中国、2025年にはウィンタースポーツ産業の規模が1兆元突破へ

  スキーに夢中になるのにはどれくらいかかるのだろうか?「90後(1990年代生まれ)」の男性・楊赫さんの答えは「一度の旅行」だ。楊さんは2015年冬に、河北省張家口市崇礼区に旅行に行き、スキーに夢中になってからというもの、毎年スキーシーズンになると必ずスキー場に行っている。人民日報が伝えた。

  中国では今、楊さんのようなウィンタースポーツ愛好者が増え続けている。北京で冬季五輪が開催されるのを機に、中国のウィンタースポーツ産業は発展し続け、ウィンタースポーツ施設が日増しに整備され、以前はニッチだったウィンタースポーツが大衆に楽しまれるスポーツとなっている。それに伴いウィンタースポーツ体験やウィンタースポーツ教室、ウィンタースポーツ観光といった新業態も登場し、拡大し続ける市場を形成している。

  ウィンタースポーツを始めるにはある程度のハードルが存在し、専用の服や用具を揃え、トレーニングを受けたり、練習したりするにはある程度の費用を必要とする。スポーツの人気が高まり、消費が伸びるという状況は、社会・経済の発展、生活水準の向上、そしてそのポテンシャルも巨大であることを示している。ショッピングサイト・京東の統計によると、昨年のダブル11(11月11日のネット通販イベント)におけるスキー関連商品の消費者直接取引件数が前年同期比23倍、氷上関連装備の取引額が同比15倍に達した。

  楊さんのスキー用具専用棚には、さまざまな価格帯のスキー板やスキーウェア、スキーブーツ、ヘルメット、ゴーグル、ストックなどが、数セット並んでいる。「初めはスキー場でレンタルしていたけど、数年かけて、少しずつ用具を揃え、新しいものも買い足している。昨年の『ダブル11』には、1万元(1元は約18.0円)近くのスキー板を購入した」と楊さん。

  ウィンタースポーツ関連では、「ウィンタースポーツ旅行」も爆発的な伸びを見せている。そして、家族や友人と一緒に、近くのスキー場に行って遊ぶというのが新たなトレンドとなっている。「中国ウィンタースポーツ観光発展報告(2021)」によると、回答者の55%が「長距離ウィンタースポーツ旅行に行きたい」と答え、82%が「近距離ウィンタースポーツ旅行に行きたい」と答えた。ウィンタースポーツを中心として、飲食や宿泊施設といった関連産業・サービスも発展し、ウィンタースポーツ旅行の付加価値が現地の経済発展により大きな活力を注入するようになっている。

スキー歴6年という北京に住む姚佳美さんは、「スキーの後、温泉に行き、現地のグルメを楽しみ、土産屋さんをぶらぶらするというのは最高に楽しい。これまでに10ヶ所以上のスキー場に行ってきた。ウィンタースポーツブームというのは、結局のところ、みんなの懐が温まり、それを楽しむ能力ができて、やりたいと思えるようになったということだ」と話す。

 「中国ウィンタースポーツ旅行消費ビッグデータ報告(2020)」によると、2018—19年のスノーシーズン、中国でウィンタースポーツ旅行に出かけた人の数は延べ2億2400万人、旅行先の1回当たりの消費額は一人当たり約5000元に達した。ウィンタースポーツの消費が上昇の一途をたどり、盛り上がる背後で、中国のウィンタースポーツ産業は発展の黄金期を迎えている。

「ウィンタースポーツブーム」は無限の商機をもたらしていることは、ウィンタースポーツ施設の経営者が最も強く感じているだろう。北京朝陽区にある陳露国際氷上センターでは、フィギュアスケート教室やアイスホッケー教室の予定表が、毎日朝から晩まで完全に詰まっている。楊一瑋社長は、「2017年に開業した時、アイスホッケーチームは1チームしかなかったが、今では8チームまで増えた」と話す。

北京南山スキー場の胡衛社長は、「冬季五輪開催という追い風に乗り、スキー場のインフラも整備され、私たちもスキー人口増加の受益者となっている。前スノーシーズンは延べ40万人以上のスキーヤーが来た」と語る。

  中国国家体育総局の統計によると、2021年初めの時点で、中国全土には、標準的なアイススケート場が654ヶ所、屋内外各種スキー場が803ヶ所あり、2015年と比べてそれぞれ317%増と41%増となった。

 北京冬季五輪開催が決まってからの6年間、ウィンタースポーツが中国全土に広まり、オールシーズン運営を実現し、ウィンタースポーツ産業がより重要な位置を占めるようになっている。「2021年中国ウィンタースポーツ産業発展研究報告」によると、2015‐20年、中国のウィンタースポーツ産業の規模は2700億元から6000億元にまで拡大した。「ウィンタースポーツ発展計画(2016—25年)」によると、2025年、その規模は1兆元に到達すると見込まれている。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年1月17日

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