ある日本人駐在員の合肥生活

 

市橋さんと中国人の同僚の会議の様子(写真何京盛/人民中国)

 

三菱電機GEMパワー半導体(合肥)有限公司(MEGP社)は合肥自貿エリアで家電集積回路と電子部品を製造している日系企業だ。安徽自貿区が科学技術イノベーションを主導とし、質の高い発展とレベルの高い対外開放を実現する中で、他の日系企業と共に、活力に満ちた風景をつくり出している。

これら日系企業と共に日本人スタッフも安徽や合肥に来ている。彼らは現地の生活に徐々に慣れ、楽しい、充実した中国滞在を送っている。取材中、記者はMEGP社副総経理兼製造部部長の市橋素海さん(55)に出会った。

北海道から赴任して来た市橋素海さんは合肥で勤務してそろそろ2年になる。MEGP社で技術と生産の管理を担当する経営幹部として、絶対手抜きをしないというのが彼の仕事スタイルだ。

日常の仕事において、市橋さんは技術の細かい部分を何度も確認して、中国人スタッフが仕事内容を正しく理解できるようにするだけでなく、プロジェクターやホワイトボードを使って、具体的なデータや文字の情報を示して、ミスが起こらないようにしている。

 

一緒に活動に参加した市橋さんと合肥日商倶楽部のメンバー(写真提供市橋素海)

 

市橋さんの絶対手抜きをしないという性格は安全管理にもうかがえる。彼はMEGP社にやって来た当初、潜在的な安全上の問題をなくすために、日本のやり方をいろいろと中国人スタッフに教えた。「すぐに実践してくれて、労災もグッと減りました。学ぶ姿勢もあるし、習得するのも速いし、徹底するのも速かったですね」

中国人スタッフと付き合う中で、彼は自分の人材育成の目標を明確にした。「一番大事なのは、グローバルで活躍できるように育成することかなと思っています」  市橋さんは合肥の中心部近くに住んでおり、一日の仕事を終え、たいてい夜6時過ぎに帰宅する。家のほど近くに、北宋時代の清廉潔白な官吏である有名な包拯を記念して造られた美しい公園「包公園」がある。ほぼ毎日、市橋さんは時間を見つけてここを散歩する。高層ビルが立ち並ぶ合肥の市街地で、古風な雰囲気の公園は、単身赴任中の市橋さんにとってゆったりと過ごせる場所だ。

「(公園は)きれいです。昼は自然な感じで、夜はライトアップされて、人工的にきれいですよね。日本にはない感じですね」

15年前、市橋さんは中国に出張で来たことがある。その頃と比べると、中国はずいぶん変わったと感じている。皆が交通ルールをより守るようになり、町の様子もより整って清潔になり、路上でごみをほとんど見掛けなくなった。最も印象的なのは、生活がますます便利になっていることだ。

タクシーを例に取れば、スマートフォン(スマホ)の地図アプリで目的地をはっきりと示すことができ、ドライバーが自分の話す中国語を聞き取れるかどうか心配する必要がなくなった。さらに、スマホで簡単に運賃を支払うことができ、現金を使う面倒もなくなった。「日本では電子決済がまだいまいち普及していないですが、中国は全てですよね。そこはすごいなと思いますね」

 

自分で漬けた生姜を見せてくれる市橋さん。合肥では何でも買えるが、手作りも楽しい(写真顧思騏/人民中国)

 

ネットショッピングで、市橋さんは日本の各種調味料(「味覇」「ごはんですよ!」など)を購入したほか、自分好みの中国の米「盤錦大米」を見つけることもできた。今では階下のスマート宅配ロッカーも使い始め、退勤後に帰宅する際、QRコードをスキャンしてそこから宅配物を受け取ることもできるようになった。

目下、世界の人々は新型コロナウイルスとの闘いを繰り広げている。合肥で生活している市橋さんは、中国の感染症予防抑制について、自分なりの経験を持っている。「僕はちょうど(昨年の)春節もこっちにいて、中国の規制の仕方にすごく感心しました。最初はやりすぎじゃないかと思ったんですけど、結果的に今の世界の状態を見ていると、中国のやり方が正しかったのかなと思いますね」

合肥では公共の場所に入るときに、マスクと検温を求められるが、市橋さんは不便を感じることはなく、逆に安心感を得られるという。

合肥に来て、市橋さんは現地の日本人組織である「合肥日商倶楽部」に加入した。同倶楽部には200人近くのメンバーがいて、よく野球やボウリング、ゴーカートなどの活動を行っており、市橋さんはほぼ全て参加している。

 

合肥の自宅でゴルフの練習(写真顧思騏/人民中国)

 

そして、市橋さんが最も好きなのは、合肥に来てから始めたゴルフだ。リビングに練習用のマットまで置いて、屋外でゴルフができないときも家で練習をしている。「(ゴルフは)楽しいですね。やっぱり人との交流もあるからですね。大体ゴルフの後に、食事と飲み会もあるので、それもまた楽しいですね」

中国が質の高い発展にまい進するにつれて、ハイテク製造業の拠点である安徽自貿区も新たな発展のチャンスを迎えている。中国がさらに開放を拡大するのに伴い、将来、より多くの日本人が中国で投資する日系企業と共に合肥に来て働き、生活するようになるだろう。彼らにも市橋さんのように、一味違う合肥に気付き、一味違う中国を感じるようになってほしい。

 

人民中国インターネット版 20213

 

 

 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850