騰衝市は火山地帯にあることから、熱海温泉と同じ国家5Aレベルの「火山地熱国家地質公園」も有名だ。市の中心から北に20㌔ほど。火山と言っても活火山ではなく、新生代(約6500万年前~現代)の休火山だ。園内に入ると溶岩台地が広がる。これを通り抜けると、大空山と小空山という二つのきれいな円錐型の休火山の前に出る。いずれも手軽に登ることができ、小空山の雲南松が茂る噴火口では、周囲15分ほどの散策が楽しめる。
実はこの観光スポットの目玉は、熱気球での空中パノラマ観賞だ。気流の安定する午前中に初めて挑戦した。搭乗するのは取材班6人と操縦者の計7人。気球につり下げられたゴンドラに乗り込むと、約1㍍四方の空間はぎゅうぎゅう詰めだ。ゴォーッ!ガスバーナーが炎を上げ気球に熱気を送ると、ゴンドラはみるみる上昇し始めた。
熱っ。風で流れたバーナーの熱気に、薄くなったオツムの毛がチリチリする。思わずしゃがむと、同僚に「高所恐怖症なの」と笑われた。
200㍍ほど上昇して止まる。澄み切った大気。聞こえるのは風が流れる音だけ。遠く東には高黎貢山の山並みを望み、西のかなたはミャンマーへと続く。足元に広がるのは大空山、小空山のきれいな円錐形の噴火口だ。爽快な気分に浸ったのもつかの間。気球は下降を始めた。名残惜しい、約8分の空中散歩だった。
人気の熱気球をバックに何度も自撮りしていたのは、省都・昆明から来た旅行好きの中年女性4人組。華やいだ笑い声に、「旦那と来ていないから楽しいのよ」と、思わず本音を漏らす董立萍さん。「そうよね~」。周りの仲間も相づちを打ち、何度もポーズを変えては記念写真に収まっていた。

約8分の大空散歩が楽しめる熱気球は人気のアトラクションだ(火山地熱国家地質公園)

ポッカリ空いた大空山の噴火口。遠くに見えるのは高黎貢山(同公園)