第7回:ロスカボスサミット

場所:メキシコロスカボス

時間:2012年6月18日―19日

背景:世界が数多くの不安定かつ不確実な要因に直面し、G20グループの国際経済事務における役割がさらに注目される中で開催された。参加国の指導者らは、目下の世界経済金融分野で直面するリスクやチャレンジにいかに対応し、世界経済回復の勢いをいかに保つかについて討議した。

成果:

1)世界経済

多くの国から、欧州の債務危機や金融セクターの問題、及びそれに伴う波及効果が世界経済にとっての最大のリスク要因であるとの懸念が表明され、欧州当局が金融安定化に早急に取り組むべきとの意見が示された。これに対し、欧州当局からは、更なる財政統合や金融面の統合を進めていくことが重要との意見が示された。

経済成長と財政再建の関係についても議論となったが、これらは二律背反ではなく相互補完的な関係であり、両立させることが必要との意見が多数示された。経済成長に関しては、労働市場改革やサービスセクターの規制改革といった構造政策が重要であるとの指摘があった。 多くの国が、現在の欧州情勢などを受けて、為替を含めた金融市場におけるボラティリティが高まっていることへの懸念を表明し、市場の安定化を図ることが重要である旨を指摘した。

首脳宣言と合わせて発出されたロスカボス行動計画では、欧州問題への対処など市場の信認を回復するための対応に加え、財政健全化や構造改革の実施、グローバルインバランスの是正など、世界経済の成長に向けたG20としてのコミットメントを示した。

2)国際金融アーキテクチャー、金融規制、金融包摂

IMF資金基盤強化について、中国等多くの新興国から具体的な貢献額の表明があり、この結果、コミットメントは4500億ドル以上となった。

金融規制については、 FSBからFSBのガバナンス強化の取組が報告されるとともに、シャドーバンキングや店頭デリバティブ、国内のシステム上重要な金融機関に対する政策枠組みの検討状況等が報告され、引き続き作業を継続することを確認した。 多くの新興国から、消費者や中小企業が金融サービスの恩恵が受けられるよう、金融包摂、金融教育、金融消費者保護等の促進の重要性について指摘があり、右に関する国際機関やメキシコ主導の取組等を歓迎する旨の発言があった。

3)開発:包摂的なグリーン成長、インフラ、食料安保

インフラについては、経済危機の影響を受けているのは途上国であり、途上国の成長のためにインフラ開発への支援が必要であるとの指摘が多くなされた。 食料安保については、農業の生産性向上や食料価格変動対策を中心に議論が行われ、生産性向上については開発のための農業研究や技術普及の重要性や、民間投資動員の必要性を指摘する意見があった他、農業のイノベーションを促進するイニシアティブ(アグリザルツ)の立ち上げが歓迎された。食料価格変動に関しては、昨年合意された食料価格乱高下及び農業に関する行動計画の着実な実施が歓迎された。 包摂的なグリーン成長については、各国より本年議長国メキシコにより優先分野として掲げられたことが支持され、途上国の包摂的なグリーン成長への移行が持続可能な開発に不可欠であるとの認識が示された。また、グリーン成長が保護主義的措置として使われるべきではないとの認識で一致した。

4)貿易、雇用創出、成長

貿易については、保護主義的措置が拡大していることに多くの首脳から懸念が表明され、新たな保護主義的措置を設けない(スタンドスティル)等のコミットメントの期限を延長すべき旨の主張がなされた。これに対し、一部新興国から、先進国が農業補助金をはじめとして様々な保護措置を続ける中でスタンドスティルのコミットメントのみを延長することはバランスを欠く旨の意見も表明されたが、成長雇用における貿易の重要性を踏まえ、現在2013年までとなっているコミットメントを2014年までに延長することに合意した。また、停滞するWTOドーハラウンド交渉を進めることの重要性について指摘があり、多くの国から、貿易円滑化の合意を進めるべきとの意見が出された。

 

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