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江原規由:2019年政府活動報告についてのコメント

国際貿易投資研究所チーフエコノミスト 江原規由

 

 
『政府工作報告』(以下、『報告』)の冒頭、「中国の発展は長年来稀にみる国内外の複雑かつ厳しい情勢に直面している」との報告があったが、そんな中、昨年、中国経済が6.6%成長を遂げたこと、さらに、今年、昨年を若干下回るものの、6.06.5%成長を目指すとしたところは、中国経済が「穏中求進」の中で、イノベーションを重視した「高質量発展」の過程に入ったと高く評価できよう。『報告』からは、対内的には安定成長、改革促進、構造調整、民生改善を目指した痛みの伴う成長パターンの大胆な「改革」を、先を見越して行おうとしていることがよくわかる。

対外的には、反グローバリズム、一国主義が台頭する中、世界最大の発展途上国としての自らの立場を強調し、全方位の「開放」を希求し、世界の安定と発展に貢献しようとする中国の姿勢が『報告』のいたるところから読みとれる。『報告』では中米貿易摩擦にはあまり言及されていないが、中国は、経済のグローバル化と自由貿易を擁護し、WTO改革に積極的に参与するとし、ハイスタンダードなFTA(RCEP、中日韓FTA、中国・EU投資協定)を推進し、中米経済貿易協議を進展させるとしている。総じて、世界が大きな転換期を迎えたとされる中、『報告』からは客観的で公正なグローバルガバナンス改革へ向けた中国の確固として姿勢が読みとれる。

中国は、昨年が改革開放40周年、今年が新中国成立70周年、来年が小康社会の全面的完成の年、そして、2021年が中国共産党100周年(100年の夢の実現年)と記念すべき節目の年が続く。今年の『報告』の最後の部分で、「中国は各国と手を携えて協力し合い、一致団結して難関を乗り越え、世界の永続的平和と共同発展のために新たな貢献をしてゆくことを望む」と結んでいる。現在、こうした壮大なプランを堂々と世界発信し、世界の共感を得られる国は中国をおいてほかにはないのではないか。その「新たな貢献」の行方に世界は期待している。

 

人民中国インターネット版 201936

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