龍角散社長・藤井隆太:音楽で人をつなぐ

 

日本で広く名が知られているのどの専門メーカー龍角散は、200年以上の歴史を持つ。調べによると、夏季の売り上げの約50%は、中国人をはじめとする外国人観光客によるものだという。しかし、20年以上前、株式会社龍角散は倒産の危機に直面していた。そうした中、同社はどのように逆境を乗り越え、今日まで発展してきたのだろうか。

 

 

「会社をつぶそうと思った」

藤井隆太さんは1995年、家業を継ぎ、株式会社龍角散の第8代目代表取締役社長に就任した。当時の龍角散は40億円の負債を抱えており、藤井さんは、借金を返し終わったら会社をつぶそう、と考えていたという。

その後、龍角散は自社製品の愛用者に対し、グループインタビューを行った。すると、多くの愛用者たちが龍角散はとても安心できると答え、仮にお店に龍角散が無かったら、何軒でもいいから探しに行きますと言う人もいた。藤井社長は「それを聞いて、非常に嬉しかったです。龍角散の社会的使命はまだ終わっていなかったんです」と話した。その後、藤井社長がイニシアチブを取り、「のどの専門メーカー」として経営方針を立て直し、消費者の新たなニーズに合わせて複数の新製品を生み出した。20193月期の売上高は204億円に達し、1995年当時の5倍以上となった。

「企業経営は音楽と共通点がある」

藤井隆太さんの最初の夢は、音楽家だった。3歳のころからバイオリンを習い、小学生の頃からフルートを始め、桐朋学園大学ではフルートを専攻し卒業した。

藤井さんは、音楽と企業経営には複数の共通点があると言う。「音楽は感性的なものでありながら、理性的なものでもあります」と述べ、また次のように語った。「特にクラシック音楽の場合は、精密な楽譜があり、論理的な世界です。これは、企業経営と同じです。一方、論理だけでは音楽にならない。お客さんの前で音楽を一方的に演奏してもだめです。自分の感情と人生観をいかに音楽を通してアピールするかが非常に重要であり、またお客さんの反応を感じ取ることで、実際に演奏を生きたものにできるわけです。このような心の触れ合いはビジネスの中でも必要です。芸術世界のこのような感性は、ビジネスの世界でも十分に生かせると思います」

「音楽を通して人と人、国と国をつなぐことを期待」

家業を継いだ後も、藤井さんはフルート奏者としての道を歩み続けている。先日開かれた第30回アカシア祭り北東アジア国際観光文化ウィークおよび2019中日文化観光交流会in大連のイベントで、藤井さんは参加者たちの前でフルートを演奏し、拍手喝采を浴びた。

 

歓迎レセプションでフルートを演奏する藤井隆太さん。

「大連は初めてです。非常に明るいし、広いし、きれいですね。とても好感を持ちました」と、藤井さんは大連に対するイメージを語った。「現地の合唱団が一生懸命演奏し、こちらの演奏も非常に熱心に聴いていただきました。この過程は相互理解に非常に有効だと思います」

ちょうど今年は、中日青少年交流推進年に当たる。また藤井さんは、「日中の若者たちが一緒に演奏をやったら、双方の相互理解が深まり、友情を築けるだろう」と述べた。(文・李家祺 写真・京盛)

人民中国インターネット版 2019531

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