中国国務院の李克強総理の招待を受けて、日本の安倍晋三首相が10月25〜27日に中国を公式訪問する。7年ぶりの日本首相の訪中であり、中日平和友好条約締結40周年の重要な節目の年に当たる。「国際商報」が伝えた。
今年5月には李総理が日本を訪問した。専門家は、「今回は安倍首相の『答礼訪問』と考えられ、中日関係のさらなる改善を示すといえる。また現在の保護貿易主義の台頭を背景として、中日経済貿易協力を強化することはグローバル自由貿易と多国間貿易体制を守り抜く上でとりわけ重要な意味をもつといえる」との見方を示す。
▽多国間体制を守ってこそウィンウィンを実現できる
日本企業(中国)研究院の陳言執行院長は、「今回の安倍首相の訪中は2つの側面から読み解くことができる」として、次のように指摘した。
「一つは、経済グローバル化の受益者である日本は、米国の一国主義の被害者でもある。今年に入ってから、米国は中国からの輸入商品に追加関税をかけるだけでなく、日本から輸入した鉄鋼・アルミニウム製品にも追加関税を課し、日本の自動車と自動車部品にも同様の措置を執ると威嚇した。こうして日本と米国の間に一部の問題で溝が生じた」。
「もう一つは、中日の経済構造は相互補完性が高く、双方には元々着実な協力を行うニーズと必要性がある。ここ数年、中国経済の急速な発展と開放拡大の政策を受けて、日本は対中協力への決意をさらに強固にし、共同の利益の追求を基礎として中国との対話協力を積極的に模索するようになった」。
日本が示す対中協力強化の意思に対し、中国も歓迎の意を示している。商務部(省)の高峰報道官は今月18日の定例記者会見で、「中日両国はどちらも経済グローバル化と貿易自由化の揺るぎない推進者であり、これまでずっと自由貿易と多国間貿易体制を守り抜くために同じ立場を取ってきた。中国は引き続き日本とともに、一国主義と保護貿易主義に反対し、多国間貿易体制の権威と有効性を守り、開放的な世界経済の発展をともに促進していきたい」と述べた。
▽経済協力強化が訪中の重点
経済貿易協力は中日関係の「バラスト」と「スクリュー」であり、双方が政治的相互信頼を実現するための重要な基礎だ。報道によれば、今回の訪中では日本のビジネス界のトップ約500人が安倍首相に随行する。訪中期間中、双方は中日「通貨スワップ協定」の締結を推進するために努力し、限度額をこれまでの10倍の3兆円に引き上げ、双方の金融協力に保障を提供することを話し合うという。また第1回中日第三国市場協力フォーラムの開催も予定される。
中国社会科学院世界経済・政治研究所の倪月菊研究員(世界経済史研究センター副センター長)は取材に答える中で、「日本企業の海外進出は中国よりも早く、技術、管理、ノウハウで大きな優位性がある。中国企業は人材、資金、生産能力で大きな優位性があり、双方がそれぞれの優位性を活かして協力することが必然的な流れだ。今後、双方はインフラ、製造業、産業パークなどの分野に重点を置き、東南アジアなどの双方がともに重視する国と地域で第三国市場協力を展開し、中日二国間と地域間の協力により互恵・ウィンウィンを推進することになる」との見方を示した。
データによれば、中国は日本にとって最大の貿易パートナーであり、両国の毎年の貿易額は約3千億ドル(約33兆6210億円)に上る。今年1〜8月も、二国間経済貿易関係は好調で、貿易額は前年同期比11.2%増加し、日本の対中直接投資も同38.7%増加した。中国からの訪日観光客はのべ580万人に達して、同18.7%増加した。
陳氏はさらに、「ここ数年の中国は人工知能(AI)の分野で飛躍的発展を遂げ、日本はIT(情報技術)大国として、中国との協力を切に望んでいる。中国の飛躍的発展と現在推し進める新たな開放拡大措置が、中日経済貿易協力により大きなチャンスと広範な協力の可能性をもたらすことは確実だ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年10月25日