雲南の名物料理と言えば、よく知られるのが「過橋米線」だろう。ハムや野菜がたっぷり入った熱々のスープ麺(コメの麺)だ。でも今回は、同じ麺でも焼きそば風の「大救駕」を紹介する。
雲南省はタイやミャンマーと接し、民族的にも近いためか、東南アジア風のおいしいコメの麺料理が多い。大救駕もそんな一つで、タイ風焼きそばのパッタイに近い。きしめんよりさらに幅広の餌絲と呼ばれる麺に、豚肉やニラ、トマトなどの具材を加えて炒める。お好みでライムの汁をかけても良い。
この大救駕には面白いエピソードがある。明代末期、清軍に追われた永暦帝は騰衝まで逃れて来る。ある日、疲れとひもじさで永暦帝は道端のメシ屋に倒れ込む。そこで出された餌絲の炒め麺をむさぼるように食べ、気力を取り戻した永暦帝は、「これで朕(大駕=皇帝)は救われた」と料理を絶賛。以後、この炒め麺は「大救駕」と呼ばれるようになったという。永暦帝はその後、現在のミャンマーまで逃げたが、捕まえられ処刑された。
雲南で暮らす人々は騰衝地方をどう見ているか、何人かに聞いてみた。隣町の保山出身で、雲南師範大学1年生で日本語を学ぶ趙帥華さん(18)は、「のんびりしていて素朴なところ。やっぱり温泉が有名。温泉タマゴもおいしいですよ」と勧める。同日本語学科では、省都の昆明で「ふれあいの場」という日中友好活動を展開している。日本語体験コーナーや歌や朗読交流などのイベントを催し、日本(語)に関心のある学生や市民と交流を続けているという。
また、雲南日本商工会の広報担当で、昆明在住11年というインテリアデザイナーの榎本雄二さん(51)は、「雲南省全般に夏は涼しく冬は温暖。人はのんびりした性格でガツガツしていない。日本人に好感を持っている人も多い」と話す。お勧め料理は、「しっかりとした味のある雲南の野菜をたっぷり使った、名物のキノコ鍋」と即座に答えた。

皇帝もそのおいしさにうなった麺料理「大救駕」