中国内陸と世界をつなぐ物流の中心

 

 

青海チベット(青蔵)高原に源を発し西から東へと流れ下る長江は、安徽省蕪湖市で北へと向きを変えるため、長江がカーブする地点に当たる蕪湖は、昔から長江の要衝となっていた。夕日の下で川には船が行き来し、岸辺にある蕪湖港の埠頭では大型移動クレーンがコンテナを次々と船の上に積み上げていて、落日の残光がそれらを黄金色に染めていた。

「蕪湖は合肥・南京・杭州・武漢が十字に交差する中心点に当たります。蕪湖港は安徽随一の港であるだけでなく、長江の水運の重要な中枢ともなっています。現在、蕪湖港に登録されている水運企業は数百社にも上ります。それらの貨物は蕪湖港で積み込まれると、長江を下って上海の洋山港で通関し、そのまま海外へと運ばれます。これが蕪湖港の水運の特色です」と、安徽港口グループ蕪湖公司の楊運林副総経理は蕪湖港の立地の優位性(2)について力強く語った。

蕪湖は安徽自貿区の中でも唯一の川に面した自貿エリアで、とりわけ恵まれた地理条件により、港湾型国家物流中枢都市の地位が与えられてきた。現在、安徽自貿区の建設という、より大きな戦略構造の中で、蕪湖は国際物流中枢の機能と使命を担っている。

蕪湖には、標準型コンテナ110万個という年間取扱量のある蕪湖港、今年1月に試験飛行が成功した年間旅客数が延べ175万人、貨物・郵便取扱量(3)1万㌧が可能な蕪宣空港、そして全国につながる高速道路と高速鉄道がある。貨物輸送の速度を上げるため、蕪湖は「高速鉄道で貨物輸送」のモデルも開始。それは高速鉄道の空いた座席を利用あるいは貨物専用車両を連結することにより貨物を輸送するというもので、ここからも蕪湖人の物流に対する意識を知ることができる。現在、蕪湖自貿エリアは「鉄道-航空-道路-水運」という立体的な物流ネットワークの構築に力を入れており、それを世界にまで広げようとしている。昨年1127日、初めての「蕪湖-西安-欧州」国際貨物列車が蕪湖を出発した。西安を通過し、ロシアまで向かう全行程9300㌔で、運行時間は約2週間。「中欧班列(中国と欧州を結ぶ国際定期貨物鉄道)」の開通により、今まで海上輸送で60日ほどかかっていた行程が15日程度に短縮され、蕪湖をいっそう「一帯一路」建設に融合させることになった。

蕪湖自貿エリアの便利な物流システムは多くの企業を引き付けている。1221日時点で、同自貿エリアでは計1704社が登録していて、登録資本の合計は297億6400万元で、そのうち新設の企業は339社ある。蕪湖では現在、蕪湖港で通関手続きが完了できるようにする計画を進めていて、実現すると海外に送る貨物は上海で通関手続きをする必要がなくなる。これは蕪湖の国際物流ルートをより便利でスムーズなものとするだろう。

物流以外でも、蕪湖自貿エリアはさらにインテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)、スマート家電、航空、ロボット、越境電子商取引(EC)(4)などの産業を重点的に発展させようとしている。計画によると、3~5年以内に蕪湖自貿エリアは戦略的新興産業先導区と国際物流中枢となる予定である。長江の重要な港である蕪湖は今まさに中国の内陸と世界をつなぐ懸け橋を建設しようとしている。

人民中国インターネット版 20213

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