第5回:ソウルサミット

場所:韓国ソウル

時間:20101111日―12

背景:先進国による金融緩和、その影響を受けての新興国への資本流入の急増を背景に「通貨戦争」といった言葉がメディアで取り上げられる中、国際通貨金融面での協調姿勢に注目が集また

成果:

1)世界経済成長のためのフレームワーク

多くの首脳から回復は続いているが一様ではなく、多くの不確実性があるとの認識が示され、持続可能な成長のために、G20のフレームワークに沿って協力を継続すべきとの認識を共有。対外不均衡の問題については、黒字国赤字国ともに具体的な行動が必要との意見が示された。

G20として包括的、協力的かつ国ごとの政策行動から成る「ソウルアクションプラン」を立ち上げ。金融政策と為替レート政策、貿易と開発政策、財政政策、金融改革、構造改革への取組の継続にコミット。為替レート政策では、為替レートの柔軟性の向上、通貨の競争的な切り下げの回避、準備通貨を持つ国々を含む先進国による為替レートの過度の変動や無秩序な動きの監視を確認。不均衡については、フレームワークでの相互評価プロセス(MAP)を強化し、継続した大規模な不均衡を判定する上での「参考となるガイドライン」を用意させ、その進展を財務大臣中央銀行総裁が2011年前半に議論することに合意。

2)国際金融機関改革

IMFのクォータ倍増や新興国途上国へのシェア移転等、IMF改革の合意を歓迎。 危機に対処予防するための、グローバルな資金セーフティネットの強化につき、IMFの予防的融資制度改革などを歓迎し、さらなる検討に合意。

3)金融規制改革

銀行の自己資本流動性の新たな枠組みにつき、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)による合意(バーゼルIII)を承認。

また、システム上重要な金融機関(SIFIs)がもたらすモラルハザードのリスクを軽減し、「大きすぎて潰せない」問題に対処するためのFSBによる作業プロセス等に係る提案を承認。

4)開発

世界経済の持続的成長の実現には、低所得国の成長と貧困削減が不可欠であるとの観点から、G20が開発に取り組むことに広汎な支持あり。その上で、強固で責任ある開発パートナーシップの推進など、G20の取組の原則を示す「開発に関するソウル合意」、及びインフラ、貿易、人的資源開発、民間投資と雇用創出、食料安全保障等を柱とした「複数年行動計画」に合意。

5)貿易気候変動

各国首脳は、貿易は経済回復を下支えするとの認識を共有。スタンドスティルのコミットメントを再確認し、輸出規制及びWTO非整合的な輸出刺激策を含めいかなる新たな保護主義的措置も是正することにコミット。また、WTOドーハラウンド交渉につき、来年が極めて重要な「機会の窓」との認識の下、早期妥結に向けた横断的な交渉を担当者に指示。 気候変動につき、各国首脳はメキシコのCOP16において、成功裏のかつバランスのとれた結果を達成していくことにコミット。 その他、生物多様性条約につき、名古屋でのCOP10の成功を歓迎。また、グリーン成長促進に取り組むことに合意。

6)その他

エネルギーに関する取組、具体的には、化石燃料補助金の段階的廃止、石油価格乱高下への対策、メキシコ湾石油流出事故を踏まえた海洋環境保護の経験共有の作業の継続を支持。 腐敗は経済成長にとって深刻な障害になるとの認識の下、腐敗対策に積極的に取り組み、模範を示すべく「腐敗対策行動計画」を策定。

 

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