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【両会】中国経済、巨大な成長潜在力発揮へ 新たな駆動力が後押し

 

【新華社北京3月7日】中国経済の下押し圧力に世界の投資家は懸念を強めているが、年に一度の「両会」(全国人民代表大会、中国人民政治協商会議)に出席する代表や委員らは経済見通しに楽観的だ。

そう考えるのも当然だ。2019年のGDP成長率の目標は6~65%とされ、昨年達成した成長率66%から引き下げられたものの、一連の新たな成長の駆動要因がすでに出現しており、中国の長期的な繁栄を下支えするものとみられている。

李克強(りこくきょう)総理は5日、第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議の開幕会議で政府活動報告を行い、「中国の発展は依然として重要な戦略的チャンスの時期にあり、十分な強靱性(レジリエンス)と巨大な潜在力、ほとばしる革新の活力を備えている」と述べた。

▽消費の潜在力

中国東方航空の劉紹勇(りゅうしょうゆう)董事長は、中国人民政治協商会議(政協)第13期全国委員会第2回会議で、中国の民間航空と観光業は大きな発展のチャンスを迎えていると述べた。

「10億人の中国人がまだ飛行機に乗ったことがないとされている」。全国政協委員の劉氏は、航空旅客輸送や観光の分野には大きな市場潜在力があると見ている。

アナリストらは、経済成長に対する消費の寄与率は昨年すでに76%に達したが、巨大な消費市場にはまだ開発の余地が豊富にあるとの見方を示す。

「中国のサービス業が発展する中、家事代行や配達などに従事する末端労働者の収入は増えていく」と清華大学の経済学者で全国政協委員を務める李稲葵(りどうけい)氏は指摘する。「彼らの都市での居住を許可すれば、住宅を購入し、お金を使うようになる」 政府活動報告は、中国はさまざまなルートを通じて良質な製品やサービスの供給を増やし、民間投資の参入を阻む問題や困難の解決を加速させるとした。 報告によると、中国の60歳以上の人口はすでに2億5千万人に達しており、今後、重大な措置を講じ、高齢者介護、特に地域での高齢者介護サービスを発展させる。

中国発展研究基金会副理事長で全国政協委員の劉世錦(りゅうせいきん)氏は「中国が消費する多くの商品とサービスは輸入品であるため、中国の消費力の高まりは世界経済の持続可能な発展の重要な力になるだろう」と述べた。

▽グリーンへの移行

新規設置基数中国最大の風力発電タービンメーカー、新疆金風科技の武鋼(ぶこう)董事長にとって、グリーン(環境配慮)への転換は、コストを下げるということだけでなく、国際顧客とより多くの取引を行うということを意味している。 全国政協委員を務める武氏は両会会場で新華社記者に「私たちの取引先に聞けば、製品の品質だけでなく、製品をいかに作るかにも関心が高いことがわかるはずだ」と語った。

環境に配慮した設備のおかげで、同社は6年連続で世界三大風力タービンメーカーの一つの地位を維持している。

「中国企業のグリーン発展は、経済成長と環境保護は共に手を携えて歩んでいけるということを示している」と武氏は指摘する。 中国は政府活動報告で、2019年にグリーン発展を強力に推進し、質の高い発展と環境保護を追求すると約束した。

李稲葵氏は「グリーン発展は経済成長を制約すると誤解されてきた。実際には環境保護自体が有望な投資分野だ」と指摘する。

「水汚染に対処するのに必要なのは、製鉄所の閉鎖だけではない。より効率的で環境に優しい設備への投資も必要になる」と李氏は語る。

安陽鋼鉄集団の李利剣(りりけん)董事長によると、同社は2017年、汚染対策施設に30億元(1元=約17円)を投入したが、これは2018年の記録的な高利益の達成を後押しした。

「グリーンへの移行は企業にとって大きな課題になると同時に、大きなチャンスでもある」と李氏は語る。

▽デジタルブーム

北京北東部の望京地区にある昆泰賓館では両会期間中、一部の政協委員が宿泊しており、「世界に影響を与える人々の隣人になろう」とのキャッチコピーの広告も出ていた。

同地区はアリババや美団など中国ハイテク大手のオフィスビルが並び立ち、中国のデジタル経済ブームから利益を得ようと数百社のインターネットベンチャー企業が集まっている。

賽迪顧問(CCIDコンサルティング)が発表したリポートによると、中国のデジタル経済規模は2020年までに6兆ドル(1ドル=約112円)を超えると予想されている。

中国経済は下押し圧力に直面しているものの、昨年、中国では1日当たり1万8千社以上の企業が新たに設立され、その多くがインターネットベンチャー企業だった。

政府活動報告は「新たな成長の原動力はわれわれの生産方式と生活様式を大きく変え、中国の発展のために新たな力を生み出している」とした。

騰訊控股(テンセント)の馬化騰(ポニーマー)董事長兼最高経営責任者(CEO)は、インターネット業界の発展は伝統的な業界の成長も促進し、実体経済の質の高い成長に寄与するとの見方を示した。

全人代代表を務める馬氏は「インターネット企業は従来型企業と競争しているのではない。むしろ、従来型企業が実体経済のそれぞれの業界でチャンピオンになるのを助けている」と指摘した。

政府活動報告によると、中国は今後、デジタル経済をさらに拡大し、次世代情報インフラを発展させる方針だ。

南開大学浜海開発研究院の劉剛(りゅうごう)院長は「こうした動きは民間投資を情報インフラ分野へと誘導し、新たな技術革新の波を起こし、中国の経済成長を支援するのに役立つだろう」と述べた。

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