変貌遂げる安徽省 ハイテクとエコで強み発揮——外資系の進出に最適な合肥

昨年11月5日、上海で第2回中国国際輸入博覧会が開幕した。習近平国家主席は開幕式の基調講演で、次のように宣言した。中国は市場の開放をさらに拡大し、全面開放という新たな枠組みの形成推進を加速するとともに、企業のビジネス環境をより良くし、投資の促進と保護を強化する。中国中部の製造業密集地帯である安徽省は近年、地元政府が積極的に開放レベルを高め、2800社余りの外資系企業がこの地で成長を遂げている。今回、合肥市で日系企業の合肥アーレスティと合肥小林日用品を取材した。2社の経営者はどちらも同市を高く評価しており、将来に対して大きな自信と期待を持っている。

 

優秀な人材が支える

合肥市経済技術開発区にある合肥アーレスティの工場では、うなり声を上げる大型機械の前で従業員が整然と作業している。同社の近藤博文社長によると、アーレスティの主要製品はエンジンや変速機のパーツなどの自動車部品で、主な顧客は日系自動車メーカーだ。ほかには、高級アルミニウム製品も生産している。アーレスティは海外に五つの工場を持ち、そのうち二つが中国の広州と合肥にある。「五つの海外工場の中でも、合肥の品質と生産管理は2010年の工場設立から一貫して一番優れています」と近藤社長は話す。近藤社長が合肥工場の社長になったのは15年からだが、それ以前から同工場に対し興味を抱いていたという。そして同工場の社員と一緒に仕事をしてみて、その理由が分かった。同工場の社員は勤務態度が極めて真面目だった。彼らは律儀な働き者で、決められたことを守って、ずっと続けることができた。加えてアーレスティの確立された管理が、工場の質の高い生産を保証してくれている。「合肥工場が優秀であり続けているのは、並大抵のことではありません」と近藤社長は感慨深く語った。

合肥小林日用品は小林製薬の39番目の子会社で、本社の三つの海外生産拠点の一つであり、14年に運営を開始した。合肥工場では主に使い捨てカイロや熱冷まし用冷却シート、眼鏡クリーナーなどの製品を生産しており、そのうち40%が中国国内市場向けで、60%が東南アジアや日本、欧米などへ輸出される。

同社の湊修司社長によると、小林製薬が中国に進出して以来18年間、工場はずっと上海にあったという。だが、上海工場が狭くて生産規模を拡大できなかったため、12年に工場移転を決定した。場所の選定にはさまざまな要素を考慮しなければならなかった。土地価格や人件費などの他にも、輸出品の割合が非常に大きいため、工場と港の距離の近さも欠かせない条件の一つだった。各地を見て回った結果、合肥ハイテク区の魅力的な条件に引き付けられた。「合肥ハイテク区の幹部たちの考え方が、われわれの要求にほとんど一致していて、とても良い条件を出してくれました。それが、最終的に合肥に工場を移転した大きな理由の一つです」

2人の日本人経営者は共に、合肥市政府の担当者との意思疎通がとてもスムーズだと感じている。湊社長は笑いながらこう話す。「上海で仕事をしていた時は、役所の人たちと話す機会はめったになかったですが、合肥では役所の関係者が積極的に連絡をくれ、企業が抱えている問題をすぐに解決してくれます。ここでは、会社の存在感が急に大きくなったみたいです」

人材面では、どちらの企業にも地元出身者が多く集まっている。「ここ数年、合肥では優秀な人材が増え続けていて、現地の大学から多くの優秀な卒業生が入社しています」と湊社長は語る。今では、社の課長クラスの管理職は全て中国人だという。また、合肥アーレスティでは中国人社員に重要ポストを任せるよう育成に力を入れていて、昨年4月に初めて中国人副社長が誕生した。これは同社の革新の一つだ。

 

より住みやすい都市に

北京や上海と比べ、日本のメディアが合肥に注目することは極めてまれだ。近藤社長は、合肥が派遣先と聞いて真っ先に思い浮かべたのが農村の光景だった。しかし現地に来ると、その印象は一変した。数年間で、彼はこの都市の発展スピードを実感した。「来たばかりの頃の合肥は人口が700万人でしたが、今では800万人となりました。人口が急速に増え、市では現在3本目の地下鉄が建設中です。私は自動車部品を作っていますが、外で見掛ける日本車もどんどん増えています。さらに、不動産価格は数年で4、5倍に跳ね上がっています」。同じような感想は湊社長も抱いている。彼は合肥に赴任する前にも、出張でしばしば訪れていたが、合肥の発展スピードがあまりにも速いため、毎回来るたびに新鮮な印象を受けたという。「来てから3年半で、合肥はすっかり大都市になりました」と湊社長は感慨深く語る。

 近藤社長は合肥の印象をこう語る。「ここ数年、合肥と日本との関係がどんどん深くなりました。日本料理店の数も急増し、空港では日本の免税店の袋を提げた旅行帰りの若者の姿を見掛けます」。ローソンなどのコンビニエンスストアもあちこちで見掛けるようになり、近藤社長の現地での生活もどんどん便利になった。「ここの人々の心もオープンになっています。タクシーに乗った時に運転手が、私が日本人だと知ると、『こんにちは。ありがとう』といった簡単な日本語で話し掛けてくれて、とてもうれしくなります」

合肥の未来について、2人の社長は明るい見通し(10)を持っている。近藤社長は自信を持ってこう話す。「中国進出を考えている日本企業があれば、必ず合肥市にと伝えておきますよ」

 

人民中国インターネット版 2020年1月7日

 

 

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