中国国際輸入博覧会に2回連続出展 キヤノンが中国市場に見出すチャンスとは

 

第2回中国国際輸入博覧会のキヤノン展示ブース

第2回中国国際輸入博覧会(以下、輸入博覧会)が11月5日、上海の国家コンベンションセンターで幕を開けた。

中国市場は世界最大の中間所得層を擁するだけでなく、圧倒的な購買力を誇り、消費レベルの向上もめざましい。再び開かれた輸入博覧会とは、そのような巨大市場の開放を絶えず進めていく中国の決意を表すものであり、また世界各国の企業に向けて発展のチャンスをもたらすものだ。

今回の参加企業のうち、フォーブス500に名を連ねる世界的企業や各業界のリーディングカンパニーの数は前回を越えており、世界150以上の国地域の企業が出展しているが、その中でも日本企業の存在感が目立っている。もともと中国と日本は古くから強い経済的結びつきを持つことで知られる。そのような基盤に加えて、両国の友好ムードとさらなる経済協力への期待が高まっている現在、日本企業の多くがこの度の輸入博覧会を事業発展の機会と捉えているのだ。

その代表格といえるのが、昨年に引き続き今年も輸入博覧会に出展している大手電気機器メーカーキヤノンだ。キヤノン副社長執行役員であり、キヤノン中国社長も務める小澤秀樹氏は、輸入博覧会の意義を次のように語る。

「中国のさらなる開放拡大のための重要な施策として、中国国際輸入博覧会はあらゆるグローバル企業により大きな市場とチャンスをもたらすものとわれわれは考えています。弊社にとって、中国国際輸入博覧会は自社の製品や技術を消費者にアピールする絶好の機会であり、また中国におけるB2B(企業間取引)などビジネスの多元的発展を大いに促進するものです。さらに、巨大な規模で行われ、総合的な性格を持つ中国国際輸入博覧会では、異なる業種の顧客とコミュニケーションを取ることができます。そこには民間企業だけでなく、政府機関や大型国営企業なども含まれるのです」

輸入博覧会は中国と世界のウィンウィンを体現する場

今回の輸入博覧会にかけるキヤノンの期待は、展示規模からもうかがえる。小澤氏によれば、昨年よりもブース面積を広げて500平方メートルとし、展示内容も20余りのソリューションや100近くもの製品と充実させたことに加えて、出展企業はグループ6社にのぼるという。

「弊社にとって第1回中国国際輸入博覧会は非常に大成功であったといえます。収穫はビジネス面でさまざまな契約を結べたことに限りません。より重要な成果は、中国企業や顧客、協力パートナーなどに、弊社に対する理解を深めていただけたことです。また同時に、中国国際輸入博覧会を通じて他分野の先進的な技術などに触れ、多くの新たなヒントを得ることもできました。これも今後弊社が事業の多様化を進める上でプラスになるものです」

むろん、輸入博覧会がメリットをもたらすのは、海外企業だけにとどまらない。会場で展示された製品は中国市場で商品化されることにより、中国の人々の消費レベルを高める。キヤノンであれば8Kムービーカメラ、OLEDディスプレイなど同社の最先端技術によって生まれた製品が、やがて中国市場に浸透していき、人々の生活をより快適なものとするわけだ。また、B2Bで中国企業に日本企業の先端技術が導入されることで、中国国内の産業活性化にも繋がる。中国の市場開放、そしてその象徴といえる輸入博覧会は、まさしく中国と世界のウィンウィンを体現するものなのである。

政策によって生まれる巨大市場の潜在力

キヤノンは業界のリーディングカンパニーであると同時に、1949年の創業以来一度も赤字を出したことのない、日本を代表する優良企業だ。いわば同社は日本でも指折りの先を見通す力を持つ企業といえる。そのようなキヤノンにとって、中国市場はどのように見えるのだろうか?

「そもそも中国経済は良好な成長を保っています。中国経済の成長スピードが減速したといっても、2019年の国内総生産(GDP)の成長率予測が6%から6.5%というのは、世界レベルでみれば依然として成長の著しい市場です。また中国市場は巨大で、需要の伸びもあります。それゆえに、中国は弊社にとって、世界で最も重要な市場の一つなのです。実際に、キヤノン中国はアジア地域において最大の販売数を誇ります。アジア全体でも特に中国市場は、今や弊社が世界でカメラ事業を成長させる上で重要なエンジンとなっているのです。また、中国の国内政策によるプラスの効果が、巨大市場の潜在力をもたらしています。そして近年、中国でさまざまな内需刺激策やモデルチェンジアップグレードを進める政策が打ち出されていることも、われわれにとって長期的に中国で発展を持続できる確信となっています」

このように中国が市場開放を進める一方、国際社会の一部では保護貿易主義の風潮が強まっている。そのような状況を、小澤氏は次のようにみている。

「中国ではさらに改革開放を推し進める強力な施策が進められていることから、現在の中国における全体的な国際貿易状況については、依然として非常に楽観視しています。われわれは中国の改革開放の歩みが止まることはなく、外資系企業に対して今後さらに大きな発展の余地が開かれていくと固く信じています。中国はキヤノングループにとって最も重要な海外市場の一つです。また、キヤノングループには『共生』という企業理念があります。そのため、今後も引き続き中国事業により力を入れていき、中国社会や中国市場、中国の顧客と共に成長するとともに、ウィンウィンの発展を実現していきたいと願っています」

第2回中国国際輸入博覧会は市場開放を自ら推し進め、世界と共に発展の成果を分かち合っていくという中国の「有言実行」を再び世界に知らしめた。グローバルに事業展開するキヤノンのような企業にとって、中国はこれからも魅力的な市場であり続けることだろう。

 

「北京週報日本語版」2019116

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