越境ECで位置付けを明らかに

 

 

自貿区の設置は、越境ECにもより多くのチャンスをもたらした。国務院が昨年9月に発表した『中国(安徽)自由貿易試験区総体方案』には、合肥、蕪湖における越境EC総合試験区の建設、および両エリアにおける越境ECの小売輸入の試行を支持することが明記されている。

蕪湖港は長江沿岸で最も内陸部に近い億トン級の港湾であり、水上運輸における優位性が明らかで、発展の潜在力が大きい。鉄道運輸の面では、「中欧班列」の一つで、蕪湖が始発の「蕪西欧(蕪湖_西安_モスクワ)」号が昨年11月から正式に運行を始めている。ほかにも、投資総額が950億元に達する京東(JD.com)グローバル航空貨物運輸スーパーターミナルが蕪湖に建設される予定で、25年に貨物郵便物取扱量は233万に達する見込みだ。それは19年の貨物郵便物取扱量が世界7位だったドバイ国際空港にほぼ匹敵する規模だ

「ここの水空の輸送手段は越境ECを展開する当社のような企業にとって、多くのメリットがあります」と安徽興貿通電子商務有限公司(興貿通社)の王志斌総経理は考えている。

興貿通社は蕪湖越境EC産業パークと蕪湖越境EC公共サービスプラットフォームの建設と運営管理を主な業務としている。王総経理によると、同プラットフォームは昨年9月から運用開始し、登録した業者のために海外調達、輸入代行、倉庫保管、通関手続きなどを含む一括代行サービスを提供しているという。「ほかに、電子商取引企業に金融面のサポートを提供できるかどうかについて、政府や銀行とも検討しているところです」

電子商取引産業が中国各地で盛んに発展している中、蕪湖は個性化と差別化を求めようとしている。「ここ数年、ペット用品が新たなブルーオーシャンになっています。昨年の中国のペット産業の市場規模は3000億元を超えました。そのうち、ペットフードの消費が半分を占めました」と王総経理は言う。「それに、ペットフードは重い商品なので、蕪湖の水上運輸における優位性によって輸送コストが削減できます」 現在、蕪湖は省レベルの越境EC産業パークに依拠して省レベルの越境ECペット産業パークを建設しており、電子商取引企業のために、安定した政策と円滑な輸出入通関手続きを提供することで、国際貿易の新たな業態とモデルをつくり出そうとしている。

高齢化が進む中、王社長はそこに秘められた電子商取引産業の可能性を見込んでいる。「ワンヘルス(一つの健康)(10)と介護産業は将来性が大きいはずです。日本にはこれらの分野でより先進的な経験と製品があり、当社のような越境EC企業にとっても大きなチャンスではないかと思います」

 

人民中国インターネット版 20213

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