団長として現地のビッグデータ取引所を見学した(写真提供岩永正嗣)

 

 

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