自主イノベーションで先駆者に

 

 

 

  「私たちの使命はポリ乳酸技術の先駆者になり、ポスト石油時代における中国のバイオベース材料の発展に貢献するという重責を担うことです」。安徽省蚌埠の豊原グループ有限公司(豊原グループ社)で、李栄傑董事長は自社開発した生分解性プラスチック製品を指しながら、自信に満ちた様子で語った。「太陽エネルギーや水素エネルギーが化石エネルギーに徐々に取って代わり、新エネルギー自動車が従来のディーゼル車に徐々に取って代わるように、再生可能な資源を使って製造したバイオベース材料も石油化学系素材に徐々に取って代わっていくでしょう。これはポスト石油時代の材料分野における大きな変革の一つです」

李董事長が言及した「ポリ乳酸」とは一種の新型生分解性材料で、広く応用されている。20年にわたる研究と模索によって、豊原グループ社はトウモロコシなど植物資源から乳酸へ、さらにポリ乳酸へという、コア技術全体を完全に確立し、世界最先端のポリ乳酸合成技術を持つだけでなく、中国で唯一、ポリ乳酸の全産業チェーン技術を確立した企業ともなった。

豊原グループ社の前身は蚌埠クエン酸工場で、1990年代半ばに一度破産の危機にひんしたことがある。1995年、同社は新しい発酵技術を自社開発し、この新技術の応用によって黒字転換した。その後、一貫して技術イノベーションを企業発展の大きな原動力とし、バイオ発酵と化学工業薬品の分野で目覚ましい成果を収めた。「習近平総書記は安徽を視察した際、自主イノベーションの重要性を何度も強調し、それがとても心に残りました。まさに技術イノベーションへのこだわりが私たちに今日の発展をもたらしたのです」と李董事長は語る。

安徽自貿区の正式な設立に伴い、蚌埠エリアでも大規模な建設が始まり、世界レベルのシリコンベース・バイオベース製造業センターの構築に注力するという目標も豊原グループ社にチャンスをもたらした。「将来、私たちは引き続きイノベーションを通じて、石油・石炭の『黒金経済』をバイオマス加工の『緑金経済』に変え、持続可能な発展を真に実現し、『緑の山河は金山や銀山にほかならない』という言葉を真に実践し、プラスチック汚染の解決に『蚌埠プラン』を提供します」

安徽省蕪湖にある埃夫特(EFORT)スマート設備股份有限公司(埃夫特社)は昨年7月、上場に成功し、中国初の工業ロボットの全産業チェーンを主な業務とするイノベーションボードの上場企業になった。「『165』を会社の銘柄コードの下3桁に選んだのは、当社が最初に自社開発したロボットの積載量が165㌔だったからです。これによって自主イノベーションの道を安定して長期的に進んでいけるように自分たちを励まし、奮い立たせたいと思っています」と話すのは同社の許礼進董事長だ。

日本の安川電機(YASKAWA)、ファナック(FANUC)、ドイツのKUKA、スイスのABBなど、国際的に有名な工業ロボット企業と比べて、2007年創業の埃夫特社はまだ経験が浅い。設立当初、コア技術を持っていなかったため、同社が産業チェーンにおいて活躍するのは難しかった。それでも、自主イノベーション堅持という伝統と、思い切ってやってみるという気迫によって、埃夫特社は最終的に飛躍的な発展(8)を遂げた。

「近年、国際情勢が日に日に複雑になり、一国主義や保護主義が台頭し、中米貿易摩擦が起こって、中国人がよりはっきりと意識したのは、コア技術を掌握してこそ国際的な発言権を得られるということです」。許董事長は、自主イノベーションは必ずしっかりとした技術研究開発力を基礎としなければならない、との考えを持っている。長年の自社開発による技術の蓄積と技術の導入・活用を経て、同社は現在、国内外の特許200件余りを有し、ロボット業界における多項目の国家規格の制定に関与している。「将来、当社は市場のニーズを見据えて、自主イノベーション力を引き続き向上させ、確固として質の高い発展の道を歩んでいきます」

 

人民中国インターネット版 20213

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