対外開放を拡大する中国の5つの措置 日本企業の責任者の見解は?

 

第2回中国国際輸入博覧会(以下、輸入博)が11月5日、上海で開幕した。習近平国家主席は基調演説で、中国がより高水準な対外開放を引き続き推進することを表明し、継続的な①市場開放の拡大、②開放の枠組みの完備、③ビジネス環境の最適化、④多国間二国間協力の深化、⑤「一帯一路」共同建設の推進という5つの措置を打ち出した。この5つの措置の発表を聞いて最も自信を強めたのは、第2回輸入博に出展している150以上の国と地域から来た3000社余りの企業の関係者に違いない。第1回輸入博に比べて、展示エリアの面積こそアメリカ企業に追い抜かれたものの、出展社数と展示品数では日本企業がそれぞれ364社、1913点と依然首位をキープしており、その数字から日本企業の中国、そして中国市場に対する注目と期待がうかがえる。では、引き続き対外開放を拡大する5つの措置について、日本企業の責任者はどのような見解を抱いているのだろうか。本誌記者は第2回輸入博に出展中の大手日本企業の責任者に話を伺った。  

市場開放の拡大とビジネス環境の最適化の追い風に乗ってさらなる事業展開へ

 「ビジネスと市場をさらに開放するのは本当にありがたく思います。中国の市場は大きく、市場が伸びていくに伴って中国がもっともっと発展していくので、その中で不二越は少しでもお役に立てればと思います」と、中国の市場開放に対して賛美を惜しまないのは不二越(中国)有限公司董事長の俵和之氏だ。

 不二越(中国)有限公司董事長の俵和之氏(撮影魏堯) 

 

 輸入博史上初の契約企業となった不二越は、昨年の展示ブースでバイヤーや見学者の人気を大いに集め、意向成約額も5億元を超えた。ますます開放する中国市場で予想を遥かに超える成果が得られた不二越は今年も去年と同じ場所に、同じく1300平方メートルの展示面積で第2回輸入博に出展しており、車のフレームを組み立てるロボット、可搬重量が1キロから25キロまでの新型ロボットなど30種類以上の製品を展示し、再び中国の見学者を引き寄せている。

 車のフレームを組み立てるロボット(撮影魏堯) 

 

 俵氏と同様の考えを持っているのはAGC株式会社執行役員、AGCグループ中国総代表の上田敏裕氏だ。「習主席の基調演説から、中国政府が改革開放を一層推進する強い意志を感じました。中国市場はこの40年間、改革開放で大きくなりました。それをさらに続けていくという強いメッセージを感じ取りました。そうすることは中国だけでなく、世界のためにも良いことです」と上田氏は話す。ガラス、化学品、セラミックスなどの分野で世界最先端の技術を有するAGC。その製品はさまざまな分野で使われ、ごく身近な存在だが、まだ多くの中国国民に知られておらず、まさに「隠れたチャンピオン」と呼ばれる企業だ。巨大な中国市場での知名度アップを目指して、AGCは今年も輸入博の出展を申し込んだ。

 

AGC株式会社執行役員、AGCグループ中国総代表の上田敏裕氏(撮影李一凡)

 世界銀行がこのほど発表した報告書「ビジネス環境の現状2020」によると、中国のビジネス環境は世界190の経済体の中で31位になり、昨年の46位に比べて大幅に上昇し、2年連続でビジネス環境の改善幅トップ10に入った。改善されつつある中国のビジネス環境について、上田氏も注目している。「来年1月から施行される外商投資法、更に拡大する自由貿易区は、中国のビジネス環境を新たな高みに押し上げることになるでしょう」と上田氏は述べる。

「一帯一路」共同建設の推進で新たなチャンスを

 市場開放の拡大とビジネス環境の最適化は日本企業に中国国内でより多くのチャンスを提供する一方、「一帯一路」共同建設の推進に伴って、中日両国が第三国などで協力するケースも増えている。

 日本の大手物流企業である日本通運は去年から、国際定期貨物列車「中欧班列」を利用して日本ヨーロッパ間の中継輸送サービスを開始した。これにより、日本とヨーロッパ間の荷物輸送にかかる時間が大幅に短縮されただけでなく、日本通運にも利益をもたらした。

 「昨年は36平方メートルの面積で出展しました。もちろん中国国内のお客様が多かったですが、『一帯一路』沿線国の企業関係の方々、政府関係の方々にも来ていただいたので、今年は4倍の144平方メートルで出展しています」と、日通国際物流(中国)有限公司経営戦略室経理の滝口雅俊氏は今年の出展状況について説明してくれた。

 また滝口氏は、「日本通運の強みは国際輸送で、主力のサービスとしては海運と空運になりますが、『一帯一路』構想で整備された『中欧班列』に注目いたしました。『一帯一路』共同建設のさらなる推進を通じて、『中欧班列』に関するサービスを広げていきたいと考えています」と期待感を示す。

 

第2回中国国際輸入博覧会の東芝展示ブース(撮影李一凡)

同じく2回連続出展の東芝も、「一帯一路」共同建設でビジネスパートナーを見つけ、中国企業と協力する形で新たな事業を展開している。株式会社東芝中国総代表の宮崎洋一氏は「日本と中国は色々なところで協力し合って、ビジネスを大きくできると思います」と述べた上で、「去年の10月に行われた日中第三国市場協力フォーラムで、東芝と中国企業は第三国で協力する契約を結んでいます。今は進行中のものもあるので、これからも継続してやっていきたいと思います」と意気込みを語る。

 

「北京週報日本語版」2019116

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