2018年は人民元の国際化が急速に進展へ

  このところ、人民元為替レートの上昇が市場で広く関心を集め、関連の人民元国際化の進展も注目されている。先ごろ、ドイツとフランスが人民元を外貨準備に組み入れると発表したほか、半年前には、欧州中央銀行(ECB)も5億ユーロ相当の人民元を外貨準備に組み入れた。研究機関や専門家は、「2017年は、年間を通じて人民元の国際化が一段と発展した」とし、「2018年は、人民元の国際化が急速に進む見通しだ」とみている。
■国際決済通貨としての役割が着実に高まる
 中国銀行は1月31日、25の国と地域にある国内外の商工業企業3134社と118の金融機関を対象とした調査に基づき、2017年度の「人民元国際化白書」を発表した。
 「白書」によると、取材対象となった市場主体の76%が、「人民元の国際的地位は米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円などの国際通貨と同水準に近づくと期待できる」とみている。また、海外の市場主体の61%が、人民元を使用する、あるいは使用比率を引き上げる予定だ。国内外の市場主体が、人民元の国際通貨としての地位が向上すると予想している。
 「白書」はまた、「人民元の国際決済通貨としての役割が着実に高まっており、一部のコモディティ商品の取引も人民元建てでの決済を開始している」と指摘。為替レートの変動時でも人民元建てでの決済を続ける国内企業の比率は5年連続で拡大している。
 世界では現時点で、25万社以上の企業と245の銀行がクロスボーダー人民元業務を展開している。調査によると、取材した企業・金融機関がクロスボーダー人民元決済で取引した商品の比率は2016年から13ポイント拡大し、人民元金融市場に参入する意向も2016年比で9ポイント上昇した。

■人民元が世界で円滑に流通
 中国政府は2017年に、人民元資本項目の開放促進、人民元による海外直接投資、個人のクロスボーダー人民元決済など複数の政策を打ち出し、多方面から人民元のクロスボーダー決済の利便性向上を進めてきた。
 中国金融市場の双方向の開放が推し進められるなか、人民元の国際化にも新たなエネルギーが注がれ、国際的投資家の人民元資産への選好度も高まっている。「白書」によると、金融機関の60%が人民元建て債券の資産配分比率拡大を検討しているほか、取材した銀行など金融機関の35%が人民元建て融資や資産配分比率の拡大を検討している。
 中国の金融改革が深化し、国内のマクロ経済が持続的に改善、グローバル貿易と投資も回復するなか、人民元の国際化は比較的有利な外部環境に恵まれたとみられる。
 「白書」は、2018年に人民元の国際化が急速に進展し、新たな発展の余地が生じると予想する。「一帯一路」イニシアチブが人民元国際化に重要な戦略的チャンスをもたらし、人民元は「海外への資本輸出+貿易を通じた国内への還流」というスムーズな流通メカニズムを形成、世界に流通して使用されるようになった。このほか、オンショア金融市場の絶え間ない開放とオフショア金融市場の開拓により、人民元は世界でスムーズに流通するようになったとしている。

チャイナネットより2018年2月2日

 

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