省最大規模のグルメエリア

「罍」という字の由来

合肥市内に戻ると夜になっていた。寧国南路近くの、赤いちょうちんがぶら下がる歩行者天国に目を向けると、高さ2.5メートル、重さ約2トンの「罍」の形をしたモニュメントが見えた。罍街の西側の入口だ。街は合肥市民の誰もが知っている夜市で、その名前は安徽省の「罍文化」と関わりがある。

 

 罍は春秋時代(紀元前770年~前476年)、酒を飲む際に使われた青銅製の杯だ。酒文化の発展とともに、罍はその文化の媒介物として、生活の中で重要な役割を果たしてきた。現代でも合肥の人々が酒を飲む際には、「炸罍子(主人と客が杯をぶつけ合って一気に飲み干す)」という習慣がある。言い伝えによれば、555年、巣湖流域に拠る二つの政治勢力の間で争いが起こり、庶民が言葉にできないほどの苦しみを味わった。そのため、両勢力は話し合い、「炸罍子」をして、休戦することにしたという。このような、酒で争いを解決し、親睦を深めるやり方は、中国の酒文化に深く根付いている。

 

罍街で全国各地の味を楽しむ

 モニュメントのある広場を通り抜け、南へ向かうと、グルメ街に着く。罍街の特徴を一言で表すなら、「歩行者天国」よりも「グルメ・クリエイティブパーク」という方がより正確だ。罍街は総面積22000平方メートル、2013年から、3段階に分けて建設工事が進められてきた。そこには、グルメ街、クリエイティブパーク、マンションなど、さまざまな施設が含まれている。

 広場からグルメ街までは、第1期工事のエリアだ。ここには、安徽省をはじめとする全国各地の特色あるグルメが集まっている。街を散策してみる。「包袱」(風呂敷包み)の形をした安徽グルメ「包袱ギョーザ」を作っている職人、結婚写真撮影の合間に天津グルメ「{ジエンビングォズ}煎餅果子」(中国風クレープ)を頬張っているカップル、つま先立ちでテーブルに手をついて「糖人」(あめ細工の人形)をじっと見つめている子ども……年齢、出身にかかわらず、ここを訪れた人は皆、自分好みの味を見つけることができる。グルメ街の突き当たりには、牌楼(中華門)のような舞台があり、「罍街大観」と呼ばれている。週末の夜、伝統演劇の「黄梅劇」や「廬劇」などが上演されると、舞台前の広場と周囲の「麻辣小龍蝦」(激辛ザリガニ料理)の店は人であふれかえる。

 「庶民感覚を持ち続けることを大切にしています。町の皆さんに、安くておいしいものを食べてもらいたいのです」と語るのは、罍街の経営・管理責任者を務める李鋭鋒さんだ。観光客だけでなく、付近の住民もここをよく訪れている。罍街の北東側にある和平広場に住む王永南さん(69)は、「罍街は環境が良く、市民向けの施設やサービスも多くあります。私も家内も、いつも楽しく利用していますよ」と話していた。

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