世界を見据えた科学技術革新の都

 

 

安徽省の省都である合肥市の行政・ビジネスの中心、天鵝湖の湖畔に足を止めると、澄み渡った穏やかな湖の周囲には、緑の木々が影を落としていた。天鵝湖の周囲にある広い整った道路には車が行き交い、高層ビルが立ち並んで、合肥の現代的で繁華な光景を描き出している。目の前の光景を見て、5年前にここは荒れ地だったなどと誰が想像できるだろうか。なぜ合肥はこのような急速な発展を遂げられたのか。その答えは科学技術と人材にある。

「合肥には中国科学技術大学などの51の大学、中国科学院合肥物質科学研究院などの200余りの科学研究所があり、さらにはシンクロトロン放射、マイクロスケール、核融合、量子情報科学を研究する四つの国家実験室があって、北京・上海・深圳と並ぶ総合的国家科学センターとなっています」と戴氏は合肥の科学力について詳しく説明する。世界に目を向けると、合肥はさらに「世界一流のハイテク産業パーク」「世界クラスのバイオ医薬研究開発拠点」「世界最大の腫瘍放射治療センター」「世界最大の量子情報実験室」などの誇らしい成果を上げている。

突出した科学技術的特色により、合肥は中国で最も人材を引き付ける都市の一つともなっていて、2001年から17年まで、合肥の人口増加率は全国一であり、人材の純流入率は全国第4位だった。昨年9月時点で全市の人口は1000万人を突破し、合肥は中国の新一線都市に加わった。

昨年9月24日、安徽自貿区の開業式が合肥で盛大に行われ、安徽自貿区が全面的な建設段階に入った。同時に安徽自貿区合肥エリア(以下、合肥自貿エリアと表記)は世界的な影響力を持つ総合的国家科学センターと産業イノベーションセンター建設けん引エリアの機能と位置付けが与えられ、合肥の科学技術イノベーション新都市としての地位とその性質をいっそう堅固なものとし、昇格させた。

10月9日、中国の著名なスマートEVブランド「蔚来」の中国本部が合肥に置かれることにより、合肥自貿エリアは初めて総投資額が240億元に達する23のハイテク産業プロジェクトを迎え入れ、その中には集積回路、新エネルギー自動車、第5世代移動通信システム(5G)開発と応用、人工知能(AI)なども含まれていた。1218日、安徽省発展改革委員会が発表した安徽自貿区イノベーション駆動発展プロジェクト目録の中で、合肥自貿エリアはさらに総投資額が104億元を超えるプロジェクトを獲得した。

最近では、研究機関「グローバル・シティー・ラボ」(本部・ニューヨーク)が発表した2020年「世界都市トップ500」分析レポートの中で、世界で新たにランクインした都市が14都市あり、合肥もそのうちの一つであった。科学技術が合肥に飛躍のパワーを注入し、合肥は科学技術イノベーションのために肥沃な土壌をつくり出したのだ。戴氏は、安徽自貿区が今後企業に与える優遇政策について言及した際、「自貿区は重点業界の企業に15%の所得税という特殊待遇を与えることを考えています」と語った。通常の25%と比べると、安徽自貿区は、企業にとってより魅力のある場所となるだろう。安徽自貿区の中心エリアとして、合肥自貿エリアは必然的に先行実施を行う場所となる。

天鵝湖の変遷は合肥の発展を映し出し、合肥の奇跡は合肥自貿エリアの未来を連想させる。近い未来、世界から注目を浴びる科学技術イノベーションの都がここに誕生するかもしれない。

 

人民中国インターネット版 2021年3月

 

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