政治・外交分科会:コロナ下の世界 中日の責任

 

沈暁寧=文

 

 

 今年になってから、世界に広がる新型コロナウイルスによる感染症は、複雑で大きく変化する世界情勢に一層の不確定要素を与えている。中日両国は、感染症を背景とする世界的な変動にいかに共同して対処すべきか、また国際秩序の維持と発展の責任をいかに共に担うか――。第16回「北京―東京フォーラム」の双方の政治・外交分科会では、中日のパネリストがこの課題について熱心な討論を繰り広げ、一連のコンセンサスに達した。

 

 

中日が助け合い知恵を絞る

 討論で、財政部(財務省に相当)の楼継偉元部長は以下のように指摘した。現在、われわれが直面している問題の一つは、どうやって感染症を予防・抑制し経済を再建するかということで、もう一つは国際ルールの回復と改善である。中日の経済・貿易には相互補完性があり、共通の利益を有している。だから、両国は多国間主義とグローバル化を守る面でコンセンサスを持っている。

 しばらく前に、中日は地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に調印した。これによって、両国が手を携え国際社会で積極的な役割を果たすために、より広い舞台が提供された。確かに両国の間にまだ多少の相違はあるが、自国の利益のためであろうが、国際的な責任からであろうが、双方は努力して共通点を探し求めるべきである。

 日本の元財務副大臣の古川禎久氏は以下のように述べた。資本主義がもたらした近代化は、すでにその限界が現われている。しかし日本と中国は共通の文化を持っており、これは、われわれが西洋式の近代化による負の影響から抜け出すのに役立つだろう。その意味から言えば日中は同志である。

 現在の新型コロナの感染状況、また新型コロナ後の国際秩序の発展に対し、中日両国はどう対処すべきかについて、程永華・前駐日中国大使は、次の三つのプランを提案している。一つ目は、両国は感染症に実効的に対処し、アジア地域の公衆衛生の管理レベルを引き上げる。二つ目に、双方がビッグデータや人工知能などの新たな協力分野に焦点を当て、互恵・ウインウインを深化させる。三番目は、中日はスムーズに経済を機能させ、引き続きアジア地域の経済協力を推し進める。

 日本の元外務大臣の川口順子氏はこの考えに賛成し、さらに以下の3点の見解を述べた。第一に、人類の存続は現在、感染症や気候変動、大量破壊兵器の拡散などの危機に面しており、日中両国はこれを非常に重視すべきだ。第二に、どのようにして国際秩序を大きな破壊から防ぐか、日中両国は真剣に考えなければならない。第三に、国際社会に現れている競い合いと駆け引きに直面し、日中双方は世界の平和と安定を守る責任がある。

 

中日協力策に取り組もう

 両国のパネリストは、中日が共に国際秩序を維持し発展させることで一致した上に、一歩進んで具体的なやり方についても討論した。

 中国国際交流協会の劉洪才副会長は次のように指摘した。まずは戦後に築き上げられた国際秩序を守らなければならない。それを前提に、時代の発展に合わせて国際ルールの改善を図るべきだ。この過程において、国際社会は同じ物差しの下で協議し合うべきだ。この面で、中日はイデオロギーなどの境を超えて検討を行うことができるだろう。

 中国留学人材発展基金会の曹衛洲理事長は次のように提言した。中日には、儒教を基盤とした共通の文化・価値観があり、「和をもって貴{とうと}しとなす」という東アジア文化の精神に基づき、両国関係を健全で安定した方向に沿って発展させ、国際関係の改善のために積極的な役割を果たすべきだ。

 中華日本学会の賈慶国副会長は次のように考える。安定した中日関係は、アジア地域の安全と世界の平和にとって極めて重要な意味を持っている。そのため、まず中日はリスクを適切に管理・コントロールし、次に意見の相違について協議で対処し、さらに協力を深めることで共通利益を拡大すべきだ。

 宮本雄二元駐中国日本大使は次のように示した。日中は両国間の「四つの政治文書」の精神に基づき、両国政府が合意に達した各共通認識を両国民が実際に見られる成果として具現化しなければならない。こうしてこそ、両国民の相互信頼が築かれるだろう。

 中山泰秀防衛副大臣は次のことに言及した。両国政府間のハイレベル会談は二国間関係の改善と地域情勢の安定化にとって非常に重要だ。日中はそれぞれに懸念があるだけに、隣国として意思疎通を強化することで互いの懸念を払拭する必要がある。

 討論が終わりに近づいた頃、木寺昌人元駐中国日本大使が、現在の情勢に臨み、われわれは知恵の貢献だけでなく、実際の成果も挙げなければならないと述べた。中国側のパネリストも、「言ったことは必ず守り、行う以上は必ずやり遂げる」という精神をもって中日関係の健全かつ安定した発展を推し進めるよう呼び掛けた。

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