写真家・齋藤康一さんが記録した中国の改革開放40年

 

北京で今月4日、日本の写真家齋藤康一さん(83)は「40年回顧――中国の写真展」の開幕に合わせて北京を訪れ、このほど帰途についた。同写真展では、1978年からの中国改革開放40年間の変遷を写真で振り返っている。新華社が報じた。

齋藤さんは65年に初めて中国を訪問し、希望に満ちた中国に魅了された。そして、その後約50年の間に、70回以上中国を訪問し、中国の社会と国民の生活の変化をカメラに収めたことで、そうとは意識せずに、中国が改革開放を実施してからの変遷を記録してきた。

齋藤さんは、「中国の発展のスピードは想像を超えている」と振り返る。

初訪問で強いインパクト与えた中国

スーツ姿で、生き生きした瞳の齋藤さんは、どう見ても83歳には見えない。

小学生の時、齋藤さんは祖父から、「日中両国は今は戦争をしているが、中華民族は非常に優秀な民族。皆が中華民族と仲良くしなければならない」と教えられたといい、その言葉が幼かった齋藤さんの心にしっかりと根を下ろした。

1965年、齋藤さんは、日本の青年訪中団と共に中国で交流する機会があり、迷うことなく、カメラを手に中国へ向かった。当時、中日はまだ国交が正常化しておらず、齋藤さんらはまず香港へ行き、広州を経由して、武漢、上海、北京、西安、延安などの都市を訪問した。慌ただしいスケジュールだった約40日間に見た中国に、齋藤さんは魅了され、興味津々となった。

齋藤さんはカメラを手に街中を歩き回り、撮影したいと思う市民を見つけると、身振り手振りで交流したという。また、それら市民に親しみを感じてもらえるようにと、人力車を引く車夫が着ている服を身にまとった。北京の前門で遊んでいる子供や訓練を受ける上海の民兵、広州の街中の車夫、延安の川辺で洗濯をする女性など、齋藤さんは、そのカメラを庶民の生活に向け、非常に貴重なシーンを捉えてきた。

齋藤さんは初めての中国旅行で撮影した写真を写真集「1965年中国」に収め、その忘れがたい経験はまた、斎藤さんがその後何度も中国へと足を運ぶ原動力となった。

初めて中国を訪問した時の印象について、齋藤さんは、「この大きな国は5年後どう変わっているのだろう?10年後、30年後はどうなっているのだろうと考えた」と振り返る。

想像を超える発展スピードの中国

76年、齋藤さんは日本のメディア関係者と共に上海を訪問した。その時は、1回目の訪問と比べて、ずいぶん楽だったという。なぜなら中日両国を結ぶ定期便が72年の中日国交正常化をきっかけに開通したため、東京から直接上海に飛行機で行くことができたからだ。その後の数十年間、齋藤さんは仕事の合間を見つけては中国を訪問し、その様子をカメラに収めてきた。

上海の街中のオシャレな青年、バレエスクールの少女、忙しそうに働く民営企業の従業員、伝統楽器二胡を演奏しながら京劇を歌う北京の老人、高層ビルに囲まれた中国の伝統的家屋である四合院など、改革開放の幕が開けた後の中国は、都市の景観から、庶民の生活に至るまで、大きく変化した。

齋藤さんは何も無い荒れ地だった上海浦東に高層ビルがどんどん建つのをその目で見て、マンションの部屋を買うために押し寄せる人々の様子をカメラに収め、初めて分譲住宅に引っ越して喜ぶ中国の人々を目にした。そして、帰国後、写真集「上海 '92-'93」と「北京 '95-'96」を刊行し、注目を集めた。

90年代、日本がバブルの崩壊を経験している時、中国は着実に一歩一歩前へと進んでいた。中国の発展と変化を目撃してきた齋藤さんは、「中国は経済成長を続け、世界第二位のエコノミーになった。その発展のスピードは私の想像をはるかに超えていた」と話す。

「中国は私の生活の一部」

40年回顧――中国の写真展」の開幕式に参加した齋藤さんは、53年前に訪問した北京を再び訪問した。今回斎藤さんは北京で、高層ビルが立ち並び、以前に撮影したことのある建物の多くがなくなっているのを目にした。

齋藤さんの正式な写真展が中国で開催されるのは今回が初めてとなる。来場者の多くは口々に、写真を見て子供の頃の思い出が蘇えったとしていた。文学評論家の史航氏は以前、微博(ウェイボー)に齋藤さんの写真をアップし、「これは昔の北京。僕の子供の頃の思い出と一緒だ。市内でたくさんの子供たちが、こんなふうに駆け回っていた」と書き込んだことがある。

今回、過去40年の斎藤さんの写真展を企画したキュレーターである秦風氏は、「齋藤さんの写真は、中国人が苦難に屈せず奮闘する姿、成功の栄光を捉えており、引き続き前に向かって進む勇気を与えてくれる」と評価する。

齋藤さんは取材に対して、この重みある写真展に関して、「信じられない気持ち。特に何かをテーマにして写真を撮ってきたわけでなく、自然とこうなった」と話した。

そして、「私にとって中国は、生活の一部」と中国に対する思いを語り、「日本人が私の写真を通して中国を知り、両国の国民の相互理解が促進されることを願っている」とした。

 

「人民網日本語版」20181113

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