地の利を発揮 企業をサポート

 

2010年、鬼怒川橡塑(蕪湖)有限公司(鬼怒川橡塑社)が安徽省の蕪湖市に設立された。同社はゴムの自動車用密封部品などタイヤ以外の各種自動車用ゴム製品の生産を主な業務とし、顧客には、アウディやフォルクスワーゲン、日産、チェリー(奇瑞)など国内外の自動車メーカーがある。「中国の自動車産業を見れば、安徽省は地理的に恵まれたところといえるでしょう」と同社の山中啓嗣総経理。「蕪湖市に本部を置いた奇瑞社は当社の重要な顧客です。それに、仕入先の多くは江蘇浙江上海地域にあり、距離が近く、輸送コストの削減につながります」

11年に設立された合肥恩斯克有限公司(恩斯克社)は、合肥ハイテク開発区柏堰科学技術パークに入居した最初の日系企業だ。親会社の日本精工株式会社は世界トップ3に入る軸受メーカー。「安徽省に拠点を置くことにしたのは、ここの地理的優位性をよりどころに、当社の販売ネットワークを中国の内陸部に広げたいからです」と恩斯克社の井上真一総経理は語る。

「地の利」に恵まれた安徽省は「人の和」も促進し続けている。  近年、同省はビジネスサービス環境の最適化を図り続け、日系企業と日常的にコミュニケーションできる安定したルートを確立している。「ここで勤務して5年になります。合肥が企業に提供するサービスは着実に改善していると実感しています」と井上総経理。

同社の呉剛工場長によると、ハイテク開発区が打ち出した投資奨励補助政策に基づき、同社は低炭素化に向けた設備改良やAIを応用した製造を展開するための設備投資と技術改良プロジェクトを実施した。地元政府も省エネ排出削減や政策の説明などの面でいろいろとアドバイスをくれたという。

淀川盛餘(合肥)高科技鋼板有限公司(淀川盛餘社)は主に家電建材用溶融亜鉛メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板およびカラー鋼板を生産している。同社の製品は北京大興国際空港や上海国家会議展示センターなどの建築にも使われているという。「当社の設立当初から、合肥経済技術開発区は多大な支援をしてくれました。特に販売の面で、市場の開拓についてアドバイスと力添えをいただきました」と同社の田中栄一董事長兼総経理は言う。

三菱電機GEMパワー半導体(合肥)有限公司(MEGP社)は主に民生用および一般産業用のパワー半導体モジュールを生産しており、インバーターの小型化と省エネ化に貢献している。「地元政府は当社と緊密につながっており、どんな問題でも相談できます」と同社の吉田直人総経理は言う。

昨年、中国国内の新型コロナの感染拡大後、恩斯克社はパーク内で最初に操業再開した企業の一つだった。「感染拡大の期間中、当社の感染対策を担当する政府の方がいて、防疫物資などさまざまな支援を提供してくれました」と呉工場長。 「上半期は感染症によるダメージが大きかったのですが、人員削減をなんとか回避して、みんなで困難を乗り越えました」と鬼怒川橡塑社の山中総経理は振り返った。「地元政府の支援のおかげです。物資の支援のほか、生産活動に必要な手続きに速やかに対応してくれました。もともと1週間かかる手続きが2日間に短縮され、助かりました」

感染拡大が抑制されて間もなく、安徽省は豪雨による洪水に見舞われた。生産体制が正常化しつつあった企業はまた困難に直面した。「7月のことでした。当社に電力を送り出していた変電所が豪雨による浸水で故障し、工場は停電を余儀なくされました。その後、開発区管理委員会は私たちのために積極的に電力会社と連絡を取ってくれました。委員会や社員全体など多方面の努力のおかげで、2日後に仮設ケーブルが設置され、当社の一部の生産ラインは運転再開できました」と淀川盛餘社の田中董事長は語った。

 

人民中国インターネット版 20213

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