ホーム ホットニュース 最新ニュース 代表・委員 フォーカス 独占取材 写真による報道
朱炎:2019年政府活動報告の感想

拓殖大学政経学部教授 朱炎

  
李克強総理が全人代で行った『政府活動報告』について、おもに経済政策に注目し、以下の感想がある。

1に、経済政策の基調として「安定」が強調された。基本方針は「安定を保ちつつ前進を求める」であり、目標は安定成長を目指し、具体的には雇用、金融、貿易、外資、投資、期待の安定に力を入れる。昨年に国内外の複雑で厳しい情勢のもとで、経済に下押し圧力が強まったにもかかわらず、6.6%の安定成長を達成した。今年も、「安定を保ちつつ前進を求める」という方針が継続すれば、6-6.5%の成長目標をクリアできるであろう。

2に、安定成長を維持するため、今年実施した様々政策措置の中で、最も効果的と思う措置は、大規模な企業の税負担と社会保険料の負担軽減である。減税の重点は製造業と小企業・零細企業に置く。製造業の増値税率を現行の16%から13%に引き下げる。企業の社会保険料負担も大幅に軽減する。企業が負担する養老保険の保険料率を16%まで引き下げる。とくに小企業・零細企業に対して、包摂的減税政策を年初にすでに公表し、実施しており、社会保険料負担の実質的な軽減を今年実現しなければならない。今年の減税と社会保険料の負担軽減の規模は2兆元弱になり、昨年の13000万元を大幅に上回る。減税と社会保険料の負担軽減は企業の負担を切実に軽減させ、企業の活力と競争力を増強させ、安定成長を図るための有力な保障になろう。減税と社会保障負担減はある程度財政収入を減らし、財政赤字を増やすが、中国財政の赤字比率と国債依存比率がもともと低いので、懸念すべきではない。

3に、民営企業の発展を促進し、経営環境を改善させるためにも一連の措置を実施する。報告の中で触れた以下の措置を評価すべきである。例えば、企業の「資金繰り難、資金調達コスト高」問題の緩和にカを入れる。中小銀行を対象とした預金準備率の引き下げによって増えた融資資金をすべて民営企業や小企業・零細企業の融資拡大に使う。

ビジネス環境の改善、民営経済の発展環境の改善に大いに力を入れる。公正な監督管理で公平な競争を促す。現実に、民営企業と小企業・零細企業は安定成長、雇用の安定を図るうえで不可欠な存在であり、国有企業と同様な経営環境を与え、公平的な競争を展開させなければならないと思う。

人民中国インターネット版 201936

 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850