日本の熱海と結ぶ温泉

 騰衝の熱海は、もちろん「あたみ」とは読まず、中国語で熱泉が広く海のように湧き出ているといった意味だ。ところが、実は日本の熱海と意外なつながりがあった。

 騰衝出身の政治家・李根源(1879~1965年)は、日本に留学し、辛亥革命にも参加した軍人でもある。この李氏が中国に戻り、持病のリューマチの湯治に古里・騰衝の熱海を訪れた。そこで、あちこちで勢いよく湯気が噴き出す様子に、日本で行った静岡の熱海温泉を思い出し、岩に「熱海」と彫って記念碑を建立した。以来、熱海の名が広まっていった――そんなエピソードが現地で伝わる。しかし残念ながら、こちらで日本の「熱海」を知る人はほとんどいない。

 こうした日中をつなぐ意外なエピソードに本家の熱海市は、「騰衝市に熱海と同じ漢字の温泉があり、地名の由縁が本市にあるとうかがい、ご縁を感じるとともに大変光栄に思います。今後も、貴温泉観光地が多くの観光客に愛され、益々ご発展されることを祈念しております」と斉藤栄市長がエールを送ってくれた。

 北京在住で、チベットや新疆まで足を延ばし中国の温泉巡りをしている温泉ソムリエの向山千絵さんは、「まだ行ったことがないけど、ぜひ行ってみたい。お湯の力が強く、体にグッと来そう」と専門家らしい表現で期待した。


「イイ湯だな」――桶を使っての足湯も楽しめる(写真・劉正凡)


温泉卵やトウモロコシも手軽に食べられる(写真・劉正凡)

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