G20で中国がどのような役割を果たしたか

 

現在、世界は重大な国際経済・グローバルガバナンスの改革期を迎えている。この点、習近平国家主席は、G20の講話で、“世界経済はすでに新旧エネルギーの転換期に入った”と発言していることからも明らかである。その転換期を代表するのが、2018年から激化する貿易摩擦や保護貿易主義、一国主義の台頭である。これまで一貫して経済のグローバル化を推進してきた中国は、保護貿易主義や一国主義の台頭には反対の立場をとっている。現在、世界の趨勢は、反保護貿易主義、多国間貿易主義にあり、中国と立場を同じくしている。中国にとって、G20は経済グローバル化こそ世界貿易の発展に資することを対外発信する絶好の機会になったといえる。その中国が、G20の場で、貿易摩擦、保護貿易主義の弊害を指摘し、あるべき国際経済・グローバルガバナンスの形成に、G20は責任があると強調、事態打開に向けた4つの提言(改革創新と成長エネルギーの発掘、時代にあったグローバルガバナンスの構築、発展のボトルネックの解消、伙伴関係による対立への対応)と5つの対応策(さらなる市場開放、積極的な輸入拡大、ビジネス環境改善、平等待遇の全面実施、FTA交渉の大々的推進)を具体的に提起した意義は大きい。こうした「世界の声」を代表し、世界的、国内的対応策を説得力をもって対外発信できる国は、今、中国をおいてほかにはないのではないだろうか。この点、40年来の改革開放で世界経済の成長率への貢献率で世界で最も貢献している実績、さらに、協力・ウインウイン、開放型経済、多国間主義を前提とする一帯一路への国際的支持などが、習主席の発言を説得力あるものにしているいえる。総じて、習主席の発言は時代の要請に沿った世界経済の発展に向け、大国としてのリーダーシップを発揮してゆこうとしているエネルギー(正能量)に満ちていたといえるのではないだろうか。国際貿易投資研究所チーフエコノミスト 江原規由

 

人民中国インターネット版 2019年6月29日

 

 

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